青木直人氏のブログにおいて、青木直人氏と西尾西尾幹二氏による『尖閣戦争・米中挟み撃ちにあった日本』の出版に関して、拡散希望がありましたので、ご紹介致します。
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関連ブログ:【現場ルポ】尖閣諸島上陸をめぐる「なんだかなー」な攻防戦:週プレ
尖閣諸島関連:中国でまた反日デモ発生 拘束の産経記者ら「前線取調室」に2時間
尖閣諸島関連:中国各地で大規模反日デモ 成都のイトーヨーカ堂などを襲撃
尖閣諸島関連:総統府:釣魚台に関する声明(台湾ニュース)
尖閣諸島関連:中国の増長を食い止める手段あるか 追い詰められているのは中国?
尖閣諸島関連:第1列島線突破を断言 中国軍、海上摩擦増加も
尖閣諸島関連:釣魚島はなぜ中国固有の領土なのか:人民網(人民日報)
尖閣諸島関連:外交部:漁船拘留について日本側に謝罪と賠償を要求:人民網(人民日報)
尖閣諸島関連:とうとう温家宝首相までが【ニュース】
尖閣諸島関連:しんぶん赤旗の見解
尖閣諸島関連:9月20日今日のシナの動き【ニュース】
尖閣戦争
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『尖閣戦争・米中挟み撃ちにあった日本』(祥伝社新書・760円プラス税)が発売になる。
今回編集を担当していただいた祥伝社の角田出版部長は、私の処女作『日本の中国援助ODA』を世に出していただいた方である。
この人には足を向けて寝れないほどお世話になっている。新人であった私の持込の企画を読むや否や、直ちに、発刊の決定をしていただいた感動はいまでも鮮明である。その角田さんが、締め切りぎりぎりに西尾さんと私が追加した相当量の原稿に手を入れ、驚くほど短期間にまとめあげてくれて、この本が出ることになった。
尖閣事件が起こってから1ヶ月。通常大きな事件があると、すぐに緊急特集本が乱発されるのだが、時間的制約からか、ほぼ例外なく中身の薄い「やっつけ本」になりがちである。だが、この『尖閣戦争』はそうではない。私は自信をもってそう言い切れる。この本は何度も何度も、読んでみて、ほしい。一度読んだだけで、後は読み捨てにされるという中身ではないことを保障したい。
西尾さんは親米派の多い保守言論人のなかで、もっとも早く米中『同盟』関係を経済的側面から指摘してきた方である。私も2003年に、今回と同じ祥伝社から『北朝鮮処分』を上梓、このなかで東アジアにおいて台湾独立阻止と北朝鮮封じ込め、そして日本の核武装反対の3点で、米中両国の協力体制が構築されつつある事実を紹介した。つまり西尾さんも、私も共に、米国と中国が経済の相互依存関係をベースに、東アジアにおいて新しい秩序を求める動きを具体化させてきたと指摘・警告してきたのである。
こんなことは一つ一つのファクトをつなぎ合わせれば、誰でも気づくはずなのだが、『保守』言論人たちはその冷戦構造的なイデオロギーと、彼らに特有な米国に対する過剰な依頼心が障害となり、状況への正確な認識には至らなかったのである。
そのせいか、以前はひどかった。台湾独立の最大の敵は中国と同様に米国の国務省であると書いたせいで、台湾独立派の関係者から頻繁にクレームがあり、私の講演にはいつも独立派の女性活動家が監視するかのように目を光らせていた。
朝鮮半島も同様である。米韓両軍による北朝鮮解放はない。それは米中関係を破壊するリスクを持っているからだとも指摘したが、これにも『米国に対する不信をあおるのか』との批判があった。私はしみじみ思ったものである。
馬鹿につける薬は本当にないのだろうか、と。
あれからどのくらい経ったのだろうか。
李登輝は一線を離れ、陳水扁は逮捕された。そして、独立派は壊滅した。政権は国民党に移動し、中台経済同盟は着々と進行している。他方、独立派勢力は何の総括もせず、ただただ沈黙の中にいるかのようである。
朝鮮半島はどうか。北朝鮮の金正恩の肩書きがなぜ国防委員会委員ではないのか、なぜ軍事委員会なのか、読者はお分かりだろうか。ここが北の将来を占う最大のポイントなのだ。
(詳しくはNLCの配信をお待ちください)
