みりおんの連載ネット小説

ラブコメ、奇想天外etc。一応感動作あり(かも?)

笑って泣いて驚いて。スッキリしちゃうかもしれないオリジナル小説のご案内。

私の創作書き物です。
コメディ要素を多く含んでおりますので、気軽に読んで頂けたら幸いです。
タイトルをクリックして下さいませ。
このブログでも読めますけど、順序良く最初から読めるように、
投稿している他サイトに飛んで読めるようになってます。

●ネットの恋人(全67話)

●突然の彼女(全45話)

●突然の彼女・エピソード2(全55話)

●突然の彼女3・ファイナルエピソード(全89話)

●ターニング☆ポイント(全5章)

●キスなんかしないでよ(全76話)

●時のイタズラ(全15話)

●あの日の9回ウラ(全40話)

●童貞じゃいられない(休止中)

●ネガティブな恋(全32話)

☆短編読切

●時代のローテーション

●宇宙人日記

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※尚、作品全ての無断コピー・転載・引用は堅くお断りします。
作品の権利は全て、作者である私(million_hearts、別名ヒロヒトJJ)にあります。

14話 6人目・シンジローだかジュンペーだか

2008年10月31日 23時31分28秒 | Ⅰ:キスなんかしないでよ

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              キスしないで

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               14話
        6人目・シンジローだかジュンペーだか

 私が荒れまくったきっかけは、おそらく5人目との別れだろう。
 付き合った順番を鮮明に憶えている記憶は5人目のキミヒコまで。
 彼は私を大事に思ってるから大切にしたいと言っておきながら、一度カラダを許すと動物に変貌。
 会うたびに即エッチっていうのはいかがなもの?
 最終的に私が幻滅した彼の言葉がこれ。
「安佳里が“キス嫌い”で良かった。めんどくさい前戯なんか省略できるもんな」
 私はカチンときた。キミヒコの本性見たり!
 こいつはただ、私とヤリタイだけなんだと。しかも手抜きのエッチで。
 大事にしたいだの何だらかんだらと、飾り言葉でその気にさせて、いずれはエッチに誘い込む作戦に過ぎなかったんだ。
 そう悟った瞬間、私はキミヒコへの淡い恋心が一気に冷めてしまった。
 そして結果はまたしても破局。私の精神はどん底まで叩きのめされた。

 だからといって、その後も男に縁がなかったかというと、そうでもない。 
 その後に知り合った男たちは数知れず。
 でも私の方が、どうしても本気の恋を避けていた。
 つまりどうでもいい付き合い方をしていたことになる。

 回想の時間の中で、ようやく絞り出した6人目がシンジローかジュンぺー。
 どっちが先に付き合ったかは不明。時期がかぶっていた可能性もある。
 この二人も私とヤルことしか頭になかった。
 確か、ジュンぺーの方が私にプレゼントをたくさんくれた気がする。
 ダサいデザインのネックレスや趣味の悪いブーツ。
 しかも私の足のサイズを勘違いして買って来る不始末。
「なんで私の足が26センチもあんのよっ!」
って言ったら、しょげちゃって、さすがに気の毒になったから、
「ごめん。言いすぎた。買ってくれたお礼に私、何かしてあげる」
って切り返すと、
「安佳里とエッチしたい…」
と一言。

 ───ε-(ーдー)ハァ…こいつもか

 とどのつまりはエッチ目的だったってわけ。
「じゃあいいよ。でもキスはしないでね」
「はぁ?」
「とにかくキスなしでエッチして!」
 その都度、何度も同じ説明をするのにウンザリしていた私。
 こんな変てこなことを提言しても、男はちゃんとエッチができる。
 心配してくれて「何か訳があるんだね。じゃあよそう」なんてい言う男はいない。

 結局、ジュンぺーともこれで終わった。
 時を前後して、シンジローとも同じことが起きていた。
 お前を抱きたいだの、抱きしめたいだのって。
 歌の歌詞ならシビレルかもだけど、ハンパなクソガキが言っても様にならない。
 所詮、男はこんなもの。
 愛とエッチを結びつけると、あまりにも残酷で理不尽。そしてバカを見る。
 こうして私は、愛とエッチは別モノだと考えるようになる。


 やがて、高校を卒業した私は短大生に。
 彼氏と言えるほどの男はいない。作る気もない。
 ただ、その頃の私にはセフレが7人、日替わりで存在していた。

 そう、SEXは美容とスポーツ!汗をかいて代謝を良くする健康法なのだ!
                (続く)
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もうはや

2008年10月31日 21時44分36秒 | ★気まぐれ書きコ

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 鹿児島とはいえ、山は冷えますw
 昨日こたつを出してあったまりました(⌒-⌒;

