今日から10月、いよいよ秋本番ですね
つぼみだったシュウメイギクが咲き出しました。
アメリカンブルーも咲いている。この蒼い色に癒されます
そして、読書の秋
今日、曽野綾子の「晩年の美学を求めて」を読み終えました。
とても感銘したので、最後の締めくくりの文章を、まだ晩年ではないけれど
こんな風に晩年を迎えられたら・・・と思い、書き留めておきます。
人はいい事だけをするのではない。いい事だけをしようとしても無理だ。時にはわるいこともする。
と考えればあまり追いつめられた気分にならなくて済む。人間の優しさもいろいろな形を取る。
人間の残酷さも表現はさまざまだ。そのからくりを死の前に知って私は大人になって死にたい。
それゆえにこそ、簡単に人を非難せず、自分の考えだけが正しいと思わず、短い時間に答えを
出そうとは思わず、絶望もせず落胆もせず、地球がユートピアになる日があるなどとは決して信じず、
ただこの壮大な矛盾に満ちた人間の生涯を、実に面白かった、と言って死にたいと思う。
深い迷いの中で、とりあえず自分の好みに近い人生を送れたとしたら、それは世界的レベルに
おいても法外な成功だったのだから。もし迷いもなく、簡単に目的に到達してしまっていたら、
私はもう生きる目的を失っていたのだ。しかしそうでなかったからこそ、どうにかこんな長い年月、
生きてこられた。この矛盾さえ深い哲学的意味を持って、私に優しかった。
次の世代に言い残すことなど何もない。どの時代も、若者たちは自分で迷い、
自分でどうやら答えを出す。残すとしたら知恵と技術と徳の本質そのものを残す事しかない。