台湾独立壊滅、労働党政権の延命化、そして日本の安倍晋三政権崩壊、田母神追放と核武装化阻止。それらはいずれも米中『同盟』という一本の糸で結ばれている。気づくべきはこのことである。自覚すべきはこの事実である。
およそ政治に関わるものは、主観的願望をもって客観的現実に代えてはならない。いくら、ちりめんじゃこが好物だといっても、鯨ほど大きいとは言うまい。
願望だけでは世の中は変わらないのだ。それは結局のところ、砂上の楼閣にすぎない。
現実を踏まえない「運動論」は時代の追い風が止んだ瞬間、土佐勤皇党ばりの内部不信と内ゲバによって、急速に影響力を喪失していくだろう。
本書の中で指摘してきたテーマは今後の日本の将来の行方を左右する。米国の力の衰退と中国の台頭。このパラダイムシフトを直視すべきなのだ。
台湾、朝鮮、そして尖閣諸島。
米中『同盟』と日米安保の綱引きがいま始まった。日本の中国に対する弱腰が続けば米国の親日派も影響力を失うだろう。尖閣戦争はそのワンステップなのである。
最語に、西尾さんが私に語ってくれた言葉を紹介したい。
『言論人はいま現在の話だけではなく、50年先、100年先の日本の姿を考えながら、発言しなければならない』。
その言葉の意味が十分に伝わる本に仕上がった。
読者の皆さんにお願いがあります。
この本の宣伝を積極的にしていただきたい。ブログの拡散も結構である。
ぜひご協力のほど。
「私たちは冷戦が終わり、平和が来たとばかり思っていた。だが実際はそうではなく、時代の時計の針は日清日露の時代に戻ろうとしている。それは他国に過剰に依存した『平和』についにピリオドが打たれるということなのだ。
求められているのは日本の自立なのである。わたしたちはさらに奮闘しなければならない」(青木直人・本書・あとがき)
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西尾幹二氏のブログの紹介記事
今日沖縄は中国の海になった!(その六) 緊急出版『尖閣戦争』(対談本)
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私の筆になった「はじめに」を紹介します。
はじめに
尖閣海域における中国漁船侵犯事件は、中国人船長が処分保留のままに釈放された9月24日に、日本国内の衝撃は最高度に高まりました。船長の拘留がつづく限りさらに必要な「強制的措置」をとると中国側の脅迫が相次ぎ、緊張が高まっていたときに、日本側があっさり屈服したからです。
日本人の大半は敗北感に襲われ、国家の未来に対する不安さえ覚えたほどでした。
間もなく日中政府間に話し合いの雰囲気が少しずつ出て来て、中国側は振り上げた脅迫カードを徐々に取り下げました。いったん幕は引かれ荒立つ波はひとまず収まったかに見えます。このあとすぐに何が起こるかは予断を許しませんが、こうなると何事もなかったかのごとき平穏な顔をしたがるのが世の風潮です。政府は果たすべき責任を司法に押しつけて逃げた卑劣さの口を拭(ぬぐ)い、「大人の対応」(菅首相)であったとか、「しなやかでしたたかな柳腰外交」(仙谷官房長官)であったとか自画自賛する始末です。マスコミの中にも、これを勘違いとして厳しく戒める声もありますが、事を荒立てないで済ませてまあよかったんじゃあないのか、と民主党政府の敗北的政策を評価する向きもないわけではありません。
しかし、常識のある人なら事はそんなに簡単ではないことがわかっているはずです。海上への中国の進出には根の深い背景があり、蚊を追い払うようにすれば片づく一過性のものではなく、中国の挑発は何度もくり返され、今度は軍事的にも倍する構えを具えてやってくるであろうことに、すでに気づいているはずです。
だからひらりとうまく体を躱(かわ)せてよかった、などとホッと安堵していてはだめなのです。中国は必ずまたやって来る。今度来たならどう対応するかに準備おさおさ怠りなく、今のうちにできることからどんどん手を着けておかなければなりません。
沖縄領海内の今回の事件は、明らかに南シナ海への中国の侵犯問題とリンクしています。中国は今年3月、南シナ海全域への中国の支配権の確立を自国にとっての「核心的利益」であると表立って宣言しています。これに対しアメリカは、7月、ASEAN地域フォーラムで、南シナ海を中国の海にはさせないという強い意思表明を行なっています。
