ミセスローゼンの道後日記

断食の月太りゆくそゞろ寒




「断食あるある」
ヨム・キパーのファスト(贖罪日の断食)がもうすぐ始まる。8日の日没から9日の日没まで飲食と水を断つ。が、我が家では水分は少し取る。健康を害する事はしないのが我が家の断食ルール。今朝はごく普通のトーストと目玉焼の朝飯を食べた。午後四時にランチとディナーを兼ねたファスト前の夕餐を頂く。いわゆる食べ溜めをして断食に備えるのである。切り目に大蒜を塗り込めたラック・オブ・ラム(骨付子羊肉)とじゃが芋を皮ごと丸ごとオーブンで焼いて食べる。それまでオヤツでしのごう、と言って、チーズとクラッカーと林檎をやたらと食べる。明日は一日中何も食べてはいけないと思うと、既に無性にお腹が減っている。毎年断食で太るのはそのせいだ。

「贖罪」
断食の間に一年の計を反省し、来年の豊富を語るのがユダヤの伝統。我が家では大事な話はたいてい風呂場にて行う。

「反省の前に、シェークスピアのソネットを一つ紹介しよう。116番、Let me not to the marriage。」と言って、ニックが湯船の中で詩を朗読した。私も湯船の中で謹聴した。

『真実の心と心の結びつきの間にどんな障害も入れてはいけない。事情次第、相手次第で心変わりする、そんな愛は愛ではない』という内容。

続いてニックの反省。

「私はいつもお前がハッピー(上機嫌)でいる事を求め過ぎる。何故ならばお前がアンハッピー(不機嫌)でいると私も不機嫌になり、挙句にお前の機嫌をとり結ぶ事にかかりきりになり、勉強や練習がおろそかになるからである。かと言ってお前にいつもニコニコしていろ、と言うのは自分勝手に過ぎる。今後お前がどんなに仏頂面をして朝起きて来ようが、突然ヒステリックになって倹約に関する小言や泣き言を言おうが、私は心を平静に保ち、自然にお前の機嫌が直るのを待つ事にしよう。時に私が別室に籠るのはその為だから、お前は気にせずともよろしい。今後はお前を責めず、私自身の心をもっと鍛える事にする。」

ふうん。なんか十分責められてる気がするが、まあ夫婦間の問題としてこんなのは些細な部類だと思うので、私は全面的に同意しておいた。私の反省は、一つ事をやりだすと周りが見えなくなることで、猪突猛進傾向がこれ以上ひどくならんよう気をつける、と来年の豊富を誓った。ニックは激しく同意していた。

ヨム・キパーの楽しみは、ニックの弾くコル・ニドレイ。YouTubeで聴いてみてね。

https://www.youtube.com/watch?v=J5WDUMJMzk8&feature=share
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