『死の島の博士』を読了。姉妹、じゃなくて島医3部作中では
一番ストーリーラインがわかりやすく、深く突っ込まなくても
面白く読める作品だと思う。
ビジネスパートナーを殺害した罪で服役中の男がガンを患い、
その治療法が確立されるまで冷凍保存されることになった。
彼が目覚めたのは40年後。医療の発展でガンは治ったが
不死療法の確立した世界は、どこか奇妙な変貌を遂げていた。
やがて彼は懐かしい本、そして懐かしい人々と再会する。
しかしそれらもまた、奇妙な姿へと変貌していたのだった…。
『アイランド博士の死』を怒れる=イカれる青春小説とすれば、
こちらはビジネスあり不倫ありの、ほろ苦い大人向けロマンスか。
あるいはネガティブ版『夏への扉』といった趣きもある。
『アイランド博士』とは対照的に、こっちはある程度の歳を
重ねている人のほうが、すんなり共感できる点が多いかも。
本を人に見立てたり、不死と芸術の関係に言及してみたり、
やっぱり主人公の記憶があやふやだったりと、ウルフらしい
仕掛けや目くらまし、隠されたテーマなどはいろいろあるが、
読んでいる間にわずらわしくなるほどのものではない。
これなら一般受けも期待できそうな話である。
ただし前2作を読んできた読者にとっては、これがまたもや
正しい意味での「続編」だということがわかるはず。
ラストを読めば、これが3部作の掉尾を飾る作品だった理由も
納得がいくというものだ。
最後に出てくるのは真の意味での「デス博士」なのだから。
付け加えるなら、ここへ『島の博士の死』を加えることにより、
『The Wolfe Archipelago』はひとつのサイクルを形成する。
3部作だけでは線的な流れだった作品群が、人生の大きな輪を
形作るのである。
3部作読了後にもう一度「まえがき」を読んでみると、改めて
ウルフの巧妙な手口が実感できるというわけだ。
ただし、円環にとらわれて抜け出せなくならないように。
この先にはまだまだ「その他の物語」が控えているのである。
一番ストーリーラインがわかりやすく、深く突っ込まなくても
面白く読める作品だと思う。
ビジネスパートナーを殺害した罪で服役中の男がガンを患い、
その治療法が確立されるまで冷凍保存されることになった。
彼が目覚めたのは40年後。医療の発展でガンは治ったが
不死療法の確立した世界は、どこか奇妙な変貌を遂げていた。
やがて彼は懐かしい本、そして懐かしい人々と再会する。
しかしそれらもまた、奇妙な姿へと変貌していたのだった…。
『アイランド博士の死』を怒れる=イカれる青春小説とすれば、
こちらはビジネスあり不倫ありの、ほろ苦い大人向けロマンスか。
あるいはネガティブ版『夏への扉』といった趣きもある。
『アイランド博士』とは対照的に、こっちはある程度の歳を
重ねている人のほうが、すんなり共感できる点が多いかも。
本を人に見立てたり、不死と芸術の関係に言及してみたり、
やっぱり主人公の記憶があやふやだったりと、ウルフらしい
仕掛けや目くらまし、隠されたテーマなどはいろいろあるが、
読んでいる間にわずらわしくなるほどのものではない。
これなら一般受けも期待できそうな話である。
ただし前2作を読んできた読者にとっては、これがまたもや
正しい意味での「続編」だということがわかるはず。
ラストを読めば、これが3部作の掉尾を飾る作品だった理由も
納得がいくというものだ。
最後に出てくるのは真の意味での「デス博士」なのだから。
付け加えるなら、ここへ『島の博士の死』を加えることにより、
『The Wolfe Archipelago』はひとつのサイクルを形成する。
3部作だけでは線的な流れだった作品群が、人生の大きな輪を
形作るのである。
3部作読了後にもう一度「まえがき」を読んでみると、改めて
ウルフの巧妙な手口が実感できるというわけだ。
ただし、円環にとらわれて抜け出せなくならないように。
この先にはまだまだ「その他の物語」が控えているのである。
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