2008年以来のアメリカの金融危機と、それに伴うEUと日本の構造的不況は、中国に今まで予想もされていなかった尊大な自信を与えています。アメリカの経済回復の行方と中国の自己誤解からくる逸脱の可能性は、切り離せない関係にあります。世界各国がすでに不調和な中国がかもし出す軋(きし)みに気がついています。その現われが劉暁波(りゅうぎょうは)氏への2010年度ノーベル平和賞授与であったといってよいでしょう。
世界はたしかに中国の異常に気がつきだしていますが、この人口過剰な国の市場への経済的期待から自由である国はほとんどありません。アメリカも EUも日本も例外ではなく、中国を利用し、しかも中国に利用されまいとする神経戦をくりひろげていて、各国も他国のことを考えている余裕がなくなっています。そこに中国の不遜な自己錯覚の生じる所以があります。
アメリカと日本と中国は三角貿易――本書の二章で詳しく分析されます――の関係を結んでいます。これは互いに支配し、支配される関係です。アメリカは中国に支配され、中国を支配しようとしています。その逆も同様です。アメリカは必死です。経済破局に直面しているアメリカは、日本のことを考えている余裕はないのかもしれません。それでも南シナ海を守ると言っています。しかしいつ息切れがして、約束が果たせず、アメリカは撤退するかわかりません。
本書を通じて、私共が声を大にして訴えたテーマは、日本の自助努力ということです。アメリカへの軍事的な依頼心をどう断ち切るかは国民的テーマだと信じます。
私は20年前のソ連の崩壊、冷戦の終焉(しゅうえん)に際し、これからの日本はアメリカと中国に挟撃され、翻弄される時代になるだろうと予想していましたが、ゆっくりとそういう苦い時代が到来したのでした。
尖閣事件は、いよいよ待ったなしの時代に入ったというサインのように思います。
今回対談させていただいた青木直人氏は、もっぱら事実に語らせ、つまらぬ観念に惑わされないリアリストであることで、つねづね敬意を抱いていました。氏は国益を犯す虚偽と不正を許さない理想家でもあります。この対談でも、現実家こそが理想家であることを、いかんなく証して下さいました。ありがとうございます。
平成22年10月15日
西尾幹二
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平成22年10月30日17時では、amazonではすでに一時的な在庫切れの状態でした。楽天booksにはまだ在庫がありましたが在庫が十数冊の状態でした。
シナ侵略主義から国家主権を守れ、と思われる方は、
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尖閣諸島関連:釣魚島はなぜ中国固有の領土なのか:人民網(人民日報)
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尖閣戦争
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『尖閣戦争・米中挟み撃ちにあった日本』(祥伝社新書・760円プラス税)が発売になる。
今回編集を担当していただいた祥伝社の角田出版部長は、私の処女作『日本の中国援助ODA』を世に出していただいた方である。
この人には足を向けて寝れないほどお世話になっている。新人であった私の持込の企画を読むや否や、直ちに、発刊の決定をしていただいた感動はいまでも鮮明である。その角田さんが、締め切りぎりぎりに西尾さんと私が追加した相当量の原稿に手を入れ、驚くほど短期間にまとめあげてくれて、この本が出ることになった。
尖閣事件が起こってから1ヶ月。通常大きな事件があると、すぐに緊急特集本が乱発されるのだが、時間的制約からか、ほぼ例外なく中身の薄い「やっつけ本」になりがちである。だが、この『尖閣戦争』はそうではない。私は自信をもってそう言い切れる。この本は何度も何度も、読んでみて、ほしい。一度読んだだけで、後は読み捨てにされるという中身ではないことを保障したい。
