疲れている人が多いようですね。
私の愛読書の主人公の少年のお母さんに慰めてもらいましょう。
「きっと、おまえを泣かせたのは哀れみでしょう。哀れみがなければ一人前の男とはいえないのよ。この世の痛みを思って泣いたことのない人は、人間として半人前なの。そしてね、この世から痛みが消えることはないのよ。でもそれが分っても、絶望する必要はないのよ。いい人間は痛みをなくそうと努力するの。愚かな人間は自分の痛み以外は、痛みが存在することに気付きもしない。そして、運悪くよこしまな人間は、どこへ行っても、傷口を広げたり痛みを撒き散らすようなことばかりするのよ。でも、どんな人にも罪はないのよ。だって、生まれてきたくて生まれる人はいないし、まっさらの状態で生まれる人もいないんですもの。人は人から生まれるんですからね。よこしまな人も、自分がよこしまなつもりはないと思うわ。運が悪いだけなのよ。」
「ヒューマン・コメディ」ウィリアム・サローヤン より