中澤まゆみブログ「コミュニティヘルスのあるまちづくり」

医療と介護、高齢社会をテーマに書くノンフィクションライターのブログ。

医療・介護・福祉の地域ネットワーク事例集が出ました

2018-03-30 13:06:48 | 日記
全国のモデル事例が30例が読める本

良質な全国のケア資源とケアの「まちづくり」を、丹念に拾って掲載している雑誌「Better Care」の野田さんが編集し、
中澤や宮下公美子さんが取材執筆した本「医療・介護・福祉の地域ネットワーク事例集」が出ました。
まちづくりや共生社会、医療・介護連携、福祉などのご興味のある方は必見です。
全国の先進的な30事例が詳細に紹介されています。

定価は3800円+税。価格がちょっとお高いので、事務所や会社、図書館へのリクエストをお勧めしています。
どうぞ、お買い求めを。





「助けてと言える社会へ」イベントのレポート

2018-03-30 12:57:37 | 日記
参加者から、たくさんの「ありがとう」が

2018年3月20日
北九州市で30年近くホームレス支援を続ける奥田知志さんと、元野宿者が立ち上げた「生笑(いきわら)一座」。
その公演「助けてと言える社会へ」が昨日(3月19日)、世田谷でありました。
2か月前、ゆきさんこと大熊由紀子さんから「世田谷で一座の公演ができないか」と相談され、
大きな会場がうまく取れたことからスタートしたこの催し。
平日の午後という来にくい時間でしたが、なんとかPRも功を奏し、当日は100人以上の人たちが参加してくれました。
3時間の長丁場は笑いの渦に涙が混じり、終了後、「知らせてくれてありがとう」の言葉を、たくさんの人からもらいました。

プログラムは第一部が「生笑一座」の公演。
自分たちを追い詰め、ときには自殺してしまう子どもたちに、「生きていてよかった」というメッセージを伝えたいと、
奥田さんが元野宿者と相談し、2013年から全国の学校を訪れて「生きる」ことの意味を、子どもたちと一緒に考えています。

今回も元野宿者の5人が、自分たちの体験をリアルに語りながら、私たちに「支援」の意味を深く考えさせてくれました。
アルミ缶を集めて生き延びてきた人、石や放火で襲撃された体験を持つ人、アルコール依存症だった人、自殺寸前まで追い詰められた人・・・
いずれも、奥田さんが粘り強く(ときには10年以上にもわたって)食事を届け、話に耳を傾けてきたことから生きなおすことを決めた人たちです。

「自立」の意味について「ひとりでは死なない死なせない。仲間がいてこそ」と、80歳の松原さん。
「迷惑は悪だという社会認識があるが、お互いに迷惑かけていいんだよという、
意識の転換が地域社会では必要」と、奥田さんがしめくくりました。

第二部は、ゆきさんの司会で、保坂世田谷区長を交え、奥田さんと3人で鼎談。
ホームレスによる下関放火事件や「やまゆり園」の事件の話を交えながら、
公的支援を超えた「日常生活を支援する伴走型の支援」について、奥田さんが熱く語りました。

「自立を語る前に”生きる”がある」「いのちが大切だといわれるが、国を含め、いのちを”重いと軽い”の優劣で考えていないか」など、
参加者も(もちろ私も)多くのメッセージを受け取った催しでした。










イベント「助けてと言える社会へ」のおしらせ

2018-03-30 12:45:33 | 日記
元野宿者の「いきわらい」から、生きるチカラをもらえる

世田谷で3月19日にユニークなイベントが行われます。
北九州市でホームレスの支援を始めて、約30年。
奥田知志さんはいま、ホームレス経験者と一緒に「生笑(いきわら)一座」という劇団をつくり、全国を回っています。
その一座が世田谷にやってきます。

NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」や朝日新聞の「フロントランナー」で取材され、
最近では北海道の困窮者住宅の火事をきっかけにした朝日新聞のオピニオン&フォーラム「耕論・最低限の住まいとは」で、
制度の狭間に置かれた人々の現状を鋭く指摘した牧師の奥田さん。
「シールズ」の奥田愛基さんのお父さんとしてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

今回はその奥田さん率いる「生笑一座」の公演と、
奥田さん、世田谷在住のジャーナリスト、ゆきさんこと大熊由紀子さん、そして保坂展人世田谷区長の語り合いを組み合わせたイベントです。

「住む家をなくしたからこそ知ったこと」「サバイバルな生活の知恵」「上手な助けて”の言い方」など、
一座の「いきわらい」から、たくさんの生きるチカラがもらえるはずです。

日時:3月19日(月)13:00~16:00
 第1部:生笑一座公演
 第2部:鼎談(奥田知志・大熊由紀子・保坂展人)
場所:三茶しゃれなあどホール(オリオン)
      世田谷区太子堂2-16-7
      東急田園都市線三軒茶屋徒歩2分
料金:無料(先着100人)

主催:NPO法人抱僕
共催:「生笑一座」講演世田谷実行委員会
呼びかけ人:大熊由紀子、保坂展人、中澤まゆみ





第21回認知症カフェ

2018-03-30 12:34:31 | 日記
介護の中心には「愛」がある

2018年1月15日

昨日のせたカフェの「認知症カフェ」は、
世田谷区の特養「千歳敬心苑」の人材育成担当、山ちゃんこと山口晃弘さんがゲスト。
当日のドタキャンならぬドタ参が続々と出たため、25部用意していた資料が足りなくなって印刷に走るという、嬉しいスタートとなりました。