西尾さんは親米派の多い保守言論人のなかで、もっとも早く米中『同盟』関係を経済的側面から指摘してきた方である。私も2003年に、今回と同じ祥伝社から『北朝鮮処分』を上梓、このなかで東アジアにおいて台湾独立阻止と北朝鮮封じ込め、そして日本の核武装反対の3点で、米中両国の協力体制が構築されつつある事実を紹介した。つまり西尾さんも、私も共に、米国と中国が経済の相互依存関係をベースに、東アジアにおいて新しい秩序を求める動きを具体化させてきたと指摘・警告してきたのである。
こんなことは一つ一つのファクトをつなぎ合わせれば、誰でも気づくはずなのだが、『保守』言論人たちはその冷戦構造的なイデオロギーと、彼らに特有な米国に対する過剰な依頼心が障害となり、状況への正確な認識には至らなかったのである。
そのせいか、以前はひどかった。台湾独立の最大の敵は中国と同様に米国の国務省であると書いたせいで、台湾独立派の関係者から頻繁にクレームがあり、私の講演にはいつも独立派の女性活動家が監視するかのように目を光らせていた。
朝鮮半島も同様である。米韓両軍による北朝鮮解放はない。それは米中関係を破壊するリスクを持っているからだとも指摘したが、これにも『米国に対する不信をあおるのか』との批判があった。私はしみじみ思ったものである。
馬鹿につける薬は本当にないのだろうか、と。
あれからどのくらい経ったのだろうか。
李登輝は一線を離れ、陳水扁は逮捕された。そして、独立派は壊滅した。政権は国民党に移動し、中台経済同盟は着々と進行している。他方、独立派勢力は何の総括もせず、ただただ沈黙の中にいるかのようである。
朝鮮半島はどうか。北朝鮮の金正恩の肩書きがなぜ国防委員会委員ではないのか、なぜ軍事委員会なのか、読者はお分かりだろうか。ここが北の将来を占う最大のポイントなのだ。
(詳しくはNLCの配信をお待ちください)
台湾独立壊滅、労働党政権の延命化、そして日本の安倍晋三政権崩壊、田母神追放と核武装化阻止。それらはいずれも米中『同盟』という一本の糸で結ばれている。気づくべきはこのことである。自覚すべきはこの事実である。
およそ政治に関わるものは、主観的願望をもって客観的現実に代えてはならない。いくら、ちりめんじゃこが好物だといっても、鯨ほど大きいとは言うまい。
願望だけでは世の中は変わらないのだ。それは結局のところ、砂上の楼閣にすぎない。
現実を踏まえない「運動論」は時代の追い風が止んだ瞬間、土佐勤皇党ばりの内部不信と内ゲバによって、急速に影響力を喪失していくだろう。
本書の中で指摘してきたテーマは今後の日本の将来の行方を左右する。米国の力の衰退と中国の台頭。このパラダイムシフトを直視すべきなのだ。
台湾、朝鮮、そして尖閣諸島。
米中『同盟』と日米安保の綱引きがいま始まった。日本の中国に対する弱腰が続けば米国の親日派も影響力を失うだろう。尖閣戦争はそのワンステップなのである。
最語に、西尾さんが私に語ってくれた言葉を紹介したい。
『言論人はいま現在の話だけではなく、50年先、100年先の日本の姿を考えながら、発言しなければならない』。
その言葉の意味が十分に伝わる本に仕上がった。
読者の皆さんにお願いがあります。
この本の宣伝を積極的にしていただきたい。ブログの拡散も結構である。
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「私たちは冷戦が終わり、平和が来たとばかり思っていた。だが実際はそうではなく、時代の時計の針は日清日露の時代に戻ろうとしている。それは他国に過剰に依存した『平和』についにピリオドが打たれるということなのだ。
求められているのは日本の自立なのである。わたしたちはさらに奮闘しなければならない」(青木直人・本書・あとがき)
―――――――――― ここまで ――――――――――
西尾幹二氏のブログの紹介記事
今日沖縄は中国の海になった!(その六) 緊急出版『尖閣戦争』(対談本)
―――――――――― ここから ――――――――――
私の筆になった「はじめに」を紹介します。
はじめに
尖閣海域における中国漁船侵犯事件は、中国人船長が処分保留のままに釈放された9月24日に、日本国内の衝撃は最高度に高まりました。船長の拘留がつづく限りさらに必要な「強制的措置」をとると中国側の脅迫が相次ぎ、緊張が高まっていたときに、日本側があっさり屈服したからです。
日本人の大半は敗北感に襲われ、国家の未来に対する不安さえ覚えたほどでした。
