水川青話 by Yuko Kato

時事ネタやエンタテインメントなどの話題を。タイトルは勝海舟の「氷川清話」のもじりです。

・山本くんのオーラの泉 

2006-07-20 00:34:06 | エンタテインメント系
山本耕史くん出演の「オーラの泉」終了。

はああああ…………(深く息を吐く)。なんでだ、なんでこんなに、まるで自分のことのように息を詰めて見入ってしまったんだ。テレビ番組が始まる前からこんなにドキドキして、開始時間よりずっと早くテレビ前に待機してしまったのは、いつ以来だ。あ……そうだ、今年正月の「~最期の一日」以来か。

見終わって、まず。この番組の人気の一端がわかる気がした。もともと「オーラ」とか「スピリチュアル」とか「前生」とかに興味がある人はもちろんとして、そうでない人にとっては、自分の好きな有名人が、こういうディープなレベルで自分を語ってくれるわけだから、面白くないわけがない。「新選組」以来、いろんな形でやまもっさんの自分語りを観たり読んだり聞いたりしてきたけど、今回のこの番組のこのレベルで、集中的に語るのを観るのは初めて。

初めてなんだけど、今まで彼の語りを観たり読んだり聞いたりしてきて、わたしが感じてきた「危うさ」みたいなものを、美輪明宏たちがものの見事に言い当ててた。

美輪様や江原氏が語る「前生」とか「守護霊」とか「オーラ」云々についてを、丸呑みするかどうかは、まっっっっっったく別のことで。

でも、山本くんが扱いかねてる自分、まさに「自分」というもののその度し難さ、周囲と調和しきれない辛さ、そして35歳以降の自分をイメージできないんじゃないかという欠落感、彼が根本的に抱えてる「不様な自分」への恐怖――――などなどこうしたものを、とことん言い当てていた。

山本くんのそうした諸々のものを、たとえば三谷幸喜は「マグマ」とか「怒り」とか見抜いて表現して、土方に抜擢したわけで。その三谷も「うちくる」かなにかで「もっと大人になろうよ」と警告していたわけで。

そして私も年齢的には山本君よりは三谷に近いので、ずーーーーーっと、「危ういなあ……」と山本くんのことを心配してきたその部分が、ずばり本人に向かって直言されていた。貴重だ。しかも美輪様という、ある意味で、山本耕史以上に美しく、危うく、世間と全く調和できないものばかりだった「メケメケ」の彼に、それを言われたことは、山本くんにとってすごく示唆的だったんじゃないかと思う。そうであって欲しいと思う(美輪明宏の口から、「歳を取ったら美しくなくなって、存在する価値がなくなっちゃうのよ」と語られるのを聞くのは、すさまじく貴重なことだ。若い頃の彼の、信じがたいほどの美しさを知りたい人は、傑作「紫の履歴書」をどうぞ)。

そしてしつこく思う。美輪と江原に「芝居から離れることは体の一部を切り捨てることと同じ」と言われるくらい、そしてあの「大竹しのぶ」と同列に語られるなんてとんでもない「評価」をされるくらいの、細胞レベルからして「役者」な彼。その彼が、藤原竜也と出会ってることが、今後、何か形にならないものか。それこそ、北島マヤ+姫川亜弓さん的な、ジョン+ポール的な、とんでもない出会いだったんじゃないかと思うんだけどなあ。それくらいすごい、化学反応を起こす関係性じゃないかと思うんだけどなあ。

ただいかんせん、ふたりとも若くて、もっといえば子供で、さらに言えば業界的にはより強い立場にある藤原のたっちゃんがやまもっさんより年下なのが、なんともはがゆいのだけど。そういう二人にはできるなら、ふたりともを一緒に高いレベルに引き上げてくれる、おおいなる大人が必要なんだけど。月影先生みたいな(笑)。ビートルズにとってのジョージ・マーティンみたいな。

たっちゃんてきにはそれが蜷川なわけだけど、どうも蜷川がやまもっさんと仕事する気配はなさそうで。三谷、というのもいるけど、どうも藤原のたっちゃんにしろやまもっさんにしろ、いわゆる「三谷的」な仕事とはどうも俳優としての資質が合ってないような気がする。だから前から言ってるけど、蜷川演出で、藤原・山本共演で、たとえば「オセロ」とかやったら面白そうなのになあ。なんだったら、山本・藤原で「アマデウス」とかさあ。

しかしそれ以前にそもそも、やもっさんがもっと高次元の仕事をするには、やっぱり事務所の力っても大事な要素で。あーなかなか思うようにはいかないのだなあ。あーやきもきする。