 朝晩マジで寒いんですよこれが。
 昨日の晩飯も鍋だったしw

 同僚と職場で話してたら、どこの家もキムチ鍋やらカレー鍋。
 別に示し合わせてるわけじゃないのにね。

 只今、禁酒中なので、鍋にはビールといきたいところを
なぜかトマトジュースになりました; ̄_ ̄)
で、そのあと漢方も飲まされたぞ?( ̄ー ̄;
 
 まぁいいや。んじゃこれから連載書きまーす。

 今夜は『キスしないで』の執筆予定っす。

9話 4番ファースト・高藤雄一(右投げ左打)

2008年10月30日 22時59分34秒 | J:あの日の9回ウラ
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              あの日の9回ウラ

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                9話
        4番ファースト・高藤雄一(右投げ左打)

      一 二 三 四 五 六 七 八 九 計 
美徳館|14   
青春台|7 

 9回ウラ、青春台高校の攻撃中。
 
 プロも注目するほどの剛腕ピッチャー羽柴。
 その彼が、地区予選の3回戦程度でリリーフ登板している。
 相手は来年の廃校が決定している無名の青春台高校だというのに。
 しかもこのチームは、過去の地区予選も3回戦まで進めばいいところ。
 負けるときはいつもコールド。普通ならどう考えても楽勝のはず。

 だが、今年の夏に限って言えば、それは違っていた。
 去年の甲子園大会で名を馳せた全国屈指のスラッガー・高藤雄一が、なぜかこの弱小高校に転校していて4番を打っている。
 プライドの高い羽柴にとっては願ってもない対決のチャンスが訪れたのである。
 だが、こんな予想外な展開になるとは誰か思っただろうか?
 監督に直訴して、9回から登板した羽柴。なのに、通常ではあり得ない反撃にあっている。高藤どころか他の選手に打ちこまれている始末。
 揺らぎ始める羽柴の精神力。

 一方、高藤はこの打席に対する自分の役割を心に徹底していた。
 ここは絶対に繋いでいかなければならないと。
 高校生活最後の夏。これが最後の打席になるかもしれないと思うと、色々と感慨深いものが込み上げて来る。
 彼は今このとき、この瞬間、この打席に立っていることを、控え選手の田安に心から感謝していた。
 そう、高藤はある事情により、野球からきっぱり身を引いていたのである。
 そしてその意志は固かった。
 そんな彼を、田安は自分のレギュラーを譲ってまで、必死に高藤を説得した。
 田安だって3年生。最後の夏なのだ。自分を犠牲にする必要はない。
 
 転校して来たばかりの頃、勧誘しに来た田安に高藤はハッキリと言った。
「ごめん。俺、野球やめたんだ」
「えっ?何でだよ?君はプロにもなれる素質がある人じゃないか!」
「そんなことないさ。見かけ倒しだよ」
「わかんないなぁ…どうせあと4か月もすりゃ、俺たち3年は部を卒業するんだ」
「だろうね」
「この学校も来年で終わる。あとちょっとだけじゃないか!それなのになんでだよ?」
「いろいろあってね。悪いけどこれ以上は言いたくない」
「頼むよ。ラストイヤーの今年はメンバーも燃えてるんだ。君が入部したらきっと活気が出るし、チームの勢いもつく!」
「よそ者が入ったらチームワークを乱す原因になるさ」
「そんなことないって。うちにはそんな陰湿な人間はいないよ」
「君はその…名前何ていうんだ?」
「俺は田安」
「田安君。悪いけど、諦めてくれ。今の俺は野球する気は全くないんだ」
「どこか持病でもあるのか?それとも誰にも言えないケガでもしてるのか?」

 数秒の間があった。そして思わずポロッと高藤の口から出た一言。
「ケガなんかしてない…ケガをさせてしまったんだ。。」
「えっ?」
「もういいだろ。じゃあな」

 こうしてこの場は終わったが、このあと来る日も来る日も田安は高藤を尋ねて来ては熱心に説得した。
 彼の首を縦に振らすのは容易なことではなかった。
 彼の母親の力も借り、口を閉ざしていたデリケートな問題にも、田安は親身になって協力した。
 その甲斐あってか、決意の固い高藤もついに心を揺り動かされ、再びバットを握るようになったのだ。

 ───あのとき…あそこまでしてくれたあいつの熱意。もしそれがなかったら…

 キュッと唇をかみしめる高藤。気合と集中力が更に高まってゆく。
 バッターボックスで足場を馴らしながらゆっくりとバットを構える。

 ───田安がいなかったら今の俺はここにいない。とんだおせっかい野郎なのに、あいつは…あいつはあの子の気持ちまでも動かしてくれた。。

 高藤はバッターボックスからチラッと田安を見ると、バッタリ目が合った。
 すると、いきなり高藤に向かってヘン顔をする田安。思わず吹き出しそうになるほどのひょっとこ顔。