間もなく日中政府間に話し合いの雰囲気が少しずつ出て来て、中国側は振り上げた脅迫カードを徐々に取り下げました。いったん幕は引かれ荒立つ波はひとまず収まったかに見えます。このあとすぐに何が起こるかは予断を許しませんが、こうなると何事もなかったかのごとき平穏な顔をしたがるのが世の風潮です。政府は果たすべき責任を司法に押しつけて逃げた卑劣さの口を拭(ぬぐ)い、「大人の対応」(菅首相)であったとか、「しなやかでしたたかな柳腰外交」(仙谷官房長官)であったとか自画自賛する始末です。マスコミの中にも、これを勘違いとして厳しく戒める声もありますが、事を荒立てないで済ませてまあよかったんじゃあないのか、と民主党政府の敗北的政策を評価する向きもないわけではありません。
しかし、常識のある人なら事はそんなに簡単ではないことがわかっているはずです。海上への中国の進出には根の深い背景があり、蚊を追い払うようにすれば片づく一過性のものではなく、中国の挑発は何度もくり返され、今度は軍事的にも倍する構えを具えてやってくるであろうことに、すでに気づいているはずです。
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沖縄領海内の今回の事件は、明らかに南シナ海への中国の侵犯問題とリンクしています。中国は今年3月、南シナ海全域への中国の支配権の確立を自国にとっての「核心的利益」であると表立って宣言しています。これに対しアメリカは、7月、ASEAN地域フォーラムで、南シナ海を中国の海にはさせないという強い意思表明を行なっています。
2008年以来のアメリカの金融危機と、それに伴うEUと日本の構造的不況は、中国に今まで予想もされていなかった尊大な自信を与えています。アメリカの経済回復の行方と中国の自己誤解からくる逸脱の可能性は、切り離せない関係にあります。世界各国がすでに不調和な中国がかもし出す軋(きし)みに気がついています。その現われが劉暁波(りゅうぎょうは)氏への2010年度ノーベル平和賞授与であったといってよいでしょう。
世界はたしかに中国の異常に気がつきだしていますが、この人口過剰な国の市場への経済的期待から自由である国はほとんどありません。アメリカも EUも日本も例外ではなく、中国を利用し、しかも中国に利用されまいとする神経戦をくりひろげていて、各国も他国のことを考えている余裕がなくなっています。そこに中国の不遜な自己錯覚の生じる所以があります。
アメリカと日本と中国は三角貿易――本書の二章で詳しく分析されます――の関係を結んでいます。これは互いに支配し、支配される関係です。アメリカは中国に支配され、中国を支配しようとしています。その逆も同様です。アメリカは必死です。経済破局に直面しているアメリカは、日本のことを考えている余裕はないのかもしれません。それでも南シナ海を守ると言っています。しかしいつ息切れがして、約束が果たせず、アメリカは撤退するかわかりません。
本書を通じて、私共が声を大にして訴えたテーマは、日本の自助努力ということです。アメリカへの軍事的な依頼心をどう断ち切るかは国民的テーマだと信じます。
私は20年前のソ連の崩壊、冷戦の終焉(しゅうえん)に際し、これからの日本はアメリカと中国に挟撃され、翻弄される時代になるだろうと予想していましたが、ゆっくりとそういう苦い時代が到来したのでした。
尖閣事件は、いよいよ待ったなしの時代に入ったというサインのように思います。
今回対談させていただいた青木直人氏は、もっぱら事実に語らせ、つまらぬ観念に惑わされないリアリストであることで、つねづね敬意を抱いていました。氏は国益を犯す虚偽と不正を許さない理想家でもあります。この対談でも、現実家こそが理想家であることを、いかんなく証して下さいました。ありがとうございます。
平成22年10月15日
西尾幹二
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平成22年10月30日17時では、amazonではすでに一時的な在庫切れの状態でした。楽天booksにはまだ在庫がありましたが在庫が十数冊の状態でした。
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