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福岡県宗像市在住、井上正文のブログです。

災害ボランティアセンター体験

2006年05月15日 | 災害ボランティア
9日の5月公開型例会は、災害ボランティアコーディネーターの第一人者である伊永 勉(これながつとむ)氏をお招きし、災害ボランティアセンターの立ち上げを体験しました。
まずは、伊永 勉先生の講演内容を紹介します。

県や市町村・日本赤十字や社会福祉協議会さんが主催されてのことではなく、JC(青年会議所)の皆さんが発案されて地域住民の皆さん、行政などの公的機関にも声を掛けて、災害ボランティアのシミュレーションをしてみようというのは非常に嬉しいですし、これが全国に広がる一つの例になってほしいと期待しています。

今日のテーマはボランティアセンターを実際に立ち上げてみようということです。皆さん自身がセンター運営側になり、あるいはボランティアスタッフになり、そして被災者にもなってみるという体験をされて、どう調整をしていくかを学びます。私(伊永氏)はこれまで世界各地で30数回の災害ボランティアを経験しましたが、日本人の底力はすごいです。他人が困っているのを見過ごせない国民性があるのです。

災害ボランティアは例外なく誰でもできます。幼稚園の子であろうが老人の方であろうができます。災害ボランティアは「労力」を提供するか、「物」を出すか「お金」を出すか、「情報」や「知恵」を出すかです。災害ボランティアに参加できませんという方はいません。特に主婦の方の力は大きくて、女子大生が10人かかっても、主婦が一人いればできます。(主婦は)子育ての経験があり、炊飯の経験があり、掃除も洗濯もできる。お年寄りがいらっしゃる家庭では介護の苦労もなれている。これは立派な被災者への支援です。ですから普段から自分は何をできるのかを意識しておいてください。皆さんが日常で経験されていることを災害時に活かしてください。

さて、これから実際に災害ボランティアセンターを立ち上げるのですが、ボランティア未経験の方がバラバラに個人で来られる場合と組織で来られる場合があります。一方、被災者は何でも要求します。しかし役所には限界があります、やりたくともできないことがあるのが役所の仕事です。「公平平等」という原則に基づいて、特定の人のために勝手に税金を使えません。本当は役所の皆さんも目の前で困っている人がいたら助けたいのです。だけどできない。では誰ができるのかと言えば民間しかないのです。災害ボランティアセンターは民間の組織です。公平平等ではなく、最もその人にとって助かるということを優先的にできるのです。そのためには被災者の要求に応えられる「人・物・場所・情報」をいかに集めておくか、要するに災害ボランティアセンターは一つの事業所の経営です。ですから事業所を経営するという感覚でセンターを運営してください。

リーダーとコーディネーターは違います。リーダーはカリスマ的になって結構です。命令して結構です。自信もってやってください。その代わり失敗したら腹切ってくださいよ。それとリーダーになった以上は途中で辞めないでください。指揮官である以上は辞めたは許されません。覚悟を決めてリーダーになってください。

コーディネーターは客観的にクールに現場を采配してください。一度に10個の要求が来たら、それを全部叶える方法を考えてください。100個・200個の課題をどうすればクリアできるか、してあげるのでなく、クリアする方法を考えるのがコーディネーターの仕事です。そして一番大切なのはボランティアの安全を頭に置いてください。ボランティアが怪我をしたり死亡したりすることもあります。例えば災害ボランティアセンターのリーダーは自賠責保険に3億円入ります。私(伊永氏)自身が運営している時も死亡者が出ました。

JC(青年会議所)の皆さんは規模の大小はありますが、事業所の経営に携わっている方が多いと思います。経営者感覚で災害ボランティアセンターを運営し、色々なチャレンジをしてください。

この後、全員をABCの3チームに分け、災害ボランティアセンターの運営に携わる役割と、ボランティアや被災者になる役割と、その様子を見学する役割の3つをそれぞれ順番に経験しました。

災害ボランティアセンターチームは、まったくの白紙の状態でセンターを立ち上げ、ボランティアと被災者役のチームは、要求カードを持ってセンターを訪れます。その要求カードにセンターは答えを出していくのです。

 
 

早速、班分けをして、センター長を決め、センター長の指示で各部署の責任者を決め、センターのレイアウトなども短時間で決めていきます。大切なのは瞬発力です。

私(井上)はC班に配属になり、センター長を志願しました。「理事長がセンター長やったらイカンやろ」という意見もありましたが、この経験が翌日の事業に多少なりとも活きたように思います。

伊永先生は初めにおっしゃられました。「今日のセンター運営は絶対、失敗すると思います。しかし失敗が今後の教訓、糧になります。どんどん失敗してください」と。

センター長を経験し学んだのは、リーダーが下す「決断」の重さです。そして決断は「絶対善」では無いということでした。

大切なのは目の前の現実に瞬発的に対応することです。そして、あらゆるケースを想定して先を読む力を鍛えておくことの大切さを学びました。

最後に9日の公開型例会にご出席くださいました各団体・行政・市民の皆様に感謝申し上げます。

<協力団体(順不同)>
宗像市社会福祉協議会・宗像市商工会・クリーンアップ宗像・玄海未来塾・ガールスカウト宗像支部・ボーイスカウト宗像支部・宗像少年の翼・宗像少年会議所・宗像市役所総務部総務課・福津市社会福祉協議会・福津市商工会・福津市役所市民部生活安全課・福津市役所地域生活部郷育推進課・古賀市社会福祉協議会・古賀市商工会・古賀市役所総務部総務課・福岡県総務部消防防災安全課・宗像ユリックス・社団法人日本青年会議所九州地区福岡ブロック協議会・福岡ブロックLOM支援委員会・福岡ブロック会員拡大支援委員会・宗像市、福津市、古賀市に在住の市民の皆様・宗像青年会議所シニアクラブ及びOBの皆様

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