 ───わかってるって田安。そんなにもう気を遣うなよ。

 高藤は感じていた。田安はああすることで、緊張をほぐしてくれているんだと。
 キメの細かい性格というか、感心するほどの人の良さを痛感させる男。それが田安。

 ───あいつは補欠でも、指導者としては素質があるかもしれない。

 羽柴がセットポジションに入った。
 バットを立てて構える高藤。
 帰りかけていた取材の新聞社や雑誌のカメラマンも一斉に身構える。
 地区予選での一流対決はめったに見られるものではないからだ。
 そんな渦中の高藤の心中は、デカイ一発を狙う気など更々なかった。

 ───ホームラン狙いではダメだ。ランナーが消えては反撃ムードもなくなる。

 彼はチームバッティングに徹しようと決意したのだ。つまりシングルヒット狙い。
 ランナーを溜めた形で盛り上がりを持続させ、後続の集中連打を期待したのだ。

 そんな高藤を、バックネット裏の目立たない席から観戦している一人の少女。
 彼女は帽子を目深にかぶり、サングラスをしている。
 そしてボックスの高藤を切なる思いで見つめていた。

“カーーン!!”

実況:打ったぁぁー!ゴロでセンターに抜けるクリーンヒットーーっ!3塁ランナーホームイーン!またまた1点追加ぁぁー!

 羽柴の初球のスライダーに逆らわず、確実にミートを心掛けたバッティング。
 得点は14-8。一死ランナー1塁。

 ピッチャー羽柴は内心ガッカリしていた。
 打たれたショックではなくて、力と力の勝負をしたかったのが彼の希望。
 だが高藤は小さく当てに来るバッティング。
 彼が思いきりスイングし、それを自分が三振にとるのが目的だったからだ。

「高藤め。お前の高校生活最後の打席は、そんなんで良かったのか…?」
                      (続く)
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13話 5人目・キミヒコの巻(後編)

2008年10月28日 23時09分12秒 | Ⅰ:キスなんかしないでよ

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             キスしないで

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              13話
         5人目・キミヒコの巻(後編)

 
 ロストバージンした夜、私はそのまま朝までキミヒコの腕まくらで寝ていた。
 後で後悔するようなマネはするなと言ってくれたキミヒコ。
 無駄にバージンを捨てるなと忠告してくれた彼本人が、結果的には私を抱いた。
 でも私は別に後悔などしていなかった。その時点では。

 当時エッチに誘ったのはたぶん私から。
 彼と体を重ねる30分前までは、彼自身でさえ私を抱く気などなかったはず。
 なのになぜ私がそんなことをしたのか?
 それは私の前彼・リュウヤとの別れで学習したから。

 リュウヤだって私を抱きたかったはずなのに、それを口に出さずにこらえていた。
 思春期の男子なら、絶対自分の好きな女の子とヤリタイはず。それしか頭にない男子だって大勢いる。
 事実、あのとき部屋にいたリュウヤの股間は、恥ずかしい状態になっていた。
 そして彼はそれを私にバレないようにとトイレへ駆け込んだ。
 
 いつまでもそんな思いをさせてはいけないと別れを選択した私。
 そして当分彼氏を作らないと心で誓ったはずだった。
 でもそこに突然のキミヒコの出現。
 彼もリュウヤと同じことを言う。
「キスが苦手ならそれでいい。お前の嫌がることはしない」
 私もそこで言い返した。
「それでホントにいいの?我慢してるんだったら私も辛いし、付き合えないよ」
「いいんだ別に。安佳里がその気になったときで」

 私は悩んでしまった。キスする気になることなんて、100年経ってもあり得ない。
 結局、リュウヤと同じことになる。
 それでも私はキミヒコを振ることもできず、数回のデートを重ねたある日、ついに私は彼の部屋にお邪魔することになる。
 二人だけの密室。キスを避けるなら、普通そんな場所へはついていかないもの。
 でもこの時の私には、ある秘めた決意があった。

「ねぇ、ホントは私と…キスしたいと思ってるんでしょ?」
 意外にもキミヒコは否定しなかった。
「思ってるさ。でも前にも言ったろ。安佳里のイヤなことはしたくないって」
「うん…でもキミヒコは本当にそれでいいの?このままこの状態がずっと続いても?」
「……いいよ別に」
 この若干の間が、彼の本心ではないことを物語っていたと思う。
「俺はお前が好きだからさ。お前を大事にしたいんだ…」
 その言葉は嬉しいけど、逆に私自身、後ろめたい気持ちにもなる。
 やはり、私の秘めた決意をここで言わなきゃ…

