民家お助け隊

民家は「結い」によって残されてきました。その精神を今に伝え、伝統建築の保存と再生の為にボランティア活動を行っています。

鴨川エコライフ見学会ー平29・5月7日 棚田の広がる千葉県鴨川で、自然共生のライフスタイル

2017年05月09日 | Weblog
都心から1時間半の近さに現役の棚田が広がる千葉県の鴨川。
ここに自然との共生、里山再現を目指した生活を設計中の加藤さんと神向寺さん、恒久性持続的住環境を実践するパーマカルチャーのストーンブリッジというビレッジを訪ね、その実践を学ぶという見学会イベントを企画しました。


お助け隊メンバー、非メンバーを含む10人程の古民家好きのグループです。




この3か所の訪問先では、いずれも「自然を上手に受け、活用し、そして守る。」という共有の価値観の中でうらやましいような再生古民家、コテッジや自家製フランスパン! 感激です。





こういう生活は日本ではかつて営まれていて、現在の日本でも材料は全て完備、実現可能。人の考え方だけとのことでした。

「木に学ぶ」4回シリーズ 最終回イベント 「遠山邸見学」、大工と銘木、意匠の美

2015年12月07日 | Weblog
飯能市の西川材を代表する「岡部材木店」の岡部社長と奥様の知子さんに全面的に協力をいただき9月から始めた「木に学ぶ」4回連続講座最終回。師走5日に国産材の素晴らしさをとことん極めた和の名建築として知られる川越「遠山記念館」の本宅と茶室見学をもって有終の美を飾る最終回となりました。

東棟表玄関


欅の一枚板の大門です。客人や主人が帰るときにはこの大門が開き、普段は潜戸を使いました



今回遠山邸では、特別グループとして一般公開していない中棟2階応接室や茶室の見学もさせていただきました。遠山邸は日興証券創立者の遠山元一が故郷の生家の再興と母の居宅として建てた豪邸です。のち文化財としての保存継承のために財団法人の認可を受け、1970年から遠山記念館として一般公開されています。一緒に参加された飯能の岡部材木店の岡部社長曰く、「超一級の素材をこんだけふんだんに使ったこの長屋門だけで、豪邸が数棟建つ」という全国屈指の和建築の代表です。全国から名大工、職人を集め、今日では入手困難な日本各地の銘木を集めた1936年竣工の名建築で、ほぼ建築当時そのままの家具、小物や照明器具など細部に至る屋敷全体を今に残しています。

長屋門を入ったところ



長屋門を抜けて車寄せから入る建物正面は約80センチ厚の茅葺の屋根と欅材をふんだんに使った豪農を象徴する東棟。当時の周辺の民家も草葺だったと思われます。東棟から入り、大広間を持つ格式のある書院造りの中の棟から、その上階に構える応接室にはアールデコの照明器具と和洋意匠が見事に組み合わせれています。西の棟は母のための数寄屋造りの座敷になります。3つの棟が違和感のない形でつながっています。素材のすばらしさだけでなく、ユニークな意匠、職人さんのクリエイティビティ―など感激の連続でした。

萱は20年に一度替えるとのこと。一番上の萱は10年前の葺き替えのものだとのことでした




このアールデコの照明器具素敵ですよね



今回のシリーズで全面的にお世話になった岡部社長と奥様の知子様に改めて感謝とお礼を申し上げます。参加いただいた方にも感謝いたします。参加者同士の会話などからも設計関係など学ぶことが多いイベントでした。まだ聞きかじりの知識ですが、木の育成、国産材の素晴らしさと銘木を見極める目など、半年前木に関して何も知らなかった自分たちがよりよい人間になった気持ちがします。皆さん、国産材を使って素晴らしい家を作りましょう。

松前 お助け隊

「木に学ぶ」4回シリーズ 第3回イベント 「伝統工法による家の建て方」を大工さんから学ぶ

2015年11月09日 | Weblog
9月から始めた「木に学ぶ」4回講座シリーズの3回めを11月7日に開催しました。第3回も20名程の参加者です。今回午後からの伝統工法による大工さんの話をうかがう前に、午前中は西川材の表玄関になる飯能旧市街に残る大正昭和のレトロ建築や、飯能駅前に残る元材木店を見学。材木が置いてあったところは、今はコインパークになっているのが残念。キョロキョロしている我々に気づいて、ご主人が出てきて昔の写真や店内を見せていただきました。昔はこのあたり一帯に材木店が店を並べていたとのこと。日本国民よ、国産材を使おうよ!

