

1月23日(月)プロジェクト21では『湖北地域の高校再編に関する提言書』をまとめ市長に提出しました。プロジェクト21では、高校再編が県から提起されて以来、高校の実態を調査するとともに聞き取りや外部講師を招聘するなど審議検討を重ねてまいりました。現在、長浜市においては「長浜市の未来を拓く教育検討委員会」が設置され審議されている中ですが、長浜市としての今後の子ども達の姿、こうあってほしいというしっかりとしたビジョンを示すべきだと思います。今のままでは湖北の優秀な人材も南へ流出してしまう危険をはらんでいます。10年後、20年後をも見据えた高校の再編を今、しっかりと検討する時だと思います。
ここにその全文を紹介します。
湖北地域の高校再編に関する提言書
平成24年1月23日
長浜市議会 会派プロジェクト21
代表 北 田 康 隆
「高校再編計画」(原案)が公表されて以来、県下で最も活発に、市民挙げて関心が持たれ、さまざまな対応が広範囲に広がっているのは長浜市である。それは、長浜市の中心地に位置する湖北通学区の中核的高校2校の統合と湖北の勤労青少年の学びを担ってきた定時制課程の廃止が原案に提起されたからである。県下他地域とは際だった再編案であり、高校教育の枠を越え、地域の子どものほとんどが進学する湖北・長浜の重大な教育問題として認識されたからである。以下、県が示す「再編実施計画」(原案)に提示された学校統合・定時制課程の廃止・まちづくり系列の設置・養護学校分教室の併置等の背景・問題点を述べるとともに湖北の高校再編について提言する。
1.背景と問題点
(1) 長浜高校と長浜北高校の統合
「再編実施計画」(原案)では、長浜高校と長浜北高校の統合による1学年7学級規模の新高校(普通科6学級・福祉学科1学級)の設立及び高等養護学校の併置が提示され、統合新高校像として、「長浜高等学校と長浜北高等学校で培われた進学指導のノウハウを活かし、より充実した進学指導体制を構築するとともに、福祉学科や長浜高等養護学校との交流による特色ある学びの展開を図る」としている。
この提示案にはいくつかの問題がある。その1点目は、湖北では何故統合が必要なのかが、明確に示されていないことである。「実施計画」(原案)では、「既に規模の小さな学校が多くを占め、今後も生徒数が減少傾向なる湖東地域及び湖北地域において、教育内容一層の充実と地域全体の活力の向上を図るため学校統合による再編を行います」のみである。事は数十年、百年の歴史を持ち、地域の信頼の中で、現に今も真摯に教育が営まれている高校が無くなることであり、仮に、高校を減らすことが必要だとして、ある高校の廃校ではなく統合であることの理由も含めて、統廃合の重みに耐える的確、且つ具体的で詳細な理由付けが必要である。
2点目は、統合対象が、何故長浜高校と長浜北高校なのかが全く触れられていないことである。長浜高校は6学級、長浜北高校は5学級規模とはいえ、旧長浜市内に位置し、両校ともに湖北の高校教育の中核高校である。中核高校が1校無くなり、湖北の地域全体の高校の活力の向上を図ることができるのか、明確な説明が必要である。
3点目は、統合新高校像、ビジョンの不明確性である。「実施計画」(原案)は「長浜高校と長浜北高校で培われた進学指導のノウハウを活かし、より充実した進学指導体制を構築」としている。「より充実した進学指導体制」の文言には、新た形の進学校が予定されているとすれば、構想・骨格程度は示されて然るべきと考えるが特段の説明もされていない。漠然としており、これまでの両校のような進学校になるのだろうとしか考えられない。これで活性化が可能だろうか疑問である。
4点目は、「実施計画」(原案)の統合新高校像にかかる『めざす姿』の「福祉学科や長浜高等養護学校との交流による特色ある学びの展開を図る」に関わってである。統合新高校の学科構成は「普通科、福祉科」と示されており、「福祉科」は普通科とともに統合新高校の1つの学科である。その「福祉学科」と『交流を図る』とは如何なることなのか。『誰』が「福祉科」と交流するのであろうか、複数学科高校として出発する統合新高校は、普通科と福祉科が一体となった高校であり、『交流概念』の教育活動が思念されるような学校ではない。