「ねぇ…」
「ん?なんだよ?」
「私と…エッチしていいよ(*v.v)」
「( ̄□ ̄;)えっ?」
 当然のように驚くキミヒコ。
「む…無理すんなよ。お前、イヤなんだろ?そういうの」
 キミヒコは勘違いをしてるようだった。それも当然かもしれない。

「違うよ。私、キスができないからそれ以上先に進めないだけ。キスさえしなければその…私を抱いても……いいよ(*v.v)」
「!?工エエェ(゜〇゜ ;)ェエエ工!?そういうことだったのか?」
「…ヘンでしょ?私」
「あぁ。否定はしない(^_^;)でも本当にいいのか?」
「…うん。。キミヒコならいい。優しくしてね。初めてなんだから」
「お、おう…」

 こうして私は処女から卒業した。
 かなりな痛みもあったけど、同時に幸せを感じた夜でもあった。
 
 でも…それもつかの間のこと。
 またしても私の行く手を阻んだのは破局という二文字。
 このあとの7年間、つまり現在まで、私は荒れまくることになる。
                  (続く)
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8話 3番センター・木戸晴信(右投げ右打)

2008年10月28日 11時26分22秒 | J:あの日の9回ウラ

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             あの日の9回ウラ

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                8話
       3番センター・木戸晴信(右投げ右打)

      一 二 三 四 五 六 七 八 九 計 
美徳館|14   
青春台|5 

 9回裏、1点を取って攻撃中。その差9点。

 気の強い3番バッター木戸の闘志はメラメラと燃え盛っていた。
 しかも彼は大の目立ちたがり屋。
 あの有名なピッチャー羽柴からヒットを打てば…そしてそれが長打なら…
 木戸の頭の中では、すでにイメージが完成していた。
 その時は声を張り上げて大きなガッツポーズをし、バク転しながらホームインする。
 とにかく派手なパフォーマンスで観客の注目を浴びたい。
 羽柴のようにマスコミに取り上げられるのがうらやましくて仕方ない。
 ルックスでは自分が1枚も2枚も羽柴より上だと勝手に思っている自信過剰な木戸。

 ───ようし!やってやるー!

 そう思うと、武者震いさえしてくるのだった。
 いつも自分に都合よく考えるプラス思考の木戸。
 適度な緊張がなおさら集中力を高めてくれるもの。木戸は常々そう思っていた。
 そしてその状態がまさに今、この瞬間なのだ。

 ───小松も近衛も打ったんだ。俺に打てないはずはない!

 現状は1死2,3塁。この場面で羽柴からヒットを打てば確実に目立つし、チームも盛り上がる。
 そんな気持ちになれるのも、9点という大差のせいかもしれない。
 逆にこれが1点差なら、さすがの木戸もプレッシャーに押し潰されて、ガチガチになっただろう。

 ───球種はわかってるんだ。あとはどのコースに来るか…

 バッターボックスに立って羽柴を見つめる木戸。
 ふと余計なことが頭に浮かぶ。

 ───やっぱり俺の方が顔がイイぜ。

 そう思ったところで立場も注目度も向こうが上。まずは打たなければ意味がない。
 羽柴がセカンドにけん制球を投げる。
 リードの大きいセカンドランナーの近衛が気になったようだ。
 戻りのうまい近衛はもちろんセーフ。彼はけん制で刺されたことは一度もない。
 少し間合いが空いたので、ボックスを外すして2,3度スイングする木戸。
 そのときふと浮かんだ思いつき。

 ───そうか!俺の好きなコースに投げさせればいいんだ!


 マウンド上の羽柴はバッターの木戸を見て「(・_・)ン?」と首をかしげた。
「なんだ?あの3番は?」
と、思わず呟いてしまったその理由。
 それは木戸がバットを長く持って、バッターボックスの内側ギリギリに、しかも1番手前に立ったからだ。体もベースに覆いかぶさっている。
「ははぁ、なるほど…俺のスライダー狙いか」
 羽柴がそう判断したわけ。ボックスの手前内側に立てば、外角にも余裕でバットが届き、外に逃げてゆくスライダーの曲がりっぱなをとらえることができるからだ。
「ならばここはインコースにストレートといきたいところだが…」
 羽柴には若干腑に落ちない部分もあった。
 普通こんなバレバレで白々しいことをするもんだろうかと。
 スライダー狙いと見せかけて、本当はストレートを待っているのではないかと。
 案の定、この思いはキャッチャーの明智も一緒だった。彼のサインはスライダー。
 いわゆる逆の逆を行く作戦。
「よし、わかった!俺も同じ意見だ」

 1球目のモーションに入る羽柴。球種を見極める木戸。

実況:ピッチャー第1球投げました!