佐野材木店(跡)


この日は町をあげての「飯能祭り」に重なり、旧市街に数々残るレトロ建築の中では唯一見学ができる明治37年築で、当時の町の繁栄を語る「絹甚」はボランティア案内の方が祭り準備のためにセルフツアーになりました。この建物に使われている黒漆喰の外壁や迫力満点の磨き上げられた構造材に感激。ご一緒した岡部材木店社長曰く「この建物に使われている材木を用意しろと言われると困る」というほどの建物内の見事なケヤキの鴨居など、往時の富がくっきり。日本の伝統工法ってすごい。

絹甚



午後は飯能市の岡部材木店の作業場にて「木組みの家の建築方法を知る」と題して大工さんによる説明と「模範作業」を一部参加・見学しました。伝統工法で家を建てる大工さんのお話をうかがいました。また、今回講座のデモ用ということで、大工さんに事前にホゾや柱継ぎで用意していただいた柱材と梁材で一坪の建物をくみ上げ棟上げをしました。

材木を繋げるために刻んだほぞ穴の精密さ、穴の刻み方で組み合わせた時にどのように強度が出るかという説明も、昔から伝わる木を知った知恵と工夫に感激。

複雑な継手: 組むと2本の材木がお互いに引っ張りあってしっかりつながるそうです


また、デモ用とはいえ、栗、ヒノキ、杉、松の曲り材をあっというまにゲンノウで組み上げていく大工さんの仕事ぶりのカッコ良さに感激しました。

  やっぱ家ってこれですよ。



  岡部さん、大工さん、吉川の鯰組代表の岸本さん本日はありがとうございました。第1回、2回と今回イベントを経て、少しながらでも国産の銘木、その木をを知り、使っていく大工さんの技術というのがわかってきました。

松前、お助け隊

「木に学ぶ」4回連続講座 第2回「製材現場を知る」

2015年10月05日 | Weblog
今回は「製材現場を知る」と題して、江戸の西から筏を組んで川から材木がやって来るところから「西川材」として江戸時代から300年以上も知られてきた埼玉県飯能の植林に囲まれる岡部材木店で、9月から始まった「木に学ぶ」4回シリーズの2回目イベントを開催しました。参加者は20人弱。吉野は杉で知られるのですが、飯能は杉以外にも、ヒノキ、サワラなど木の種類も豊富で、周囲を手入れされた植林が囲み、供給先の江戸を大市場として栄えた銘木の産地です。


今回は製材、節穴埋め、高圧水による原木の皮むきなど参加者の実習を含んだ、「製材の現場」をテーマにした学習会でした。






  国産材の素晴らしさと、木を扱うプロのエネルギーを五感で感じた素晴らしいイベントでした。終日お話しをいただき実習指導をしていただいた岡部材木店に感謝します。

次回11月7日は「木組みの家の建築方法を知る」という、大工さんの世界をテーマにしたイベントになります。また当日は、かつて森林関係の産業が富をもたらしたことから栄えた飯能旧市街で昼食と散策、駅前の材木店、大正期の洋館、絹を取り扱った商店、飯能おりもの館などを見て、岡部材木店へ向かいます。伝統工法、古民家に関わる「木」だけでも、学ぶことって本当に多いですね。

松前、お助け隊


「木に学ぶ」4回連続講座 初回「原木を知る」

2015年09月07日 | Weblog
この度、お助け隊は「木に学ぶ」とテーマした4回連続講座を企画しました。9月5日はこの初回イベントになる「原木を知る」を、江戸時代より「西川材木」として知られたヒノキ、サワラ、杉といった銘木の産地である埼玉県飯能市の西川材を扱う岡部材木店の全面的なご協力で開催しました。周囲を真っ直ぐに伸びた杉、ヒノキ、サワラと京都の北山を彷彿させる美しい森に囲まれ、JMRA非会員も含む参加者20名のイベントになりました。