それは、「高等養護学校との交流」についても同様である。長浜高校に併設されている「長浜高等養護学校」は、『統合教育』を理念とし創設された学校である。当初、長浜高校では高等学校養護学科や普通科養護課程(養護コース)等も検討されたが、法的に高等学校の学科一課程・コースとして認められず独立校になった経緯もある。しかし、統合教育の理念に立ち、校長は両校を兼任し、授業の一部や学校行事一部活動は同一校体制で行われている。創設時より両校の関係は、『交流』レベルの教育活動ではないのである。今回の統合が文面どおり『交流』認識で進められるとすれば、長浜高校と長浜高等養護学校が培ってきた教育の後退は必定である。県教委には、両校の教育のかかる実態が全く認識されていないのではないか。だからここでも『交流』の域を出ないのだと考える。「実施計画」(原案)の「再編が目指す姿」の記述は90字。字数が限られているとは言え、限られているがゆえに、細心の注意を払い理念や本質・実態に則った透徹した文章として提示されなければならない。単なる言葉(用語)の綾・使い方で、済まされる問題ではない。実態の認識に間違いがあり、従って理念としても誤謬をきたし『交流』表記になったとすれば論外であり、『交流』で問題なしとするならば正鵠な議論さえ憚られ、とても容認できない。
では、湖北の高校統合についてどう考えるかを次に述べたい。
湖北8校の学校規模(1学年学級数)は、米原6、長浜・長浜北・虎姫各5、長浜農業・長浜北星・伊吹・伊香各4である。米原高校の就学者の8割が彦根市を中心とする湖東地域の就学者であることを考えると、実質的に湖北の高校と考えられる7校のすべてが、県教委の標準学級数6〜8以下の小規模校ということになる。このような地域は県内の他のどの地域にもない。その上、今後の湖北地域の中学卒業者予測では、平成22年3月卒業生1,786人を基準として、10年後の平成32年は1,558人と228人減、更にその5年後の平成37年には1,398人と更に160人減となる。学級数にして、10年後に5.7学級減、その5年後に4学級減となる。単純に考えれば、今後15年の間に現在湖北にある5学級規模の高校2校の定数が満たなくなるということである。このような実態を踏まえるとき、県教委が今般の高校再編において、湖北の高校活性化策の1つとして「統合」を提起したのは十分に理解できるところである。対象校がいずれかはさておき、15年後・20年後の将来を見通し、今般の再編の機会に少なくとも1校削減のための統合は、湖北の充実した高校教育のため必要であると考える。
かかる認識に立っての統合対象校の適否についてである。高校教育が「生徒の興味・関心、進路希望」及び「住民の願い・期待・要請」に応え、且つ高校卒業生の大学・短大・専門学校等進学率が、普通科90%・総合学科75%・職業系専門学科50%の現実を踏まえ、新しい高校は「人格の陶冶に立つ質の高い進学をめざす高校」が想定される。その際、地域総体として高校教育を高めるためには、高校間の切磋琢磨が必要であり、中核的な進学校が地域に複数併存することが望ましい。湖北の現実から想定するとき、進学校としての歴史と実績から虎姫・長浜北何れかを核とする統合が理想と言えよう。
次に統合新高校はどんな高校なのか、具体的な高校像である。「実施計画」(原案)の「長浜・長浜北統合案」では、「より充実した進学体制を構築する」とだけあり具体案は示されていない。おそらく県教委に、統合新高校の具体像は準備されていないのではないか。
何故なら、各学校の教育の基本は「教育課程」であり、その編成は、法的に教育委員会ではなく学校に委ねられている (「学習指導要領」第1章総則第1「各学校においては法令及びこの章の以下に示すところに従い・・・適切な教育課程を編成するものとする」)からである。だとすれば、学校像は少なくともその骨格については、湖北・長浜の衆知を集め自らの手で作り上げ県教委に提起する他ないと考える。
(2) 長浜北星高校定時制課程の廃止
「実施計画(原案)」では、彦根・長浜地区の定時制課程の実態を踏まえ、長浜北星高校・彦根工業高校・彦根東高校それぞれに設置されていた定時制課程を廃止し、新たに能登川高校を改編し、総合単位制高校の設置が提起された。この課題については、従来からの「勤労青少年のための学びの学校」から「中途退学者や不登校経験者の学び直しの学校」に変わってきている実態への対応とし、大幅な改編案が示された。 結論として、生徒の実態に合った適切且つ的確な施策と考える。問題は、総合単位制高校の位置(能登川)であり、県北部(長浜)の生徒にとって通学条件が、時間的にも・経済的にもこれまでより厳しくなることである。不登校・中途退学者にとっては、環境を変えることの教育上の意味から、必ずしも全面的にマイナスとは考えないが、勤労生徒にとっては、大きな課題と言わざるを得ない。既設の大津清陵高校には分校が設置されていることを考えれば、北部に分校の設置を考えることも1つの方策である。
湖北・長浜市の生徒の通学負担増への対応として、分校設置の検討を望みたい。
(3) 長浜北星高校総合学科への「まちづくり系列」の設置
