知っ得!医療健康ブログ

私たち医療スタッフが、患者さまに役立つさまざまな情報を発信していきます

YELL  (6)  will -to -meaning

2012-09-22 | 日記

奥も広~い!から松・白樺林に面したテラスのあるカフエ@北軽井沢 Sep.2012

前回の山栗は、このお店の庭で拾わせていただきました。もちろん許可を得て(^^)

 

2011年一時中断した糖尿病教室は、2012年は無事終了することができました。ご協力いただいたすべての方に心より感謝申し上げます

とはいえ、震災後遺症は続いています

(私がつい最近までそうであったように)思い通りだと思っていた人生が、突然の出来事で、すっかりぼやけ、気持ちが沈んだり、自分の今までの価値観、選択、行動に自信を失ってしまった人、迷われている人に、ユダヤ人で精神科医であったフランクルのwill-to-meaning(意味への意志)という言葉を贈ります

フランクルはナチスの圧迫から逃れてアメリカへ移住しようとビザを手に入れましたが、父親が老齢のために脱出できないでいました。父はフランクルだけでも逃げるよう言いましたが、フランクルは父と留まる選択をしました

意味への意志とは、人間はただ単に快楽原則に動かされるものでも、現実の原則に向かうものでもない。苦痛が待っていることを百も承知し、損をする事が目に見えていても、その人にとって意味がある行動をとる。その傾向が人間の生への原動力になっているということです

誰もがすばらしいと思える行動であろうと、あるいは、非常識だと思う行動であろうと、又、本人も後になって、反省したり、間違っていたと気づいたとしても、その行動をとったまさにその時は、その人にとって意味があるのです

  • この経験によって、自分自身の生き方を考え直す機会を得られた
  • この経験によって、自分自身が多くの人に助けられ、大切にされて生きてこられたと実感した
  • この経験によって、自分の従来の価値観が、とても狭く、未熟であったと理解できた
  • この経験によって、自分がどんな人間になりたいのか、明確に答えをだすことができた
  • この経験によって、人を思いやる心、相手の立場を真剣に理解しようとする気持ちの大切さを知った
  • この経験によって、生きる責任と主体性、勇気を得た
  • この経験は、自分が成長する為の試練であり、避けて通れない道であった 

私という唯一無二の人生の脚本です。いつでも、好きなように書きなおせばいいじゃないですか?(^^)

 


糖尿病の入院治療

2012-09-20 | 日記

 

山栗ゲット@軽井沢 Sept.2012

上野から新幹線1時間。旧軽井沢はまるで原宿のように若者で賑やか。軽井沢らしさを求めるなら、中軽井沢~北軽井沢、隠れ家的カフエが多いです。具体的には・・・秘密です(^^) 

 

糖尿病患者さんが、入院して糖尿病を治療しなければならない場合は二通り

A.教育・治療入院

目的

  1. 糖尿病についての知識、糖尿病の検査、薬物治療、食事療法、運動療法について知識を深め、実践していただく、いわば、糖尿病初心者さんへのオリエンテーション
  2. 糖尿病合併症の有無を精査する
  3. 血糖コントロールのための治療を入院して集中的に行う

各医療機関で10日間から14日間でプログラムが組まれています。当院でも、11日間のプログラムを提供しています。

その間、患者さんは、糖尿病食を実食し、毎食前に簡易血糖検査器で血糖をはかり、運動療法を実践し、医師や看護師、薬剤師、栄養士と、ゆっくり話をする時間ができます。毎日の生活をどのように過ごせばよいかの指針が確立できるという訳です。入院中はオリジナルテキストや、学術ビデオなどで、糖尿病についての知識を深めていただけます

B.治療入院

目的

  1. 糖尿病の血糖コントロールが悪化し、外来では改善が見込めない場合です。規則正しい生活、食事、そして薬物療法の見直しをします。はじめてインスリンで治療する(=インスリン導入)場合も入院します
  2. 急性合併症などで生命に危険が差し迫った場合の早急な治療を目的とした入院

 

患者さんの健康を守り、よりよい治療を進める上で、どうしても入院治療が必要になる場合があります。入院というと、誰でも憂鬱になるかと思いますが、退院するときは、入院してよかったと思っていただけるよう、しっかりサポート、治療をしたいと思います(^^)

 

 


糖尿病の慢性合併症 脳梗塞/心筋梗塞/下肢動脈病変

2012-09-19 | 日記
心穏やかに”和”@京都 2011 秋
”きょうと” という響きに、私はとても弱い
センチメンタルで、ノスタルジック、艶っぽさに対する憧れですかね~
今年も行きたいなあ~でも、秋に独り京都・・・ちょっと寂しい(・・)かも?