“カーン!!”

実況:強烈な当たりーーっ!でも1塁線切れたー!ファールファールファール!!

 カウント1-0.

「あぶねぇあぶねぇ(^_^;)」
 一瞬ヒヤッとした羽柴。やはり素直に考えれば良かったと反省する。
 バッター木戸は次も同じ構え。

 ───あの位置と構えでは、俺のストレートにバットが間に合うはずがない!たとえストレート狙いだとしても!!

 キャッチャーの明智とも意思疎通した。羽柴の口が真一文字に締まる。
 木戸の目が輝いた。

 ────これでストレートが来る!インコースにっ!

 渾身の力を込めた羽柴の2球目が彼の手から放れた。
と同時に、木戸は長く持ったバットの握りを緩める。
 当然バットは引力の法則で真下にズリ落ちる。彼は10センチほど落ちたところで再び強くバットをギュッと握りしめ、足のスタンスをオープンに開いた。

 ───これだっ!!

 歯を食いしばって打ちに行く木戸。しなるバット。

“カッキイイィィン!!”

実況:打ったぁぁぁ!打球は左中間ーー!

「よしっ!」
 走りながら木戸はヒットの確信を得る。

実況:レフトとセンターの間を真っ二つぅぅぅー!!3塁ランナーと2塁ランナー相次いでホームイン!打った木戸は3塁へー!スリーベースヒ―ーット!!

 余裕でセーフなのに、サードへヘッドスライディングをして、雄たけびを上げながらガッツポーズをする木戸。
「うおおおおぉぉ!!やったぜぇぇぇいっ!」

 にわかに活気づく場内。それもそのはず。誰しも思った完全な負け試合。
 なのに一流エースを打ちこみ、2点追加で14-7。点差が縮まり尚も一死3塁。
 そしてついに、ネクストバッターには4番・高藤雄一を迎えるのである。

 ピッチャーの羽柴にしてみれば、高藤との対決を希望して立ったマウンド。
 そのためには、故意に制球を乱し、ランナーをためてから彼と勝負し、そしてライバルを打ちとる計算が成り立っていた。
 だが予想に反して、これまでまだ一死しかとれず、自分が高藤以外の選手に打ちこまれている現状にショックを隠せなかった。

 ───奴に勝つには、コントロール1ミリの狂いも許されない。でもやってやる!こいつさえ抑えればこのチームの精神力は切れる!

                    (続く)
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12話 回想の狭間

2008年10月25日 22時45分03秒 | Ⅰ:キスなんかしないでよ

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           キスしなきゃダメ?

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              12話
             回想の狭間

突然ケータイからの着信音に、私は昔の回想シーンから呼び戻された。
「何よもう…」
 枕元に置いてあるケータイを取ることさえ、なんだかだるく感じる。
 通話の相手はさゆみだった。彼女は私の愚痴友。
 お互いの愚痴を交代に言いあっこして、ストレスを軽減している仲。
 その効果は絶大というには程戸遠いけど、ため込むよりはかなりマシ。
 
 今日の主役はさゆみで、私が聴き役。
 そこで私はひらめいた。明日の愚痴の主役は私。
 どうせ聞いてもらうんならケータイじゃなく、さゆみを誘って夜はどこかで一緒にごはんでも食べよう。
 とにかく明日の夜は家にいたくない。
 そのことを伝えると、さゆみから一つ返事でOKボイス。
 これで明日の晩はギンゾーから逃れられる。


 しかし世の中、そんなに何でもうまくはいかないもの。
 翌日の夜になって、突然さゆみからドタキャンの連絡が入った。
 同僚の仕事ミスにより、連帯責任として、同じ部署の人間全員が残業らしい。
 すでに待ち合わせ場所に来ていた私は一人置き去りに。。

 ───まぁいいわ。このまま家に帰らなきゃいいんだし。

 母には朝のうち、友達と食事する約束があると言ってあるから特に問題もない。
 ただ、女一人で夜の外食というのもなんだか寂しい。
 私一人では、繁盛している賑やかなお店に入る勇気などない。
 と言って、小さな居酒屋のカウンターや屋台も好きじゃない。
 知らない人と隣同士に座ったり、顔を合わせるのが嫌いだから。

 ───どこか目立たないバーにでも行こう。お腹も特別減ってるわけじゃないし。

 メイン通りから、路地裏に入り、もうすぐ行くとラブホ街に出るという一歩手前にのスナックに足を運んだ。
 薄暗いけど、なんだか照明の明るさが幻想的で心が落ち着く感じ。
 小さい音量で店内に流れるジャズがとても心地が良く癒される。
 お客さんはまだ誰もいないけど、それは当然のこと。
 私がごはんも食べずに来たから時間がまだ早すぎるのだ。夜はこれからだもの。