「認知症になったら、特養に行こう!」という刺激的なタイトルと、
「今日の僕の話を聞いたら、きっと特養に入りたいと思うはずです!!」という前置きから始まった山口さんのトーク。
いつものように先に伝えてあった5つの質問を、笑い満載のエピソードの中にちりばめながら、
山ちゃんならではのユニークな視点で、認知症の人へのまなざしと、「介護」のあり方を伝えてくれました。

中でも、参加者から感嘆の声が出たのは、「KAIGO」の中心には「AI(愛)」があり、愛が抜けると「KAGO(籠)」になるという指摘。
施設でも自宅でも、ご本人を籠の鳥にしていしまうのは、施設のスタッフであり、家族でもあるという鋭い視点が込められていました。
「介護とは・・・」介入して本人を護ること、「介護の専門性とは・・・」
その人が生き生き暮らせる生活を支援すること。
山ちゃんオリジナルのメッセージが続く中、介護保険法第一条の「目的」である「自立した日常生活」の意味を、
簡単な体験で参加者に気づいてもらう、という一幕もありました。

2人一組になり、Aさんには「○○を取ってきてください」と言い、
Aさんが目を伏せている間に、Bさんには「危ないからやめるようにと言って、止めてください」とホワイトボードで伝える。
「ハイ、スタート!」で始まると、参加者からは「うわ~、びっくりした。ご本人って、こういう気持ちなんですね」という納得の声が。
山ちゃんは「本人は目的があって動きたいんだから、危ないと言って止めるのは自立支援じゃないですよね」と、参加者に語りかけます。

リハビリについても、若いスタッフが張り切って勧めた運動に対して、
93歳のご本人が「死にたいほどつらかった」と言ったエピソードを通して「その人が嫌がることは、リハビリにはなりません」と。

「そこに愛はあるのかい?」というメッセージを繰り返しながら、
「介護にとってカギになるのはユーモア」です、という山ちゃんの爆笑講座。
参加者は認知症ケアに対するたくさんのヒントを、笑いとともにもらったのではないかと思います。

山口さんが「世田谷のトップを目指したい」という千歳敬心苑では、
利用者と地域の買い物難民を買い物に連れ出す「買い物キャラバン」、
地域の高齢者や子どもが夕ご飯を食べにくる「ちとせ deごはん」
、認知症の理解を演劇で伝えるスタッフによる「ちとせ座」、認知症カフェ「ちとCafe」など、
えっ、特養って、こんなことをするの? という地域貢献も積極的に行っています。
「見学歓迎」なので、どうぞ、見学に行ってください。「施設選び」のポイントもわかるはずです(^^♪。

次回の「認知症カフェ」は、3月11日(日)。
世田谷のレジェンド、「地域リハビリテーション」で知られる、リハビリ医の長谷川幹さんによる
「認知症と高次脳機能障害のリハビリとは」です。
2月11日(日)の「介護家族のための実践介護講座」は、山ちゃんにも負けないキャラクターで、こちらも世田谷のレジェンド、
褥瘡はできる前に治すことが大切と、食支援部をいち早くクリニックに設けた皮膚科医の木下三和子さんの「高齢者の皮膚トラブル」です。
今年も、せたカフェの地域講座、どうぞ、お楽しみに(^^♪。





2017年しめくくり「もちよりカフェ」

2018-03-30 12:20:28 | 日記
まもなく5年目のせたカフェ、来年もよろしく

2017年12月23日

「前回来てから、ちょうど1年目!」なんて人もいて、
懐かしい顔、おなじみの顔、新しい顔が集った昨夜のせたカフェ「もちよりカフェ」。

会場の音声がなぜか出ず、始めるまでに時間がかかりましたが、
ナベさんがつくってくれた「せたカフェの1年間」の力作スライドショーからスタートしました。
自己紹介タイムの「来年の妄想」では、自宅で笑恵館という地域サロンをやっている田名さんから、
「私を看取ってもらうため、世田谷で初めてのホームホスピスをつくります!」というステキな決意表明や、
相模原市で若年性認知症の人の支援をしている浜井さんから「来年はオレンジドアをスタートします」
などのアナウンスが出て、大きな歓声が何度も湧きました。

食べ物もちよりでは、久々の「持ち寄り名人」の参加で久々の「お重」が到着。
せたカフェからも、松陰神社のフレンチレストランから取り寄せたローストビーフ&パテと、
宮川さん提供の品々のプレゼントがあり、
年の瀬らしくてせたカフェらしいにぎやかな「もちよりカフェ」になりました。
来年はせたカフェも5年目。
スピンアウト企画として、2月25日には「せたがや居場所サミット」も共同開催します。
「ケアする社会」の実現に向けて、小さくても確実な歩みを続けていきたいと思っています。

来年のせたカフェの活動は1月14日の「認知症カフェ」から。
ゲストは特養「千歳敬心苑」で人材育成を行う”カリスマ介護士”の山口晃弘さん。
特養での認知症ケアをテーマに話し合います。
「私もいつかは認知症」・・・。そのための心がまえと準備をしておきたいものです