土曜日は、姪っ子の結婚式である。
式場は白金台にある八芳園だ。
あの天下の御意見番として時代劇でも有名な、大久保彦左衛門屋敷跡であると聞いた。
立派な庭である。
「当時はこの3倍ぐらい広かったそうです。敷地もあっちの方からこっちの方まで・・・」(ホテル従業員)
とても一心太助が、自由に勝手口まで上がって来て、
「ご隠居。今日のお勧めはこれでさあ。」
なんて、気安く物申していたとは思えない。
さて、
他人の身内の結婚式の模様を聞かされる事程、退屈で苦痛な事はなかろう。
でも、これが今回のテーマなのだ。避けようもない。
これから、退屈で苦痛な話が続く事になると、ここで予め書いておく。
神前での三々九度の盃の契りも滞りなく済み、披露宴が始まった。
但し、色々と演出がある披露宴ではない。
実にいい。
結婚式なんてものは、シンプルなのが一番である。
その代わり、本人たちがこだわったのは、料理と酒である。
料理長がカウンターで、料理の説明をし、自ら腕前を振るうと言う、スペシャルな企画なのだ。
(無論、あらかたは厨房で作るが)
何とも大人の披露宴ではないか。
前菜盛り合わせ。
酒のメニューが、これまた贅沢である。
満寿泉に、鳥海山に、久保田に、、、、
ウヒョヒョヒョ。
なかでも、これだ。
十四代本丸。
フルーティな香りが口の中に広がる。
なになに、
焼酎は佐藤の黒!
すげえじゃん。
それと、ワインにスコッチに・・・
こりゃ、あれだな。
ビールなんか飲んでる場合じゃないな。
「魚本来の味を楽しんでいただく為、刺身にはワサビをちょっと乗せて、醤油のジュレでお召し上がり下さい。」(料理長)
ジュ、ジュ、ジュレでございますか?
ははあ。
パク
おいしゅうございます。
「金目鯛の酒蒸し みぞれ餡かけでございます。」
絶対旨いに決まってる。
そしたら今度はと、
ちょいと、ねえちゃんよ。
鳥海山の純米大吟醸くんな。
グビ
「飛騨牛のもも肉を、これから真心を込めて焼いていきます。」
飛騨牛ってあーた。
前回、飛騨高山に訪れた際、あまりの値段の高さに悪態をつきまくった、あの高級牛様ではありませんか。
その量だと、確か私の車ぐらい買えると言う噂の・・・え、違う?
料理長が真心を込めて焼きを入れた、、、じゃなくて焼き上げた飛騨牛味噌ソース。
飛騨牛様。どうも、お久しぶりです。
いつぞやは、大変失礼な事を申し上げまして、すみませんでした。
んじゃ
パク
うまかー
そんでもって、ここはこうなる。
宴もたけなわとなり、ケーキ入刀である。
その後は、パティシエのパフォーマンスだ。
焼きアイスクリームなんだそうな。
エイヤっと、アイスクリームをフランベ。
拍手喝さいである。
最後にデザートが運ばれ、宴は終わった。
新婦は、相模原に住む長兄の娘で、私が初めて叔父さんとなった姪だ。
式の最後の方で、姪が両親への感謝の手紙を読み上げる頃になると、小さかった頃の姪を思い出し、不覚にも目頭を押さえる事態となってしまった。
どうやらその様子を、姪に見られていたようで・・・
式が終わり、品川の娘も八芳園に合流。
暫しこちらの親族と新郎新婦とで、お茶を飲み歓談する。
「おじちゃん。泣きよったろが(ニターリ)」(新婦)
バ、バカなことを。
断じて泣いとらん。
しかし、楽しい時間もそろそろ終わりのようだ。
さて、
飛行機の時間もあるし、帰ろうか。
あ!
帰りの荷物は、この礼服セットと結婚式の引き出物がさらに増える訳だ。
駅構内で、精根尽き果てている私が脳裏に浮かぶ。
ブヒーーー!!!