「いらっしゃいませ」
 感じの良さそうなバーテンが、物静かに挨拶する。
 今日の私は誰とも話はしたくない。一人で飲んでいたい。
 そんな気持ちも込めて、バーテンダーにお願いしてみる。
「あの…すみません。カウンターじゃなくて、あっちの隅の席に座りたいんですけど」
 不思議な顔ひとつせず、彼はにこやかな微笑みで返答する。
「かまいませんよ。一人で静かに飲みたいんですね。どうぞご遠慮なく」
「ありがとう…」

 何も食べずにアルコールを飲むと、一気に酔いがまわる。
 1杯目のジントニックで、自分の頬がほてり出したのがよくわかる。

 どうやら私は妄想壁があるらしい。
 この場面で素敵な男性が現れたら…
 そして偶然にも、私と同じキスが嫌いでトラウマになっている男性がいたとしたら…
 もしそんな人が世の中にいるならば、その腕にギュッと抱かれたい…
 もちろんキスなしで。でも私に対する愛情はたっぷりで。

 こんな常識から外れたことを思ったのは、何も今だけに限ったことじゃない。
 ずっと過去からそう思っていた。心の奥でずっと。。
 経験がないわけじゃない。
 あのときも…17歳のあのとき。。
 当時の彼・キミヒコによってそれが現実の出来事になったあの日…

 私は2杯目のシングルモルトを飲みながら、再び回想の世界へ深く落ちて行った。
                   (続く)
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あのぉ…

2008年10月24日 23時25分13秒 | ★気まぐれ書きコ
 毎度のことながら更新遅れてすみません。

 毎日、数行は書いてるんですよ。
 でもなぜか途中で寝てるんです(⌒-⌒;

 お酒のストックもなくなったし、
 明日からはアルコールを絶ちますので、
 眠気もすっきり解消されることでしょう・・・?

 あとはテレビ番組との戦いですw
 CSシリーズに目がいっちゃうと、執筆が止まりますしねぇヾ(-д-;)ぉぃぉぃ

 今現在、『キスしなきゃダメ?』12話を30行ほど書いてまーす。

7話 2番サード・近衛 守(右投げ右打)

2008年10月22日 23時43分45秒 | J:あの日の9回ウラ
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            あの日の9回ウラ

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               7話
       2番サード・近衛 守(右投げ右打)

 胸の鼓動が高鳴っていた。
 一死1,3塁。ヒット1本で点が入る大事な場面。

 ───ヤベェ…ここで俺の番かよ。。

 近衛守(このえまもる)はメンタル面にやや難があった。
 バッティングセンスは決して悪くはない。だから監督も打順を2番に据えた。
 ただ極度の緊張症で、こんなチャンスの場面になると、ビビってしまう心の弱さもある。

 ───参ったなぁ…とにかく球種を見極めないと…

 バッターボックスに入ると同時に、ピッチャー羽柴の顔を睨むように目を凝らす。
 別に威嚇するつもりもないのだが、元々彼は近視だからそんな表情をしてしまう。
 メガネやコンタクトをするには、ギリギリセーフな視力のため、持ってはいない。

 ───これはストレートだな!
 
 羽柴の第1球目をストレートと見極め、打ちに行く近衛。

“ブーン”“ドスン!”

 気負い過ぎて大きな空振りをしたあと、尻もちをついて倒れる近衛。
 これには羽柴が思わず吹いた。
『「|* ̄m ̄)プッ。なんだこの2番は?こんな大振りじゃ俺のストレートにはバットが間に合わないぜ』
 カウント1-0。

 近衛はすぐに反省したが弱気の虫は持病で治らない。
『球種がわかったって俺には無理だ…どうすればいい?』
 心の定まらないまま、羽柴の第2球が投じられようとしている。
 そのとき、

『(゜〇゜;)ハッ!そっか。これがあった!俺にはこれしかない』

 ピッチャーの口が再び真一文字になる。

 ───これもストレートか。よしっ!!

