ミセスローゼンの道後日記

木下闇呟きそこに留まりぬ


先日から行き始めた懐古的な鍼灸院で、うつぶせの姿勢で息ができるように開けられた穴の中をのぞいていた時の話。
初回の時は、黒い木の床の上に白いタンポポの綿毛が一つ落ちていい感じだった。俳句にはならなかったが癒された。
二回目は、塵一つない清潔な黒い床しか見えなかった。その代わり、五月雨の音が屋根に激しくて、黒澤映画の中にいるみたいな気がした。
三回目は、穴をのぞくと真っ黒だった。蓋を外すのを忘れていたのだった。顔の穴が開いて、背中の治療が始まると、先日からの腰の不調は、実は背中の凝りだったな、と悟った。鍼灸師の先生にそう言われたわけではないが、そこを突かれた瞬間自然に、そこだ、とわかった。すると口が勝手に、諸悪の根源がそこです、と叫んでた。と言っても穴に向かって叫んだので、よく聞こえなかったと思う。思いたい。諸悪の根源と、何故その言葉を言ったのか自分でもわからない。だが、諸悪の根源としか言いようのない何かがそこに居た。そこを治療してもらうと、またすぐ踊れるようになった。
その後ニックと散歩してて、諸悪の根源という言葉を思い出した。ある木下闇で、諸悪の根源、とつぶやくと、言葉は、蜘蛛のようにぱっと地面にしがみつき、影の一つとなって留まった。私達は小走りにそこを後にした。
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