ミセスローゼンの道後日記

監獄のやうな場所なり蚊喰鳥


バレエにおける、「顔をつける」ということは、鼻と手の距離を、月と地球のように保つ事だった。鼻が大事だった。鼻の役目は匂いを嗅ぐだけだと思ったら、こんな事でこんな役に立つとは驚きだ。今鼻を見直している。鼻のおかげで、目は遥かな物を見ていられる。
また、Epaulement(エポールマン)は、肩の位置、肩の方向という意味だが、「エポールマンを使う」とは、肩を門としてその門を開いて見せ、内側へ他者を招じ入れる、ということではないかと思う。いくら肩は相手に向いていても、心が開いて招いていないと、エポールマンは効かないのだ。内側に閉じこもらない=エポールマン。エポールマンは、観客=他者=世界と自分の魂が繋がる門。ダンサーのみならず、偉大な演奏家はみなエポールマンを使っている。ニックの演奏を見ていると、ニックの魂を感じる。それは、ニックが門を開いているから。老ギトリスの門の広さは、ディズニーランド並みだった。ハイフェッツやグレン・グールドは誰にも増して激しくエポールマンを使っていた。なぜならば唯一演奏中だけが、他者=世界と彼らが繋がれる場であったから。だからこそのあの演奏であったと思う。
(余計なお世話だが、エポールマンについて知りたかったら、実際バレエ教室に来てみればいいと思います。)
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