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『TROY』 参考までに…

2007年04月30日 | 映画

今回感想をアップするにあたり、以前の自分の意見を覗き返してみました。ちょこちょこ見方の変わった部分もあるけど、大筋はそのまんまダナ…

というわけで、初回鑑賞時の感想を参考までに2004年06月08日の日記から抜粋

※ネタバレを含みます

 

「TROY」見てきました。
ギリシア好きとしては見とかねば、と思いつつも
多分面白くないだろうなあ、と予想してなかなか行く機会のなかったこの一作。
今日は急に思い立って勇気を出して行ってみました。

:全体について:
で、どんなクソ面白くない映画やろうと思って見ていたら、思っていたより面白かった。
「イーリアス」に忠実でもなく、さりとて史実に忠実というわけでもなく、ちょうど中間といったところでしょうか。
大体、史実においてのトロイア戦争なんて、絶対女がらみなんかじゃないと思う。
そういう、物語特有の純化した筋や人物はそのままに、舞台背景はミュケーナイ及びギリシア時代でドン、という感じでしょうか。
ほんとは当時騎乗がすでに戦闘に取り入れられていたのか、貨幣はあったのか、よく分からん。(「イーリアス」ではどちらも出てこない。ミュケーナイ時代は火葬ではなかったと思うし。)
「イーリアス」を下敷きにした別個のファンタジー、という感じであれはあれで面白うございました。

:登場人物について:
◎「原作とは違うけど、これはこれでいいかな」という人
おそらく主人公(の筈)のアキレウスさん…えー、なんというか、 トウが立ってすっかりやさぐれた感じに仕上がってました。
 ブラピもトムもやさぐれた方がいい男なので別にいい。

総大将のアガメムノンさん…押し出しの強さはイメージ通り。
 実在したら多分あんな感じに鼻につく人だったろう。けど、わたしは割と彼が好き。

・トロイア方の色男パリスさん…やさ男っぷりはイメージ通り。
 ちょうど今イーリアス関連の本を読み直していて、パリスを見直したところだったので、かなり好意的に眺めることができました。
 友好使節でスパルタ行って人んちの奥さん攫って来るわ、
 戦闘が怖けりゃ恥もなく逃げるわ、
 最初はわたしもやなやつだなあ、と思ってたんですが、よくよく読んでみると、彼は王子でなく羊飼いの子として育てられてるんですよ。
 だから、兄のヘクトールが本当は怖くても王子としての責任や武人としての誇りから怖い様子を出せないのに対し、彼は素直に怖い、と言えてしまうのです。
 映画のパリスは、苦労を知らない坊ちゃんという感じで、これはこれでとてもかわいらしかった。
 また、毅然とした英雄たちの中でただ一人恐怖を感じている自分を自覚してそれを乗り越えようとしているところがとても素直でいいと思いました。

・ブリセイスさん…アガメムノンとアキレウスの仲たがいの原因になった人。
 原作では原因になった割にちょっとしか出てこないんですが映画では大出世!出ずっぱりですね!

◎「これよ!これなのよ!!というくらいイメージぴったり」だった人
・トロイア王プリアモスさん…そう、そんな感じなのよ!!
 息子を愛し、国を愛する老翁。
 ただでさえ老人に弱いわたしにはたまりませんでした。
 
・プリアモスの長子ヘクトールさん…彼も、まさにイメージ通りでした。
 弟の不始末も何もかも、国のことを一人でしょって立つ彼。その責任と重圧は並大抵ではありません。
 アキレウスがあくまで自分の名誉や誇りにこだわり、あくまで個人的に戦うのと対照的で、彼はいつも国のため、妻のため、トロイアのために戦っています。
 『ガラスの仮面』で言うなら、天賦の才を授かった天才北島マヤが
 アキレウスだとしたら、ヘクトールは努力の人姫川亜弓なのよ。
 勝てないのは分かっていても、戦わざるを得ないのよ。

 もう途中からトロイア方に感情移入して見てしまいました。
 「クソー、パリス、早くアキレウスをやっちまえよーーー」となんど手を揉んだ事か。
 ちなみに彼の妻アンドロマケーも割とイメージ通りだった。

小国の王オデュッセウスさん…パーフェクト(渡●謙風に)。
 脚本を書いた人とオデュッセウス役のショーン・ビーンはわたしと同じようなオデュッセウス観を持っているようです。ありがたやー。
 ものすごくおいしい役だった。

◎「うーん、これはちょっと…」と思った人。
・アガメムノンの弟にしてヘレネーの夫メネラオスさん…映画では
 なんか変にぎらぎらした筋肉馬鹿に描かれすぎていたように見受けられます。
 ほんとはもっとおおらかで寛大で、でも義理堅くて細やかな気遣いも忘れないいいやつなんですが。
 年齢も、わたし、オデュッセウスやヘクトールと同年代かと思ってたのに…

・アキレウスの親友パトロクロスさん…そもそもトウの立ったアキレウスだから自然パトロクロスのほうが年下という設定になってしまったんでしょうが
 何じゃあのパトは。軽すぎじゃー!
 あんな単に「ちょっとかわいがっとる子」みたいな扱いにしたら、後々パトロクロスがヘクトールに殺された時のあの激烈なアキレウスの怒りが説明つかんじゃろがー!
 (そのかわり、映画ではアキレウスとオデュッセウスが仲良かったからいいけど)


◎名前さえ出てこなかった人
筋を分かりやすくするためか、はしょられた人も多数。
出てはきたけどアイアスなんて瞬殺されてたしな。
オデュッセウスとコンビを組むことの多いディオメデスとか、
ギリシア方のプリティーじじいネストールとか(まさか、
アガメムノンの隣にいた白髪の爺さんがネストールだったんだろうか)
小さいほうのアイアスとか。
そういや、アキレウスの父親のペレウスも死んだことにされてたな(おいおい)。
アイネイアスも、ローマの祖となる重要人物なのにチラッと出たっきりだし。

:原作を知っていたら:
別に原作を知らんでも普通に見れるけど、あんなに有名な話だし作り手は知ってること前提に作ってる気がします。
一応ちゃんと「イーリアス」をなぞってあるように感じました。
一騎打ちも
メネラオスVSパリス
アイアスVSヘクトール
パトロクロスVSヘクトール
アキレウスVSヘクトール
の順序でちゃんと出てくるし、
アンドロマケーとヘクトールと赤ちゃんの有名なシーンも出てくるし、
ヘクトールの死体を引き回すところとか
プリアモス王が引き取りに来るシーンとかもちゃんとあります。
(後者の二つは原作を知ってないとやや唐突という気がしないでもなかった…。)
知っているとにやりとできること請け合い。

いや、ほんとに、思っていたより良かったんだってば。
ヘクトールとオデュッセウスを見るためだけにまた行ってもいいな、と思いました。
はー、ショーン・ビーン、ファンになりそうじゃよ。

以上。…我ながらあんまりものを考えてない感想ですね~…(アホ丸出し)

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