 羽柴の手からボールが放たれると、近衛はすぐにバントの構えに入る。
 そう、彼はセーフティバントを試みようとしたのである。
 だがコースは内角の厳しいところ。それでも無理に当てにいく近衛。

“カッ!”ビシッ!“

「ぐあぁぁぁぁ!!」

 バントは失敗した。
 羽柴の内角をえぐるストレートは、剛速球ゆえにナチュラルシュートする。
 バットの根本に当たって跳ね返ったボールが、近衛のふくらはぎに直撃してしまった。いわゆる自打球。
 足に電気が走ったような激痛。ケンケンしたままバッターボックスを離れたが、そのまま倒れ込んで、のた打ちまわる近衛。
 タイムがかかり、ベンチから走って出て来た田安と、そばにいたネクストバッターの木戸が、手当のために近衛を抱えてベンチに戻る。

 試合中断のアナウンスが流れる中、突然ベンチ上の観客席から声が掛けられた。
「守っ!頑張って!これが最後の打席かもしれないんだよ!悔いは残さないで!」
 その声は近衛の彼女、メグミだった。
「守っ!ここで打ったらアタシ、キスしてあげるっ!キャ(/-\)言っちゃった」

 ───(ノ゜ο゜)ノオオオオォォォォォォ-

 と叫んだのは守ではなく、まわりのチームメイト全員。
「おい、こりゃ打たなきゃ近衛。」
「てか、まだキスもしてなかったのか?」
「彼女があそこまで言ったんだしなぁ」
 顔が真赤になった近衛。
「いいじゃん別に…」


 そう、この試合の前日、彼はメグミとケンカをしていた。
「明日の試合頑張ってね!勝ったらすごいことになるよ」
 近衛はため息ひとつ。
「美徳館になんて勝てるわけないじゃん。みんな全国から集まった特待生軍団だぞ」
「やってみなきゃわかんないでしょ!」
「(;-_-) =3 フゥ…メグは野球を知らないからそんなこと言えるんだ」
 ムッとしたメグミ。
「最初からやる気ないんなら出なきゃいいでしょ!」
「試合を棄権するわけにはいかないからなぁ」
「もうっ!守はいっつもそう。“どうせ俺は”って口癖なんだもん。アタシ、守のそんなこと大っ嫌い!」
「ドラマの世界じゃないんだ。現実に実力の差を考えると結果は見えてる」
「転校して来た高藤君がいるじゃない。それなのにもっと互角に戦えないの?」
「あんなぁ、野球はあいつ一人じゃできないんだよ。それにあいつはバッターだし、うちのピッチャーが打たれまくったらそれで負けが決まるのさ」
「・・・・」
 しばらく無言のメグミ。近衛を見る目が悲しそうだった。
「じゃあアタシ、明日は球場には行かない。どうせ打てないんでしょ」
「・・・・」
 今度は近衛が言葉を返せないで無言状態に。

 こうして二人は気まずいまま別れて、今日のこの瞬間を迎えたのである。
『メグ…来てくれたんだ。俺は昨日、あんな不甲斐ないこと言ったのに…軽蔑されてもおかしくないことも言ったのに…』
 これを機に、メンタル面に左右されやすい近衛の心理に明らかな変化があった。
 はっきり言って、単純とも言える。
「足に冷却スプレーかけたら俺、打席に戻るわ」
 近衛のこの言葉を、誰も否定する者はいなかった。
“無理するな”などという下手な気遣いの言葉など、単なる体裁に過ぎないことだと皆知ってたからである。

「俺は打つ!!」

 近衛にとって、今が最高に活力の湧き出ている瞬間でもあった。
 足を若干、引きづりながらバッターボックスに入る近衛。

 一方、職員室ではちょうど6時限目の授業を終えて戻って来た体育教師・小栗先生が、テレビの前を通りかかった。

実況:打ったーーっ!1塁線破った破ったーーっ!

「お、うちの野球部だ」

実況:3塁ランナーホームイン!1塁ランナーも3塁へーーっ!

「ホホゥ( ̄。 ̄*)反撃してるのか」

実況:打った近衛は2塁に達してツーベースヒッーート!

「おお、うちのクラスの近衛か。ノミの心臓あいつがここで打ったとはすごいな」
 だが、小栗先生はテレビ画面のスコアボードに気づいてズッコケた。

 美徳館学園14-5青春台高校

「なんだよ。1点返してもまだ9点差あるのか…(⌒-⌒;」
                      (続く)
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11話 5人目・キミヒコの巻(前編)

2008年10月20日 23時49分29秒 | Ⅰ:キスなんかしないでよ
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           キスしなきゃダメ?