長浜北星高校総合学科に新たに「まちづくり系列」の設置が提起された。『再編が目指す姿』には「地元企業や団体等と連携した地域づくりやまちづくり活動を体験的に学習し、将来の地域社会の発展に貢献する資質と能力を育成する」
とある。黒壁を核とする長浜旧市街のまちづくりとその実績を背景に設定されたのであろうが、研究要素の強い大学ならまだしも、高校教育の『系列』として体系的な学習講座として成立するのか疑問である。前述の『再編が目指す姿』の前段で、学習内容として「地元企業や団体等と連携した地域づくりやまちづくり活勣を体験的に学習し」とあるが、この程度では、既存の総合的学習活動や体験的学習、サークル活動(部活の歴史部・郷土研究部・地域研究部等)の域を出ない。「まちづくり」を対象とした系列学習のためには、歴史学・民俗学・建築学・都市工学・環境学等の学問に基づく体系的な学習内容が、教育課程として準備されなければならないが可能なのだろうか。
結論として、設置撤回も含めた抜本的な再検討を求めたい。
(4) 伊吹高校への「長浜養護学校高等部分教室」の併置
高校の教育内容の充実のためなのか、養護学校の教育環境改善のためなのか曖昧であり、小規模校の将来及び特別支援教育の今後のあり方の基本方針も提起されていない。かかる状況での伊吹高校への長浜養護学校高等部分教室の併置は、基本的に賛成できない。小規模校ながら、生活指導を核とした高校教育の推進に徹し、活発な教育活動を展開し、地域の評価も高い伊吹高校には、新たなインパクトとして前向きに受け入れられるであろう。
しかし、地域の人口減・少子化が進行する中、伊吹高校の学校規模の縮小はあっても拡大されることはまず無いと想定される。今後、伊吹高校は提示された養護学校分教室併置の小規模高校として進むのか、高校を廃止し、養護学校単独校化するのか等々、その基本方針・方向性が提示されず不明確なままでの発足は、この学校の学校経営・充実した教育のためにプラスにはならないし、地域の不安と不信を招くのではないかと危惧せざるを得ない。
2.今後の湖北の高校の在り方
平成21年度における県立高等学校の中退者数388名、長欠席者数839名、不登校者数527名、計1,754名という数字は何を物語っているのであろうか。原因は、様々だと思うが、一つには高等学校の学科や互いに切磋琢磨できない学校規模等が子ども達や社会のニーズに合っていないところに問題があるのではないか。再編を考える時、忘れてならないのは、新長浜市のまちづくりである。そこには人口増とまちの活性化・産業の振興・企業の誘致が必須である。そうした担い手を育てるためにも専門学校レベルの工業・ビジネス・情報等に係わる学科が必要となる。また再編にあたっては、人格の陶冶及び国家や地域の有為な人材育成を教育の基本とすることを忘れてはならない。そこで今こそ膳所・彦根東に匹敵する進学校の設置、次いで企業誘致等を考える時、新たに電気・機械・情報科等の設置、その他に子ども達のニーズを考えれば芸術科・体育科・環境科等が必要である。こうしたことを踏まえ、1学年7〜8学級、全校生徒数800〜1,000名規模の学校が望ましいと考える。また通学の利便性を考慮し、JR沿線での設置が望ましい。
結論として具体案を提示するとすれば、虎姫高校は、さらなる進学校に、統合新高校は、長浜北高校を核として虎姫高校に並ぶ進学校を想定し、立ち上げることがベストだと考える。統合対象校は、校風・教育課程・生徒の実態、進路実績等長浜北高校と類似性の強い長浜高校が望ましい。その際、現在の長浜高校に設置されている「福祉科」を併置する。その位置は、長浜北高校を核とする新高校であるからには、現在の長浜北高校の校地が第一に考えられる。しかしながら、湖北全域且つ域外からの通学の利便性を考えればJR沿線に新たに校地を求めるべきである。交通アクセス及び大学との連携条件に優れた長浜バイオ大学北側に隣接する高橋町が最適地である。長浜北高校跡地は商業施設や住宅地にすぐにでも活用できる利便性があり売却。
長浜養護学校も手狭になっていることから利便性を考慮し、長浜高校跡地に移転、更に長浜高等養護学校を併設するものとする。また長浜農業高校は、JR沿線から遠く離れており通学には不便といわざるを得ない。よってJR沿線に近い伊香高校に移転統合し、膨大な森林資源を活かせる科の増設も考慮する。
以上のことから別紙のとおり再編案を提言する。何度も申し上げたように湖北の子ども達のため、長浜市の子ども達のため、夢と希望の持てる高校再編になるよう県に積極的に提案されることを望むものである。

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新年明けましておめでとうございます。遅ればせながら・・・













