百日咳の無菌体ワクチンは百日咳の発症と感染を十分に予防できないことを示したFDAによる研究。
方法:
生後2, 4, 6か月のヒヒに百日咳の無菌体ワクチンまたは全菌体ワクチンを接種、生後7か月にBordetella pertussisに感染させた。
評価者は動物の症状と鼻咽頭洗浄液の保菌状態を評価、感染についてはワクチンを未接種のヒヒを同じ檻に入れて観察した。
結果:
無菌体ワクチンを接種したヒヒは重篤な症状は予防されたものの、保菌を認め、免疫のないヒヒと同様の回復経過であった。また、ワクチンを未接種のヒヒに抗原を容易に感染させた。ただし、既に感染を受けたことがあるヒヒは再度感染を受けても保菌しなかった。
全菌体ワクチンを接種したヒヒはワクチンを未接種または無菌体ワクチン接種を受けたヒヒと比較して感染からの回復速度が速かった。
解釈:
全ての群に健常な免疫反応が見られたが、T細胞の分析結果が自然感染と全菌体ワクチン接種で同様のパターンを示していることが、結果の相違につながったと考えられた。
無菌体ワクチンに対する最善ではない免疫反応の結果が昨今の症例数の増加が説明され、より予防効果の高い百日咳ワクチンの開発の必要と考えられる。
新生児の感染を周囲の者のワクチン接種で予防するコクーンストラテジーは多く場合、感染を予防できないかもしれないが、ワクチンは重症化を予防できるため、追加接種の推奨は継続されるべきと考えられる。
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