前回お話した糖尿病の3大慢性疾患に加えて、
動脈硬化性疾患(脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、下肢動脈閉塞症)は大きな問題です。
軽い境界型糖尿病の人でもリスクは増加します。メタボリックシンドローム、喫煙する人では、さらに病気になるリスクが増大します。

**動脈硬化性疾患の危険因子**
まさにメタボ+喫煙!!
  • 高血糖
  • 脂質異常
  • 高血圧
  • 肥満
  • 喫煙
これらの危険因子をうまくコントロールすることが、動脈硬化性疾患の予防に大変重要です
では、動脈硬化とは?
血管(動脈)の内腔を縦切りにした図です
上記の危険因子の影響で血管の内側の壁にプラークといわれるカスがこびりついてしまいます
その中身は悪玉といわれているコレステロールや血小板などです

このプラークが小さくて、そのままなら心配ないのですが、


1.プラークがどんどん溜まり、増大すると
→血液の流れが悪くなる
→さらに閉塞する
→その先の組織に栄養障害をおこす
→組織が死滅する

2.プラークを覆っている膜が破れると
→中のカスが血液と混じり合って血栓を作り、
→細い血管まで流れたところで血管が詰まります
→その先の組織に栄養障害を起こす
→組織が死滅する

3.プラークが長い年月のあいだに石のように固くなると
→血管の弾力性を失わせます
→硬い血管の一部が血管がひび割れ
→血液が漏れ(=出血)ます
→周囲の組織を含め組織が破壊する

1~3のような進行した動脈硬化が、特に心臓血管、脳血管に出現すると、結果的に心筋梗塞、脳梗塞を発症するに至ります

動脈硬化な変化は年齢を経ると誰にでも多少現れます
ところが、危険因子の程度によって、平均より急速に動脈硬化が進行すると
若い年齢で(たとえば40歳~60歳台で)心筋梗塞や脳卒中を発症したということにもなりかねません


1.糖尿病患者さんの冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の特徴
a.糖尿病が心筋梗塞を起こす危険度は健康な方の3倍以上
b.糖尿病患者さんの急性心筋梗塞は、はっきり症状がないことも多く、発症したときはかなり進行した病状になってしまっている場合も少なくありません
c.糖尿病予備軍の段階から、動脈硬化の危険因子を管理目標としてコントロールしていく必要があります。定期的に医療機関でチェックしましょう

《冠動脈血管の検査》
頸部動脈エコー(間接的)
心臓血管(冠動脈)CT
心臓カテーテル検査  など

 
2.糖尿病患者さんの脳血管障害の特徴
a.脳出血よりも、脳梗塞が多い
b.糖尿病が脳梗塞を起こす危険度は健康な方の2~4倍
c.隠れ脳梗塞の頻度も高い
d.何度も軽い梗塞を繰り返し、認知症になる場合もあります
e.予防のために、早い段階から血糖管理と血圧管理が重要です

《脳血管の検査》
頸動脈エコー
頭部MRI/MRA  など
 
3.末梢動脈疾患
足の動脈に動脈硬化が強く出現した病態です
糖尿病患者さんに特有ではありませんが、糖尿病患者さんの10~15%に合併します
進行すると足の壊疽となり、足を切断しなければならい場合もあります

以下の症状があったら、早急に医療機関を受診しましょう
また、予防には日頃から足を清潔に保ち、
足の状態をよく観察し、水虫や傷、胼胝(たこ)魚の目などは早めに治すことです

**末梢動脈疾患の症状**
気になったらすぐに医療機関を受診ください
  • 足の冷感しびれ感
  • 少し歩くと足が痛くなり、歩行困難となる
  • 皮膚のびらん、壊疽、潰瘍ができる
  • 足の温度感覚が鈍くなる

《末梢(四肢)動脈の検査》
下肢血管造影
下肢動脈エコー
ABI など

血管の健康度をチェックする検査法は、とても簡便なものから、患者さんに多少負担のかかる検査まで幅広くあります。患者さんの危険リスクの程度や病状、体調に合わせ、医師と充分相談いただいた上で検査を進めましょう(^^)








糖尿病の3大慢性合併症 

2012-09-19 | 日記

 

アップルパイ@穏やかな休日の午後

 糖尿病だけど、スイーツが大好き!って患者さん達に、間食をしたり、お酒を飲んだりしても、うまく血糖コントロールしているコツをききました。

  1. 処方された薬はきちんと、かかさず服用する
  2. 間食をしたときは、主食(ごはん、パン、パスタ、麺類)を控える
  3. 女性の場合、毎日汗をかくほど家の中の掃除をする
  4. 男性では、出勤する時は駅まで歩く、駅では階段を使い、とにかく歩く動く
  5. たくさん食べるときは、いつものビールをノンカロリーにする

