りん日記

ラーとか本とか映画とか。最近はJ-ROCKも。北海道の夏フェスふたつ、参加を絶賛迷い中。

小説『のぼうの城』

2009-01-23 11:30:07 | 


『のぼうの城』 和田 竜著 小学館 初版発行2007年12月


去年ずいぶんたくさんの人に読まれたという歴史エンターテインメント小説です。
第139回(平成20年上半期)直木賞の候補作にもなりました。

いきなり余談ですけど、直木賞と芥川賞の選考って、毎年上期と下期の2回あるって知ってました?
私、この本が第何回の候補作だったかいまネットで調べたときに、初めてそのこと知りました。
年1回だと思いこんでた……
軽くショック。
これでよく自分のことを本好きだなんて言えたものだ。


そんなくだらないことはさておき、『のぼうの城』、感想です。


すーごく面白い!!と評判なので、けっこう期待して読み始めました。

……うーん、でも、そんなにみんなほめるほどかなぁ……っていうのが読後の正直な気持ちです。

天下統一を目指す秀吉の命で、
現在の埼玉県に位置した成田氏の忍城(おしじょう)を攻めることになった石田三成と、
その三成の2万人の軍勢にたった千人で立ち向かった成田家の城主と家臣たちの
戦いの様子を描いた話、なんですけどね。

戦争が始まってからは、確かにまぁまぁ面白かった。
数で圧倒的に不利な忍城側が、いかにして三成の2万の軍勢を迎え撃ったか、
その戦の様子を描いた部分は面白い。

忍城側は大将の城代・成田長親を初めとした重臣たちが軒並み個性的で、それも面白い。
絶世の美女だけどとんでもなく気が強くてツンデレの見本みたいなお姫様が出てくるのも楽しい。

だけど、文章にどうにも魅力がないんだよね~

リズムが悪いし、テンポも悪い。
言い回しが陳腐で描写もいまひとつ。
せっかく魅力あるキャラクターと魅力ある筋立てが用意できてるのに、
筆力がそれに伴ってなくて、その魅力を全然表現できてない。

司馬遼太郎ふうに、時折史実の説明が挟み込まれているんだけど、
司馬遼太郎の場合は物語に厚みを持たせる効果になっているけど、
この本の場合は文章に溶けこんでないからそこだけ浮いて、ジャマに感じる。

文章の流れが悪いからスルスルと読み進めることができなくて、
しばらくなかなか本の世界に入れなくてもどかしかった。

キャラクターが個性的で魅力があるとは言ったけど、
描き切れていないから、その個性がただ大げさなだけの薄っぺらなものに感じる。
悪い意味で劇画的、といおうか。


もともとは戯曲として書かれた作品で、2003年に脚本界の大きな新人賞である
「城戸賞」を受賞したんですって。
あー確かに、舞台化したら面白いかもしれない。
あと、漫画の原作としてはいいかもしれない。

……と思ったら、去年からビッグコミックスピリッツで花咲アキラさんが
連載してるんですね。
なーんだそっかー、そっかー。
ウィキには『映画化を前提として小説化された』とあったんだけど、
その映画化の話は進んでいるのかな。
でももともと脚本だったものを『映画化を前提として小説化』って、意味わかんない……


同じ舞台設定とキャラクターで、
故・隆慶一郎さんが書いたらとんでもなく面白い小説になったんじゃないかなぁ……
言っても詮無いことですが。
惜しいなぁ……

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