ミセスローゼンの道後日記

魚の骨吐いてみたしや秋暑し


香港の人は、魚を食べた後の骨を卓上にぺっぺっと吐いて澄まして居る。男も女も関係なく皆やる。それが当地のテーブルマナー。見て居ると痛快である。昔からやっている自然な事なので、三歳くらいの子も大人の真似をしてぺっと骨を吐いている。私もそうしたいけれども。
私らの父は魚を口に入れて、暫ししがんで、そののち完全に身の外れた清潔な骨を唇から箸に受けて無造作に皿に置くと、これが一列に美しく揃っている、という風に何をやらせても器用だった。私は品の良いスウィートな父も好きだったが、豪胆で野卑で好色で家中を動物だらけにしてた祖父も大好きだった。私がカラマーゾフの兄弟の父フョードルが好きで、ヴェニスの商人のシャイロックと、オリバーツイストのフェイギンが好きで、ドンキホーテが好きで、光源氏より左大臣が好きなのは、この祖父の影響に違いない。あの祖父なら、中国人のように豪気に骨を吐いただろうなあ。
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