まずは東吾野駅裏にある吾野原木センターで、原木の説明を岡部社長から受け、それに続き原木の競りを見学しました。市場の需給で価格が決まるところは、株式市場と酷似。広葉樹で水に強い栗材が競りにかけられていました。樹齢80年を越す真っ直ぐなヒノキの原木が何と2万5千円程度。以前はこの10倍だったとのこと。林業者は幼樹の頃より枝打ち、下草刈り、そして山から切り出しをして市場に出したヒノキが、この値段ではコストに遥かに届かないとのこと。




日本は古民家解体のみならず、こうした銘木までも安っぽい集成材などにとって代わられてしまったとの事でした。ハウジングメーカーは施主からのクレームの少ない、外見が綺麗で狂わない集成材を好むとのことでした。一昔前までは贅沢の代名詞だった「総ヒノキ造りの家」って死語になってしまいました。木の文化が死にそうです。おおい日本人よ、ハウジングパークに行って家を決めるのはやめてくれ。国産材を使った素晴らしい家を建ててください。



競りの見学の後、岡部材木店が建てた兜屋根様式のお宅を拝見。大黒柱の幅1メートル以上ある欅の通し柱に驚愕。築後17年程で部材が色焼けし、木の家の迫力満点でした。




ここを見学した後、ヒノキやサワラの育つ岡部材木店の裏山で「木」の説明を受け、チェーンソーで杉を間伐。その後材木店事務所で、奥様より岡部材木店が積極的に行ってきた「木」の価値を高めるための各種努力のお話しをお聞きしました。こういった木に関わる伝統で、日本の家という建築文化は木を扱うこういう人達で支えられてきたのだと改めて感じた初回イベントでした。



松前、お助け隊

「木に学ぶ」講座のご案内

2015年07月08日 | Weblog
「木に学ぶ」講座のご案内

今回、JMRA部会の民家お助け隊主催で、日本建築文化の根幹になる「木」をテーマに「木に学ぶ」と題した4回講座を開催することになりました。講義、現場見学、実習の3本建てになります。ふるって応募ください。後日参加者には詳細を連絡します。

セッション予定日

•9/5(土)第一回「原木を知る」


•10/3(土)第二回「製材の現場を知る」


•11/7(土)第三回「木組みの家の建築方法」


•12/5(土)第四回「古民家での木の活かし方」


募集参加人数:各講座とも先着20名

第一回講座会場:埼玉県飯能駅10時集合(池袋から西武線急行で50分)。開催時間は1030~1530。

参加費:各講座JMRA会員2000円、非会員2500円を参加当日集金

申込み:jmra.otasuketai@gmail.com  松前/西本、JMRA民家お助け隊事務局

主催:(認定NPO)日本民家再生協会 民家お助け隊 www.minka.jp

群馬県上野村 よたっこカフェのマキ小屋作りワークショップ

2014年11月26日 | Weblog
2014年11月23日24日勤労感謝の日の連休にここ数年越しで取組んでいる群馬県上野村黒澤邸再生プロジェクトにお助け隊隊員7名と地元ボランティア計15名が参加するワークショップをしました。
 
今回は今も再生が継続する築150年の黒澤邸古民家で厳しい山里の冬を迎えるための暖房・炊事用マキを保存するマキ小屋屋根の栗板作りをしました。
チェーンソーで丸切りしたクリの原木をナタで4分割。それを5ミリ厚の板にしていきます。現地で木を扱う仕事で技術を極めたベテランから指導を受ける本格的な作業になりました。
 最初は失敗ばっかりだったものの、慣れてくるにつれ薄い板をナタで作れるようになっていきました。機械加工ではできない、木目を活かした板の作り方など、改めて日本の木工技術の素晴らしさを実感したイベントでした。

