私が学生の頃、光ファイバ通信は、大学と企業で研究が始まったばかりで、世間からは殆ど認知されていませんでした。
光ファイバを使うと銅線のケーブルでは不可能な動画の伝送が出来ることや、光ファイバの原料はガラスなので地上に無尽蔵にある、ということを講義で教えてもらうと、ますます関心が出ました。
しかも私が探していた「物理と電子工学の境界領域」にぴったりでした。光学や量子力学は物理の領域ですが、回路理論を応用した分布定数や、デジタル変調は電子工学の分野でした。これを全部マスターしている人はそれほどいないはずです。
つまり、その頃の光通信は
- 研究が始まったばかり
- 将来が有望な産業分野
- 境界領域で自分でも頑張れば第一人者になれる可能性がある
ということで、私にとっては3拍子揃ったテーマでした。後で述べる第4の理由が付け加わり、私は迷わずこれを自分のライフワークと決めました。
結果的には、技術者として光通信用の半導体レーザが自分のテーマだったのは最初の10年で、その後は光ディスク用の半導体レーザや超LSIの開発に携わっていますが、学生時代に半導体や高周波回路に関する基礎をみっちりと身につけることが出来たことが、今の私の源泉になっています。
皆さんがデビューする現代の社会は、私の時よりも更に混迷の度合いを増しています。
ですからこそ、『これは自分の一生を託すテーマかも』・・・と思えるものを是非見つけてください。
惚れたテーマならば、食べることも寝ることも忘れて没頭できます。
そうやって身につけたものは強いです。だれにも負けません。
(画像は住友電工のHPからコピーさせていただきました。)