あるがまま日録

表題のとおり、日々思ったこと考えたこと、興のむくまま書き散らしています

左翼と保守は本来的に何が違うのか

2016-11-11 10:52:23 | 考える上で大切な意見

16.11.10

京大教授の佐伯啓思さんが『自由と民主主義をもうやめる』で指摘された点は、考えさせられた。

「左翼」は、人間の理性の万能を信じている。理性によってこの社会を合理的に、人びとが自由になるように作り直してゆくことができる。しかも歴史はその方向に進歩している、と考える。

「保守」とは、人間の理性には限界がある。人間は過度に合理的であろうとすると、むしろ予期せぬ誤りを犯すもの。従って、過去の経験や非合理的なものの中にある知恵を大切にし、急激な社会変化を避けようとする。

社会主義が、理性万能と合理的な社会設計の思想を持ち、さらに歴史の進歩というものを固く信じている。「保守」が社会主義に対して警戒的だったのは、まさにその理由による。

この指摘は、自分の中のもやもやとした部分をはっきりさせた。自分は人間の理性を信じてきたし、理性的に考え行動すべきと考えてきた。しかし理性だけでは人間を動かすことは出来なかった。

ソ連、中国その他、人びとを資本主義の軛から自由にし、平等で人間らしい生活ができる理想の社会をつくろうと革命を起こして社会改革をした。しかし結果は共産党や公務員が権力を握った、自由を抑圧し格差も解消されない社会しか作ることができず、失敗に終わった。

なぜだろうか。生きた人間そのものの感情、欲望、希望等を無視した机上の計画進めただけ。人間らしい生活を望んだ人びとを無視した政策を推し進めただけでした。様々な人間がいる。欲に駆られたに人もいるし、理性的な人間もいる。それをうまくコントロ-ルできる仕組を作らなくてはいけない。

実は、アメリカはそのような傾向を持った国。合理的精神によって社会をうまくコントロールできると考えている。病気も遺伝子レベルの操作で解決できる。食糧問題はクローン技術で解決。戦争ははい敵技術でピンポイント攻撃。金融市場の不安定化には金融工学を駆使した新たな金融商品で対処。 

このような徹底した技術主義、それによる人間の自由の拡大、社会を功利的に変革できるという信念。これこそが「アメリカ文明」を特徴づけるもの

これも思いがけない指摘だが、納得できる。アメリカでは人間の知能を高めるために、頭にチップを埋め込もうとする研究が進んでいるという。