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精神科治療における電気ショックは、最先端の仮面をかぶった古典的治療法(一部再掲)

2013年02月17日 | 看護論的経営論



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精神科における電気ショックは、近頃さらに隆盛を極めている。

 

  

電気ショックとは、その昔、精神科治療において積極的に実施されていた治療方法である。

旧来から、重度のうつ病や統合失調症等の患者を対象に盛んに行われていたが、その効果と倫理的問題から一時は衰退したように思えた。

 

ところが、近年その勢いは盛り返してきており、ここ数年隆盛を極めているというわけである。そのきっかけは、電気ショックの際、全身に麻酔をかけるようにし、体そのものには痙攣を起こさせなくし、骨折や脱臼を防げるようになった。それが、見た目も含めて、倫理的問題が解消されたかのように見えるようになったからだろう。

 

それはいま、修正電気ショック療法と言ったり、無痙攣電気ショック療法、頭文字をとってm-ECTなどさまざまな表現で言われたりする。

精神科の治療現場では、最先端の治療のように捉えられがちであるが、その治療方法はただ、全身麻酔をかけただけの倫理面への配慮に欠いた古典的治療法であると言いたい。

 

 

そして、この電気ショックの問題であるが、私のブログを振り返ってみると、

2009年09月28日の時点で「今流行の ECT -電気痙攣療法、電気ショック療法- 」と題してblogにアップしている。

 

まずは、当時の記事に目を通してほしい。

 


 

最近見直されている電気ショック療法。


難治性のうつや状況によっては統合失調症にも使用されることがあるようだ。

ここ最近は精神科でも麻酔科医を入れて無痙攣電気ショック療法を行っているようであるし、各地方の人たちと会って話を聞くと、かなりECTが流行している感がある。

ようするに、治療法として再び認められてきた(いや、認められた)ということだろう。



私の考えは、端的に言うと「反対」というか「猛反対」



この問題は、多剤大量療法と誤診が深く関連していることを知るべきだ。




特に、一人の医師が薬物療法を開始し、誤診と誤処方の末多剤併用療法に比較的短期間でたどり着き、改善よりむしろ悪化したからと言ってECTをする。


要するに、医師が悪化させたのに、ECTで尻拭いをするという奇妙なケースが時々見受けられる。しかも診療報酬がうけとれるとう不思議なビジネスモデルだ。




多剤で儲かり、ECTで更に儲かる。


これでは、患者が地域へ行くどころか、入院患者が増えて当然だろう。
薬物療法やECTなど現状の精神科治療の問題を抜きにして、看護師のレベルだけをあげても一定の限界があるという側面も見なければいけない。



ただし、ECTを全否定するわけではないことを最後に付け加えておく。適応のケースもあるのだが、ここで説明すると、また長くなるのでひとまず割愛。


 

 

 

 

と、まぁ、今から3年半ほど前に書いた記事である。

 

 

そして、さらに一年もたたない2010年06月13日に「精神科において電気ショックは最先端か」と題して、懲りずに電気ショックについて記事をアップしている。

内容は以下。

 

 


 

前回の記事で行動制限について書いた。
隔離・拘束は治療に必要な場合があったとしても、人権・倫理面を考慮して最小限のものでなければならない―


精神科における行動制限については、色々議論されている。悪いことではない。
かたや、精神科における電気ショックの是非はさほど議論されていないように思う。


電気ショックについては、昨年blogに書いた。一度目を通してほしい。




電気ショックは議論されるどころか、年々日に日に最先端のものとして各施設導入されてきている感がある。


当法人の精神医療ホットラインにも治療を開始して早々に電気ショックされたという家族さんからの相談事例もあった。

ここまでくれば人権もくそもない。ただ、症状を標的としてそれを治療と称する無法地帯となりつつある。



最近特に思う。

薬の多剤併用にしろ電気ショックにしろ、患者を見ず症状のみを見た結果起こっているのではないかと。
こんな話をすると、
「なにを基本的なことを」
と思うかもしれないが、医師の一部に散見されるのは事実だろう。


人間そのもの(あるいは背景を含んだ全体)を見ないがために、ベロが出ようが手が震えようが、激しい便秘になろうが、首が直角に曲がろうが気にしない。少々妄想があるのと、それより妄想はましになるが副作用が強いほうがあれば、後者を治療方針として選ぶ。


自覚していないかもしれないが、こういう治療はまだまだ多いはずだ。



人間像を見ない治療はど素人でもできる。ECTは最先端どころか

※「私は治療できませんでした」

と、白旗を上げているに等しい。



また、最後に言うが
確かに困難事例はある。それこそ、長年多剤併用で認知機能どころか、理性もコントロールできなくなった人の場合は、適応があるかもしれない。

しかし、その際でも看護を含む医療スタッフ全員で議論して決定すべきだろう。

 


 

 

このようにしてしつこく問題提起をしてきたが、電気ショックの頻度は鎮静化するどころかさらに増えているように思う。

 

 

 

問題は医療従事者の治療・看護感覚のマヒにある。

ここで、以下に電気ショックに至るまでのありがちなイメージを挙げてみた。

 

1、診断基準のあいまいさから、治療が逸脱し、薬ですべてを矯正しようとしてしまう。

     ↓

2、その結果、身体的なものにとどまらず、精神症状や認知機能障害が副作用として出現する。それが薬の副作用ではなく、精神症状の悪化と認識されてしまう。

     ↓

3、その症状を軽減させる目的で、さらに薬を増量したり、いろいろな薬に変更したりするが、悪化の一途をたどる(減薬・スイッチングの基礎知識がないことも要因)。

     ↓

4、この症状をみて、難治性統合失調症(あるいは難治性うつ病等)という病名に変化して電気ショックの適応ではないかとの話になる。

     ↓

5、電気ショックの結果、症状的には見事に奏功する。

 

 

この流れをみて、医療従事者は

「電気ショックってよく効くよね!」

などと、症状の回復をみて感動する。

 

 

ところが、その患者のいくらかは症状が再燃する。症状の再燃によって、電気ショックが何クールも繰り返され、過去の記憶や判断力は失われていく。

そしてそのまま記憶の一部が戻らなかったり、体の不調などに悩まされるようになる。

 

しかし、我々医療従事者は、このあたりの問題にあまり敏感に反応しない。 

つまり問題は、患者の人生を包含した倫理面が、医療従事者のマヒによってマスクされてしまっているということだ。

 

 

治療とはなんなのか、

人の記憶が失われようと、身体症状に苦しめられようと、

目先の症状のみが一時的にでも軽快すればそれでいいのだろうか。

 

電気ショックの問題に触れる際、

それに代わる治療方法の提案がなければ、ただの反対派に聞こえてしまうかもしれないが、

 

・大きなずれのない診断、

・より的確な薬物療法、

・加えて環境調整

・治療とはなんなのかということの再考

・医療従事者の感覚麻痺からの脱皮

 

このあたりの認識があるかないかで結果は大きく変わる。

治療経過の問題などもあり、電気ショックをありかなしかで議論することは危険であるが、

あまりにも、安易に施行されすぎている現状を見て、改めて問題を提起させてもらった。

 

 

今日は、ひとまずこのあたりで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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