外にテーブルを出し昼食の準備をする様子 

できた栗板を屋根に前後と左右に重ねるようにのせ、最後に重しの石をのせて固定します。ワークショップの前日は1年半前に田舎カフェとして開業している黒澤邸でフェスタとワークショップを開催し、何と300名近くのお客さんがあったとのこと。今では群馬のカフェ案内の本などにも「よたっこCafé」として紹介されています。生活を営む家としての古民家再生に留まらず、仕事の場としての活用という面でのお手本ケースになったと思います。「お助け隊のお手伝いへの素晴らしいフィードバック」として嬉しい気持ちでした。若い人がこんなに集まるきっかけを作り、次には雇用機会も生まれそうな黒澤夫婦に村の人も応援しているようです。



松前、お助け隊

鴨川山あいの房総地方典型的な農家住宅「憬月荘」の現地再生 板壁張りワークショップ

2014年08月11日 | Weblog
昨日8月10日は台風の影響により関東南部周辺での局地的な豪雨から参加を見送った方もいらっしゃいましたが、結局参加者6名で加藤邸「憬月荘」での古民家現地再生の作業の壁板張りと長カマを使った草刈りを行うことができました。場所により暴風雨だったみたいですね。房総鴨川は時折の陣雨はあったものの至って平穏でした。雨が風でゆれるカーテンのように見え、その向こうに広がる棚田に雨雲の合間から時折陽が差し込む風景は日本画の世界のようでした。

憬月荘は2年前にお助け隊の見学会を行いました。今回はいよいよ再生作業ということでお助け隊が参加しています。壁ができてくると急に居住空間を感じるものです。壁板の次は床の根太、床板張りと今後も作業が続くので、お助け隊の活躍の場は多そうです。憬月荘は房総地方で典型的な農家建築の様式をそのまま残しています。オーナーの加藤さんは今後住宅としての再生だけでなく、以前日本の各地で行われていた、里山の還元経済の復元をめざしています。数年後の憬月荘の完成が楽しみですね。松前、お助け隊


熊谷田中邸長屋門再生ワークショップ―漆喰塗・竹小舞・荒壁

2014年06月15日 | Weblog
6月14日は今回で4回目になる熊谷田中邸長屋門の再生お助けイベントでした。周囲は利根川わきの四季いろいろの花が美しい、江戸時代に構築された長屋門の再生に向けたプロジェクトになります。2年前の初回と2回目のイベントでは敷地内にある3棟の土蔵の片づけをし、100年以上蔵に入った家具、道具類が整理されました。3回目イベントではいよいよプロジェクトの本命になる長屋門の室内側壁の中塗りでした。今回は長年の雨で壊れた長屋門壁の壊れたセクションの竹小舞作りと、前回中塗りした内側壁の漆喰仕上げでした。
 
どちらもお助け隊では過去数棟の古民家再生プロジェクトで経験を重ねた得意作業です。

今回で4回目、2年越しのお助け隊の参加イベントですが、これまでのワークショップでは長屋門再生に必要な全体部分のわずか一部を触ったにすぎず、前途が見えない状態です。長さが50㍍以上にもなる庄屋時代から続くこの長屋門再生プロジェクトの今後の課題は、オーナーによる再生完了までの道のり作りが肝要と感じました。参加者8名


お助け隊 2013年度ワークショップ

2014年04月30日 | Weblog
5月にJMRA総会があり、そこで次期の各部会の理事候補が承認されて新組織体制になるのですが、その総会用に昨年度のお助け隊活動報告を提出しています。お助け隊は見学会を提供する部会とは異なり、古民家再生で最も頻度の高い課題である「資金が足りない」、「手を貸して欲しい」といったオーナーのリクエストに直接人手を提供して、危険な作業や酷暑時期のワークショップは避けるなどの配慮をしながら古民家保存に直接関わることが行動モットーです。以下が昨年度のワークショップになります。実際に作業をすると、先人の建築技術をいろいろ学ぶものです。14年度もプロジェクトが待ち受けていますよ。

月/ 日 開催場所 テーマ             参加者数
3月9-10日 群馬県上野村 黒澤邸田舎カフェー開業に向け漆喰・壁塗り 3
5月11日 熊谷 田中邸長屋門再生 土蔵片付け     10
9月28日 熊谷 田中邸長屋門再生 土壁塗りWS     8
1月18日 鎌倉 須藤邸 飛び石設計敷設WS     8