ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

バンコクシティーバレエーロメオとジュリエットー

2008年07月27日 | Weblog

バンコクシティーバレエのロメオとジュリエットを見ました。

以前の記事でバレエ学校の発表会とは違いますとの御指摘がありましたがその通りパリ・オペラ座バレエよりのゲスト3名のバンコクでは滅多にお目に掛かる事の出来ないLEVELのプロのバレエを中心に中々のバレエでした。

音楽はプロコフィエフの物を録音というのはバンコクでは致し方ないところでしょうが振付は1965年ロイヤルバレエ団のためにマクミランが振付けた版をバンコクシティバレエが独自に直した物でした。このバレエ団の芸術監督で創設者は平田MasakoさんというAsamiバレエ団から1996年に御主人の転勤でバンコクにいらした方だそうでそれからこのバレエ学校を創設されたとのこと。昨年の10周年のドンキは特に気合が入っていたそうでしたが今年のロメオとジュリエットも楽しめました。

一幕4場、2幕3場、3幕4場とマクミラン版の一幕6場、2幕3場、3幕4場を略そった物で実はロメオとジュリエットの定番と言われるこのマクミラン版を見るのは初めてだったので新鮮でした。

振付はオペラ座のゲストは別としてタイのダンサーのレベルに合わせた群舞など。2幕1場の結婚式の場面でバレエ学校の生徒と思しき子供達や若いダンサーが総出演しただけで全体のバレエとの違和感はさほど無し。

ロメオ役は1987年生まれオペラ座コリフェに昨年昇格したダニエルストークス。タイ人の男性ダンサーと並ぶと足の長さ、身長とやはりバレエを踊るのに恵まれた体型が光るしロメオに相応しいハンサム系。今年1月の日本公演にも参加とのこと。只途中のフェンシングを使った決闘シーンではタイダンサーとの剣先のタイミングが合わないのは練習不足で致し方ないところもあるが如何も後半剣を振り回すのに疲れた感あり。ボリショイのスパルタカスを踊る男性ダンサーは格闘技に向くような上半身の発達したダンサーが多いが彼は優男系なんでしょうね。

ジャンプの高さはタイダンサーとは比較にならない高さでしたが驚くほどのレベルではなかったですね。

それよりも良かったのは1983年生まれのジュリエット役のハノン ロー。

一幕のロメオとの出会いでのはにかみ、バルコニーシーンでの喜びの表現と乙女の姿を見せたかと思えば3幕3場でパリスとの結婚に同意した後のパリスとの幽霊の様な踊り。3幕4場でのロメオが動かないジュリエットを抱き抱えて踊るシーンの演技など素晴らしいものでした。

パリス役のシリル ショクルンはNHKのルグリのバレエレッスンの模範演技をつとめたダンサー。

今日も公演があるようですがバンコク混声合唱団のStageと同じ時間なので見に行けないのは残念。

このような高い水準のバレエはバンコクでは滅多に見ることが出来ないんですが空席が目立ったのは残念でした。

当方のようにバレエ学校の発表会のレベルと勘違いした人が多かったのかも知れませんがそもそもタイのバレエ鑑賞人口が少ないんでしょうね。

 

 



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4 コメント

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ロミオとジュリエット (さわ)
2008-07-27 12:24:42
練習時の話をずっと聞いていたのでどうなるかと思ってましたが、私もかなりのレベルだったと思います。
公演2日前に来て合わせるのがとても大変だったのことです。管理人さんが言ったとおり、剣を使ったシーンはなかなか合わなかったとかで。
ただ、ロメオ役のダニエルストークスさんはとても一生懸命で本気でうちこんでくれ、ジュリエット役のハノンローは最初から踊れたと聞いてます。
去年はカール・パケットが来ましたが、その他の若い二人の保護者・指導者的立場という感じで、私にはあまり熱意は感じられなかっったです。
とてもよかった・・2日続けて観てもよい出来栄えだと思います。
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さっそくども (管理人)
2008-07-27 12:52:48
さわさん
早速のコメントありがとうございます。
そうですか2日前だったんですか。
流石プロですね。
若いだけあって遥々バンコクでのダンスでも主役で気合入ってましたね。
ロメオとジュリエットの二人の間には熱い物を感じました。
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マクミランとラブロフスキー版 (Nana)
2008-07-27 16:50:30
ロミオとジュリエットが、熱くて良かったですね。
案外スター同士等でも、「二人がロミオとジュリエットに見えない」の事はよくあるので。

マクミラン版:元々は、昔、ロシアで「ラブロフスキー版」が作られ、ウラーノワらが、大成功を収め、これをどこかで見た、確かロイヤルの関係者かなにかが、ラヴロフスキー版を自分達も上演したかったが、上演権が得られなかったか何かの事情で、ラヴロフスキー版をまねて、マクミラン版が作られた、とバレエ本で読みました。

ところが、いまや、「ラブロフスキー版」はやや古臭く感じ、マクミラン版の方がメジャー?になってますよね。

また、同じマクミラン版でも、本当のマクミランの体現者で見た方で、ロイヤルバレエのは、マクミランの陰鬱さや、マクミランの性的トラウマを感じさせる(これは、「マノン」もそう)ものだったのに対し、だいぶ前にABTが上演したマクミラン版は、装置ももっと華麗できれいで、「マクミラン臭」が全然なく、振付の表面だけが同じで、別の作品を見ているようでした。(個人的には、この時のABTのも好きです)

マクミラン臭をなくせば、マクミラン版は、わかりやすいというか、エンターティメントとして見やすい版になっているのではないでしょうか。原版のラヴロフスキー版は社会主義リアリズムと思うけど、今見ると、写実主義的な版ですね。(ザハロワが昔踊ってたのはコレ)

そんなわけで、同じ版でも上演するバレエ団やダンサーによって大いに違って見えるようです。
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ども (管理人)
2008-07-28 09:01:27
Nanaさん
詳細コメントありがとうございました。
寄稿も頂きました。早速UPさせて頂きました。
今後共宜しくお願いします。
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