でも、一番大切なことは人生を楽しむこと!だそう・・・これ私の父と母の話し(^^)

糖尿病の慢性合併症は、全身のあらゆる臓器に起こりえる訳ですが、特に以下の3大合併症は、患者さんの生命予後を決定づける病態です

《糖尿病の3大合併症》

高血糖が持続することで、まず微細な血管の内腔壁が傷つきます。微細な血管の多く集まる臓器は、主に眼、腎臓、そして手先足先ですね。それら血管が壊れたり閉塞することによって合併症が出現するのです

1.糖尿病網膜症

持続する高血糖によって眼の網膜の細い(微細な)血管にダメージを受ける

→血流障害や出血

→視力障害となります

糖尿病と診断されたら早急に眼科を受診し、定期的に診察を受けましょう

2.糖尿病性腎症

持続する高血糖によって腎臓の細い(微細な)血管にダメージを受ける

→血管周囲の繊維性組織が増加

→腎臓の働き手である細胞が破壊

→機能障害となります

腎臓の機能そのものを回復する決定的な薬は現在のところありません。軽い機能障害は可逆性がありますが、境界線と超えて悪くなると、もう元に戻ることは不可能となり、腎不全が進行すると透析を余儀なくされることもあります。

又、腎臓は血圧、心機能とも関係していますので、腎機能が悪化すると血圧も上昇し、心臓の機能も低下します。

***腎臓を守るために必要なこと***

a.血糖のコントロールはもちろん!

b.塩分を控える

c.腎機能の段階によってはタンパク質、水分摂取制限や運動制限が必要になったり、女性の場合妊娠出産が不可能となる場合もあります

d.血圧のコントロール  が重要です

 

3.糖尿病神経障害

糖尿病神経障害は、

A.多発性に神経が障害される場合

B.単発で神経が障害される場合  とありますが

注意!!他の疾患でも神経障害が出現することがありますので、神経障害が糖尿病が原因なのかどうかを見極めることが大切です

糖尿病の患者さんに高頻度にみられるのが多発神経障害です

多発神経障害

持続的な高血糖によって下肢の細い(微細な)血管にダメージを受ける

→足の神経細胞にダメージをきたします

→初期の症状:両足の足底に一枚皮が被ったような、砂利を踏んでいるような、靴下をはいているような感覚

→進行すると:しびれ、疼痛(電撃痛、灼熱感、穿刺痛)が出現

→さらに進行すると、異常知覚、知覚、温度覚が傷害され、足の傷にも気付かず、

足の潰瘍や壊疽となる場合がある。その傷に感染症を起こしたりすると、

→下肢の切断を余儀なくされることがある


糖尿病神経障害は、軽い段階で良好な血糖コントロールが達成できれば、必ず改善していく病態です

また、治療薬として、内服薬もありますが、神経細胞は、一度ダメージを受けると、回復までにかなりの時間を要します。根気よく治していきましょう。




 

 



糖尿病に特有な急性合併症

2012-09-18 | 日記

 

 枝豆のはずが・・・@日照不足?(ーー);

枝豆のタネをせっかくいただいたのに、うまく育たず、

そのまま観賞用植物として楽しませていただきましたが、

Uさん、ごめんなさいっm(_ _)m

 

さて、今回は糖尿患者さんに急激に起こる急性合併症のお話です

合併症の知識を得て、その予防に努めましょう!

糖尿病に特有な急性合併症は二つ:

1.著しい高血糖 *ケトアシドーシス *高浸透圧高血糖症候群 

2.著しい低血糖  の場合です

**著しい高血糖**

A.糖尿病ケトアシドーシス

  • ケトアシドーシスの病態

インスリン作用不足が進行→高血糖(>=300mg/dl)

→血液中にケトン体(酸性物質)が増加

→身体が酸性に傾く(ケトンが増えてアシドーシスになる)

→細胞破壊

→意識低下や昏睡となる場合もある

という病態です

  • ケトアシドーシスの原因誘因

a) 1型糖尿病が発症したとき

1型糖尿病は、絶対的にインスリンが不足してしまうタイプの糖尿病です

子供や若い人に多く、インスリンを投与しないと生命が危険です

b) インスリン注射の急激な減量や中断

c)シックデイ

糖尿病患者さんが、発熱、下痢をしたり、おう吐などに陥った時の状態です

d) 清涼飲料水(ソフトドリンク、スポーツドリンク、糖入り缶コーヒーなど)を

多量に飲用したときです。ペットボトル症候群といわれている状態です

e)ある種の薬を服用したとき

  • ケトアシドーシスの症状

高血糖による症状です

口渇、多飲、多尿、脱水、体重減少、疲れやすい(倦怠感)