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             11話
        5人目・キミヒコの巻(前編)

 私のロストバージンは17歳の夏。
 先輩や友達に聞いても、あるいは雑誌やコミックを読んでも、この時期がベストだと当時の私は思っていた。
 なので、17歳になったばかりの頃の未経験な私はとにかく焦っていた。

 今思えばロストバージンなんて、早いも遅いも関係ないのに、当時の友達はこの夏休みに次から次へと脱皮してゆくのだ。
「えっ?安佳里まだバージン?ごめんねー私の方が先で(*'‐'*)ウフフフ♪」
と、妙に自信に満ちた不敵な笑みを浮かべられる。
 しかもそんな言われ方をされると、早くバージンを捨てないとイケナイような気もしてくる。
 私はキス恐怖症だし、余計に焦り始めていた。

 ───もしかしたら私、一生結婚できないかもしれない。。

 そんな私の心の動揺を見抜いた男子が一人いた。
 それがキミヒコ。クラスは違うけど同じ学校の同級生。
 小学校時代に、2年間だけ同じクラスになったことがあるから、顔は覚えていた。

 下校中、私が女友達とサヨナラを言って別れると、すぐに彼は近づいてきた。
「よっ!お前、俺のこと覚えてるか?」
と、いきなりこんな切り口から会話が始まり、私は立ち止った。
「うん…たぶん知ってる」
「たぶんかよ^_^;」
「印象薄いってゆうか…あんまし私としゃべってないよね?」
 キミヒコは体裁悪そうに頭をポリポリ掻いた。
「だな。昔は俺、女嫌いだったから、ほとんどの女子と口利かなかったんだ」
 なぜ女嫌いなのか理由を聞く興味もなかったから、私は別な質問をしてみる。
「じゃあ今は女好きなの?」
 その答えは即答で返ってきた。
「あぁ。なんでか知らないけど、どんな女も可愛く見えるんだ。例えお前でも」
「なにそれ(`ヘ´#)」
「ワリぃ。悪気はないんだ。まぁ、これが思春期ってやつなのかもな」
「自分で勝手な結論言わないの(-_-;)」

 一体何を考えているのか、つかみどころのないキミヒコ。
 そんな彼が次に切り出した言葉は、いきなり思わしげなセリフ。
「歩きながら話そう。実はちょっとお前と話したかったんだ」
「えっ?」
 私はドキッとした。もしかしてそれって、私への告白?
 そんなかすかな予想をたてながら、私達は並んで歩き出す。
「ぶっちゃけ言うけどさぁ、お前さぁ…」
 はて?告白にしては『お前さぁ』とは思いきり不自然。
 私は無反応でキミヒコの次の言葉を待つことにした。
「お前さぁ…そんなに焦んなよ。後で後悔するようなことは絶対すんなよ」
 一瞬ビクッとしたけど、なんとか気づかれないように冷静を装う私。
「何のこと言ってるの?あんたに私の何がわかるの?」
「お前、まだバージンなんだろ。早まって無駄なことするなってことさ」
「どうして私がバージンて決めつけるのよ?」
「だって何日か前、直美が言ってたし」
「Σ|ll( ̄▽ ̄;)||lえっ?」
 直美とは、下校途中でさっき別れた友達のこと。
 彼女はキミヒコと同じクラスだから、適度な会話はしてるのだろう。
 それにしても直美ったら、何で私のことを…(≧ヘ≦)ムッスー!

「お前さ、今まで全然彼氏いなかったのか?」
「いたけどみんな別れた」
「みんなって…同時に何人とも付き合ってたのか?」
「バカ!時期はそれぞれズレてんの!」
「うーーーん。。」
 なぜかキミヒコが考え込んだ。ホントにわからない男。
「じゃあ聞くけどよ。付き合ってた男たちとは全然何もナシか?」
「そんなのないよ」
「一人も?」
「うん」
「そんなんで付き合ってたって言えるのか?」
「なんでよ?エッチしなきゃ付き合ったって言えないの?」
「そこまでは言ってねぇよ。じゃあキスもしてないのか?」
「キスは……したけど」

 バカな私。なんでキミヒコにこんなこと言ってんだろ。。

「キスは許せても、エッチは許さなかったってことか?」
 しつこく質問攻めをするキミヒコ。お前はエロ雑誌の取材記者か!
「もうどうでもいいじゃない!私にとっては許す許さないの問題じゃなかったの!」
「…は?どういうことなんだよ?」

 いけない…また説明を求められる言い方をしてしまった(⌒-⌒;

「あのね、別に私は誰からもエッチは求められてなかったの!そんな野獣みたいな人、自分の彼氏には絶対選ばないもん私!」
「じゃあ何でみんな別れちまうんだよ?」
「それは…」
「それは?」
「もうこれ以上言いたくない!」

 私は早歩きでキミヒコより5,6歩先に出た。
 そのスピードのまま50メートルほど歩くと、後ろからキミヒコが駆け寄って来る。
「わかった。もう何も言わなくていい。俺が言う」
「えっ?」
 歩くスピードをゆるめて、私は横に並んだキミヒコに振り向く。

「安佳里。俺と付き合おう」
「!!!」
                   (続く)
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