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サノフィパスツールによるデングワクチンの臨床三相試験結果

2015-01-11 | Vaccine トピックス

ラテンアメリカの5か国で実施したサノフィパスツールによる遺伝子組み換え4価デングの弱毒化生ワクチンによる臨床第三相試験の結果

背景
デング熱は世界で年間3億9000万人の感染者と9600万人の発症者がいると推計される。

方法
デングの流行国であるコロンビア、ブラジル、メキシコ、プエルトリコ、ホンジュラスの22医療機関で、9-16歳の20,869人を対象とした臨床試験。
2:1の割付でワクチン接種群とプラセボ接種群を比較(0, 6, 12月の3回接種)し、対象者は開始13か月に医療機関を受診、18月と25月に電話か訪問で血清デング抗体等を評価。 

対象者とその保護者は発熱があった場合には受診するよう指示され、評価のため血液検査と画像検査を実施した。

結果
予防接種の有症状でウイルス学的に診断されたデング熱の予防効果は少なくとも1回以上の接種を受けた対象者の64.7%(95%CI 58.7-69.8%)にみられ、3回接種を受けた対象者では60.8%(95%CI 52% to 68%)だった。

ワクチンの予防効果は4つの血清型のうち2型で最も弱かった。
ベースラインで抗デング抗体を持つ対象者での効果は83.7%(95%CI 62.2% to 93.7%)であったが、抗体を持たない対象者では43.2%(95%CI -61.5% to 80%) だった。

少なくとも1回以上の接種を受けた対象者のうち、デング熱と検査診断された17例の入院症例があり、プラセボ群(43例)と比較した入院予防効果は80.3%(95%CI 68.8% to 99.9%)だった。
ワクチン接種群での予防接種後の重症例が1例であったのに対して、プラセボ群では11例であり、同様に重症予防効果は95.5%(68.8% to 99.9%)だった。

評価
現在のところ予防接種の実用化に向けて楽観的なデータ。

 

References: 
N Engl J Med. 2015 Jan 8;372(2):113-23. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in children in Latin America. 
N Engl J Med. 2015 Jan 8;372(2):172-3. Preventing dengue--is the possibility now a reality?

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