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MVCメディカルベンチャー会議

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第68回MVC定例会in大阪

2008年09月20日 | MVC定例会
医療と経営について学ぶため、石田行司氏(ニューロンネットワーク株式会社代表取締役)を講師にお招きして、「医療変革期に医師は何をすべきか」をテーマにお話いただきました。

①私は、1989年にエーザイ株式会社に入社し、1999年に33歳で経営職に就任しました。2001年には本社事業本部でアリセプトという商品の担当をしました。2003年に大阪府摂津市千里丘に、ニューロンネットワークを設立し、調剤薬局を開設しました。現在、社員が283名、2008年の見込みで年商37億円です。

②10年ほど前に、私が行政の方とお話していた際に気付いたことは、厚生労働省は、少子高齢化社会の特徴である砂時計型(逆ピラミッド型)の人口構成ではなく、「正しい人口構成」すなわち、ピラミッド型の人口構成へ誘導する政策が望ましいと考えているのではないか、ということです。

③2008年現在の市場の動向をまとめると、医療費削減と混合診療、医療福祉業界の本格的な統廃合、老人から子供へ、治療から予防へ、在宅医療の推進、といったものが挙げられます。これを一言で言うと、高齢者福祉から、「ピラミッド構想への推進」への転換と言えるのではないでしょうか。

④現在の医療を取り巻く環境として、医療費抑制、医療機関と薬局の廃業と吸収合併、多角化、異業種とのコラボレーション、在宅医療へのシフト、混合診療へのカウントダウン、というものが挙げられます。ワタミ、セコム、ベルコといった異業種からの異業種参入はその例です。小泉元首相、坂口元厚生労働大臣、尾辻元厚生労働大臣の発言からも、混合診療を解禁する流れは不可避に思われます。

⑤医療機関の経営に関しては、現在、外来単価が7000円、入院単価が26000円というのが診療単価ですが、1997年から2008年に到るまで、診療報酬が改定されるたびに、診療単価は下がってきています。また日本全国の年間外来受診者は600万人と、この20年で余り変化していません。そのため、医療者側からは、混合診療への希望が出てきています。

⑥現在の医療を取り囲む環境は、幕末と明治維新の時代に似ていると言えます。旧体制の象徴である大学医局と医師会の力が低下し、黒船ともいえる異業種からの参入が盛んに行われてきています。医師の絶対数には大きな変化がありませんが、診療所の数は増加傾向にあるため、漫然と開業しているだけではなかなか生き残るのが困難な状況です。診療所も病院も、成功と不成功の2極化が生まれてきており、実際、大阪府摂津市と茨木市には約300の診療所がありますが、上位20%が全体の75%の患者を診ています。

⑦また、現在の医療業界は、規制緩和前の金融業界とも類似しています。多様なサービス提供が潜在的には可能で、ここにある意味で大きなビジネスチャンスが存在しています。医療業界から医療産業へというのが大きな流れで、民間保険業が活況し、指定医療機関というものが現れ、新規ベンチャー医療福祉ビジネスと医療訴訟の増加というのが現実化していくでしょう。

⑧勤務医と開業医にはそれぞれの適性があり、また開業にも地域との相性があります。先生方には、「自分は何が出来るのか?」という問いに対する答えの用意と、自らの適性に関する判断をしていただきたいと思います。今後必要なスタンスとして、100%自費診療でも選ばれる医師、明確な自己の存在意義の確立、経営者的感覚が求められます。

⑨生き残る医師と淘汰される医師の違いは、理念と利益を両立できるか、5年後のビジョンと半年後の戦略を持っているか、ポジションとエッジがしっかりしているか、中核人材と資本力があるか、人脈とコラボ力があるか、と言う点にあると思われます。

⑩自分が、勤務医に向いているのか、開業医に向いているのか、という適性判断をした上で、人脈とアドバイザーを持ち、セミナーや勉強会に積極的に出席して自己研鑽を積まれることが、医師として生き残っていく上で、極めて重要であると思われます。


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