酒とROCKの日々

Rockと日本酒を愛するオヤジのDIMEで落とした音源等の紹介など。

KISSIN'TIME1978

2005-04-26 | Music
1978年1月22日(日曜日)AM4:30始発横須賀線東京駅行き。

 中学生だった私は、その当時人気絶頂期にあり、3度の飯より好きだったKISSの、彼等にとって前年に続き2度目となる日本公演のチケットを買うべく、お正月に貰ったお年玉の全てを握り締め東京駅八重洲地下街にある『東京駅プレイガイド』に向かいました。AM6:00に東京駅に到着。早速、八重洲地下街に向かい、目当てのプレイガイドを探します。暫く探していると向こうの方に日曜日のこの時間にしては異様な人の群れが見えてきました。嫌な予感がします。その群れの傍まで行って愕然としました。お目当てのプレイガイドの前にはもう既に徹夜組を含め200~250人位の人が並んでいました。生まれて初めてプレイガイドにコンサートのチケットを買いに来た私は、「いくらなんでも朝一番に行けば結構良い席のチケットが買えるだろう。上手くしたら2,3列目位かな」くらいの認識しかありませんでした。折角始発に乗って寒い中こんな所まできたのにと思うと悲しくなってきます。しかし気を取り直し最後尾に並ぶことにしました。当時はまだ『チケットぴあ』なんて無いのでコンサートのチケットの殆どはプレイガイドでの販売でした。現在のWEBや電話予約の様に“運”では無く、努力すれば必ず報われる良き時代でした。大抵2~1週間前に朝日、読売新聞紙上に告知が出て、プレイガイドで購入するというのが通常でした。

 ここに並んでいると、色んな人達がいるのに気が付きます。デカイ音量で周りなんか気にせずラジカセでKISSのテープを鳴らしている奴。去年のコンサートで撮った写真を周りの人間に自慢気に見せびらかしている奴。ダンボール箱を器用に小屋の様に作り替えて其処で寝ている奴。去年のコンサートの感想を友人たちと話している奴ら。その他諸々。そんなこんなで4時間経ち、プレイガイドの開店時間になりました。そのプレイガイドは事前に販売総枚数を店頭に張り出していました。例えば3月28日はアリーナ席50、1階席100、2階席300、29日は・・・という様に。ですから自分が大体どのあたりの席が購入できるかあらかじめ見当がつきます。販売開始して20分位経つと「アリーナ席は完売しました」、40分位経つと「1階席は完売しました」とご丁寧に店員らしき人がその都度まだ並んでいる人達に知らせてくれます。販売開始後50分、もう私を含め辺りは失望色一色です。1時間半位経ったでしょうか、ようやく私の購入の順番が近づいてきました。3人位前の人が販売員らしき人が提示する座席表とにらめっこをしています。4日間ある武道館のどの日程も既に2階席の後方しか残っていない様でした。でもここまで来たのだからどんな席でもチケット購入して帰ろうと思っていましたので、やっと購入順番が来た時、販売員のオバちゃんに「どの日程でもいいので1枚、1番良い席下さい」と伝えました。・・・とその時、奇跡が起きたのです。暫くチケットの束を見て販売員のオバちゃん曰く「1枚でいいなら29日アリーナあります」その時のオバちゃんの声は天使の囁きの様に聞こえました。当然、私の前に並んで2階席券購入した人からは羨望混じりの怒りの声が。私は思わず「それ1枚下さい。ありがとうございます」と自然にオバちゃんに感謝の言葉が。・・・それ以降は嬉しくて頭の中が真っ白になって、余りよく憶えていません。気が付いたら上の空でコンサートチケット握り締め帰りの横須賀線に乗っていました。その時のチケットが上の写真のチケットです。

 私が40年余り生きて来て唯一、神の存在を感じた瞬間でした(笑)。

KISS JAPAN TOUR'78
3月28日 日本武道館
3月29日 日本武道館
3月30日 日本武道館
4月 1日 日本武道館
4月 2日 日本武道館(追加公演)

プレゼンス

2005-04-25 | Music
 リズム&ブルースに多大な影響を受けた3人がぶつかり合い、そのエネルギーを見事に昇華させたクリームがブリティシュ・ハードロックというカテゴリーの先駆的存在であるならば、レッド・ツェッペリンはその意志を継承しブリティシュ・ハードロックのスタイルを完成させたグループではないでしょうか。


 1969年に1stアルバム《レッド・ツェッペリン》でデビュー。その後彼らは1年1作ペースで作品を発表していきます。そして1976年、7枚目のオリジナルアルバムとしてこの《プレゼンス》は発表されました。デビュー以降は、ハードロックというジャンルだけにとらわれることなく、アコースティックなものや、かなり実験的なサウンドも駆使し、メンバーでもあるジミー・ペイジのプロデュースのもと完成度の高い作品群を発表してきました。しかし、この《プレゼンス》の前ではそれらは単なるリハーサルだった様にも感じられます。言い換えればレッド・ツェッペリンという不世出のグループはこの《プレゼンス》というアルバムを製作するために結成されたのではないかとさえ思える程、ブリティシュ・ハードロックのアルバムとしては完璧な作品です。正に彼等の到達点的なアルバムではないでしょうか。

アルバムには全7曲収録されていますが、ラストの「一人でお茶を」なんていうおちゃらけたタイトルのブルース・ナンバー以外は1曲目の「アキレス・ラスト・スタンド」から6曲目の「何処へ」まで緊張感を持続させながら音の塊のようにハードな曲が続きます。サウンドの核となるのは、ジョン・ボーナムのヘヴィでパワフルなドラミングと、時にはシャープで時にはハードでラウドなジミー・ペイジのエレクトリックギターです。この一連の音の塊のなかではロバート・プラントのハイトーンなヴォーカルもサウンドの1つにしか聴こえてきません。また、6つの各々違った楽曲が音の塊の様に聴こえるのは、各曲のサウンド・アプローチに統一性があるからだと思います。これはプロデューサーでもあるジミー・ペイジが意図的にそうしたものではないでしょうか。
そんなこんなで、この《プレゼンス》は私にとって最高のハードロック・アルバムであります。


 彼等はこの《プレゼンス》発表後、後に数々の興行記録と伝説を残し、また結果的に最後となる1977年のUSツアーに突入してゆくのです。