→→→→さらに進行すると

嘔気、おう吐、腹痛、意識障害が出現します

  • ケトアシドーシスの治療

直ちに輸液、インスリンを使用して血糖を下げる必要があります。

B.高浸透圧高血糖症候群

  • 高浸透圧性高血糖の病態

インスリンがそれほど不足していなくても、なんらかの誘因で著しい高血糖となり

→高度の脱水をおこし

→意識障害を起こしてしまう という病態です

  • 高浸透圧高血糖症候群の原因誘因

主に飲水不足が原因です

つまり脱水が脱水を増悪させてしまったということでしょうか

のどが渇いてもご自身で水分摂取できないご高齢の方に多く起こります

その他の誘因として:

高カロリー輸液、感染症、脳卒中、消化管出血、外傷、薬剤の中止、妊娠異常、心不全

などが引き金になる場合もあります

  • 高浸透圧高血糖症候群の症状

著しい脱水症状です

  • 高浸透圧高血糖症候群の治療

糖尿病ケトアシドーシスと同じように、一刻も早く輸液をし、インスリン治療が必要となります

  • 高浸透圧高血糖症候群の予防

充分な水分摂取が必要です

**著しい低血糖**

低血糖とは血糖が70mg/dl以下になった状態です

脳の細胞は、エネルギー源をブドウ糖だけに頼っているので、

血糖値が50mg/dl以下となると脳の機能障害が発生します

車でたとえるとエンストです

症状が現れる血糖値は、人によって一定ではなく、

高い血糖値から急激に低血糖が下がったときも、

血糖値は低くなくても低血糖の症状が現れることもあります

  • 低血糖の症状

a)血糖値70mg/dl以下

異常な空腹感

脈が遅くなる(徐脈)

生あくび

眠気

脱力感

めまい

不安感

視力障害

b)血糖値50mg/dl以下となると今度は上記とは逆の症状になります

冷や汗

動悸

手の震え

c)血糖値20mg/dl以下

脳機能の障害が全面となり、

言葉がでない

おかしな振る舞い(ご高齢のかたは認知症と間違われる場合もあります)

歩行障害

d)さらに進行すると

意識障害、けいれん発作→昏睡

  • 低血糖になる原因

インスリン注射、血糖降下薬使用時に

下記の要因が組み合わさって起こることが多いです

a)食事摂取量不足、インスリンを使用したあとの食事摂取時間の遅れ

b)薬の相対的過剰

c)空腹時の激しい運動や労働

d)アルコール

アルコールは肝臓からのブドウ糖産生を抑制します

→食事をせずアルコールのみ摂取したときなどに起こりやすくなります

e)他の疾患

腎不全など

f)運動後(遅延性)の低血糖

長時間の激しい運動《マラソンや山登り)を実施した場合、かなり遅れた時間帯に低血糖が起こる

ことがあります

運動後遷延性に低血糖になる理由:

その1.運動によりインスリン感受性が亢進

その2.運動により消費された筋肉や肝臓のグリコーゲン補充のため、

その回復期に

血中ブドウ糖を利用して筋肉、肝臓においてブドウ糖

→→グリコーゲン(貯蔵糖)を作る作用が亢進し血糖が下がる

  • 低血糖時の対処法

まずは早期発見!

a)ご自身で対応できるとき

血糖測定器が手元にあれば、血糖を測定してから対応

器械が手元にないときは、

おかしいなと感じたら、すぐにブドウ糖をなめてみましょう!

ブドウ糖は糖尿病の薬を処方されるとき、調剤薬局で必ずもらってください。

常に身近に携帯し、

いざというときに使用できるようにしましょう。

ブドウ糖でなくてもジュースや飴でもOKですが、ある種のとうにょうびょうのお薬を服用中の場合は、

効き目が遅延することがあります。ブドウ糖そのものがベスト!

低血糖が改善したら、

→食事時間が近ければすぐ食事をする

→食事まで時間が長ければ糖質の多い食品を1~2単位(ご飯、食パンで半分から1膳(枚)、リンゴ半分目安)

b)ご自身で対応できないとき:意識障害があるとき

周囲の人が患者さんにブドウ糖や砂糖水、ジュースを飲ませる

意識がはっきりせず飲めない場合、

ブドウ糖、砂糖をくちびると歯ぐきの間に塗って、

すぐに最寄りの医療機関に運び、ブドウ糖の注射を行う

**備えあれば憂いなし**

糖尿病患者さんは、ご自身のIDカードを携帯し、

家族、友人、親しい同僚、教師などに処置を説明し、協力を求めておくことが必要でしょう


人間の身体は、ほどよいバランス=恒常性(中庸)を守っているのです

極端な状態は生命を脅かすのです

何事もほどほどが良いということです(^^)