ウォーク更家の散歩(東海道・中山道など五街道踏破、首都圏散策)

夏目漱石「草枕」 (その2:小天温泉) 2015.2.10


(写真は、小天温泉の那古井館)

先月の帰省時は熊本も異常寒波で、余りの寒さに、
温泉で少し温まりたいと思い、日帰りで、実家
から近場(バスで50分)の「小天温泉」へ行って
来ました。

熊本市交通センター(10:25)→玉名駅行き
→小天温泉(11:13)
熊本市内の繁華街を抜けると、波が静かな有明海
の海岸沿いに、路線バスは北上します。







右手の山側は、山の斜面に、延々とミカン畑が
続きます。

「小天温泉」は、明治の文豪・夏目漱石が愛した
温泉です。

”入って良し、飲んで良し”という豊かな温泉の
恵みと、目の前の有明海で水揚げされた新鮮な海
の幸の懐石料理が楽しみです。
小天温泉は「ミカンの里」で、江戸時代には藩が
ミカン栽培を奨励し盛んになりました。

ミカン畑の石垣は、熊本城築城の技術が伝わったものだそうです。
小天温泉バス停で降り、バス停の前の「那古井
(なこい)館」に入ります。


下の写真は、那古井館の庭の漱石の句碑です。

”温泉や 水滑らかに 去年の垢”





戦後、草枕にちなみ屋号を「那古井館」に変えた
この宿は、小天温泉で唯一の温泉旅館です。
下の写真の女将さんの話だと「那古井館」は江戸
時代の創業だそうです。

(BS朝日「草枕の舞台」)

(戦前の那古井館:BS朝日「草枕の舞台」)


明治30年、夏目漱石は、同僚と2人で、熊本市内
から一番近かったこの小天温泉を訪れました。
この小天温泉への旅を題材にしたのが「草枕」
です。
「草枕」では、漱石は、この小天温泉を、
”那古井”という架空の地名で描いています。
那古井館に入ったのは昼前でしたが、お腹が
空いたので、早速、熊本の銘酒「香露」と
懐石料理を注文します。





季節を感じさせる手間暇をかけた彩り豊かな料理で大満足です!


(添え物は、ここの庭の梅の枝です。)
一服したところで、那古井館の温泉に入ります。
草枕 (新潮文庫)
夏目 漱石
新潮社

漱石は「草枕」の中で、小天温泉を以下の様に
描写しています。
 「鉱泉と名のつく以上は、色々な成分を含んで
  いるのだろうが、色が純透明だから、入り
  心地がよい。
  折々は口にさえ含んでみるが、別段の味も
  臭いもない。
  病気に利くそうだが、聞いてみぬから、
  どんな病に利くのか知らぬ。
  湯はどこから湧いて出るか知らぬが、常でも
  槽の縁を綺麗に越している。」 
私も、”入って良し、飲んで良し”という豊かな温泉に入り、少し飲んでみます。
何となく身体に効いいた様な気分になりました。
那古井館には、下の写真の様に、宮崎駿も社内
旅行で来たそうです。

帰り際に、小天温泉バス停の前のお店のミカンが
美味しそうだったので買いました。

下の写真が買ったミカンですが、袋の中のミカンが何と400円!

そして回りのミカンとデコポンは試食用のオマケです!
余りに安いので、お店の人に気の毒なくらい
でした。

「那古井館」の裏手には「前田家別邸」があります
が、ここは、夏目漱石が宿泊し「草枕」の中に
描いた「浴場」と「離れ」が残っていて見学
出来ます。

この前田家別邸については、長くなり過ぎるので、
分割して次回にご紹介したいと思います。

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コメント一覧

更家
近場
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
手間暇をかけた懐石料理は、見た目も味も大満足でした。

そう、近場だといつでも行けるという気持ちがあるので、熊本に住んでいるときは、あまり行きませんでした。
長いこと故郷を離れて、文学的、歴史的な面など、ようやく色々な良さが分かってきた、ということでしょうか。
Komoyo Mikomoti
こんばんは。
http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249
江戸時代の創業で、しかも、草枕の舞台。
それだけでなく、懐石料理も美味しそうです。

考えてみると、近場で泊まるという機会はあまりないですね。
更家
九州の温泉
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
確かに、考えてみると、九州は、温泉が多いです。

鹿児島の指宿、宮崎の霧島、大分の別府、熊本の阿蘇、佐賀の嬉野、長崎の雲仙・・・

大分は別府意外にも湯布院などの素敵な温泉がたくさんありますよね。

熊本も阿蘇意外に人吉、玉名、菊池、日奈久などたくさんの素敵な温泉がありますよ。
帰省の際は、温泉巡りもしようと思います。
よっちん
http://blog.goo.ne.jp/harigatake1961
九州に行くと
「温泉が多いなぁ」と
思うんですよねぇ。

私の家人の実家は
大分県なのですが
近所にいっぱい温泉がありますわ。

応援ぽち
更家
次回は草枕の核心に
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
ありがとうございます。
次回は「草枕」の核心に迫るように頑張ります!

そう、故郷・実家でも、やはり熊本は遠いです。
hide-san
次回が楽しみ
http://blog.goo.ne.jp/hidebach
漱石の足音が聞こえてきそうですね。
次回を楽しみにしています。

一度行ってみたいですが、熊本は遠いですね。
更家
デコポンのハイボール
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
最近は、帰省の都度、故郷の熊本界隈を散策するのが趣味になりました。

そう、私も、「A列車で行こう」(JR熊本駅~三角駅)のバーで飲んだ「デコポンのハイボール」の味が忘れられません。
熊本名産のデコポンは一味違います。
iina
ふるさと
http://blog.goo.ne.jp/iinna/
帰省の都度、古里を見直し再確認するのもたのしそうです。
”入って良し、飲んで良し”の小天温泉の那古井館は、「草枕」の舞台にもなり風情があって泊まってみたいです。

デコポンは、熊本の友が贈ってくれてから大ファンになり、少し高くても買って食べています。最近は、ウィスキーの肴に
しています。

更家
熊本城の石垣
http://blog.goo.ne.jp/mrsaraie
そう、ミカン畑の石積みが、「熊本城の石垣」と同じ組み方というのには私も驚きました。

小天温泉へ行かれる際は、私と同じコースの路線バスで、日帰り、那古井館で昼食と入浴、が良いと思いますよ。(那古井館の食事は予約しておいた方が無難かも。)
船橋原人
ブログランキング
蜜柑畑の石積みが「熊本城の石垣」と同じ様な造りとは・・・
漱石はよほど温泉好きだったのでしょう。
「小天温泉」にも是非行って見たいと思います。
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