素 股

「すまた」漢字に確信がもてないので、電子辞書を引くことにした。
こんな卑猥な言葉はまず出ていないだろうが、ものは試しと引いて
みた。出ているではないか。「素股」へえ～！

　　　　（１）むきだしになっている股。また、内もも。
　　　　（２）股間交接のこと。

股間交接とはなんと無難に表現したもんだ。

悪のりして「尺八」「茶臼」「帆掛け船」を引いたが、日陰の意味
は出ていなかった。ということは、「素股」は立派な日向の言葉で、
一般に認知され、「性交」と同じレベルの恥ずかしくない言葉とい
うことか。ちょっと私の認識とギャップがあった。

紙の辞書だったら、恐らく引かなかっただろう。目は霞み、指先は
不器用で、横着者ときては、あの煩わしさを考えただけで、とても
引く気にはなれない。その点、電子辞書は立ち上げの時間もかから
ないし、ポンポンとキーを打てば即出てくる。気楽に引ける。
パソコン、ネットも便利だが、それ以上ではないか。

電気小物で実生活にこんなに役立つ製品は他にないのでは。といっ
ても、私の使っているのは、広辞苑、漢字辞典、和英、英和の４辞
書しか入っていない。２４種の辞典が入っているのがあるそうだが、
こういうものを携帯していれば、文字どおりウオーキングディクショ
ナリー人間になれる。

日本人が英語に熟達しない一因に辞書を引く煩わしさがあったので
はないか。記憶力のいい若いときに、バリバリ電子辞書をこまめに
引いて、グローバル世界で英語を駆使して活躍してもらいたいもん
だ。

前置きが長くなってしまった。電子辞書の有り難味を強調したかっ
のだ。

昔、会社の同僚の話。

彼も男の例にもれず、スケベだった。ほかの男とちがうところは、
学研的で、セックスを解剖学的、生理学的に話すのだ。

彼は７０台も収容できる駐車場を所有し大金持ち。ところが、金
を自由にできない。彼はお婿さんなのだ。そのストレスの捌け口
がエロ話になっていたのかどうかはわからない。

彼は頭もそこそこよかったのだが、いまひとつ人望がなかった。
冷たい感じで、人と打ち解けないところがあったのだ。

ところが、彼のエロ話が始まると、男社員が集まってきて耳を傾け
た。男社員のエロ話といえば、よかった、女が悦んだ、毛深かった
・・・と極めて大雑把な話。それにひきかえ、彼の話は微に入り細
をうがった、なるほどと参考になる話が多かったのだ。

彼が夜、新宿歌舞伎町を歩いていた。映画女優かと見紛うばかりの
金髪の女とすれちがった。彼のスケベ根性に火が着いた。

念願の金髪女。つたない英語でなんとか話をつけ、ホテルに連れ込
んだ。あそこはどんな恰好なのだろうか。淫毛の金髪の生え具合は。
と、彼の学研的妄想が広がった。

一戦を交える段になって、どうしても照明を灯けさせない。金髪の
お◯◯こをまさぐろうとしても触らせない。日本の男を馬鹿にし
ているのかと、腹が立ったが、金髪外人に気後れして怒るわけにも
いかない。

暗闇で女の上になり始めたが、そのセックスの巧みなこと、あれよ
あれよという間にいってしまった。

とうとう、金髪女の裸体を拝めず別れた。

冷静になって、考えてみると、どうも金髪おかまに素股でやられた
らしい。

なあ～んだ。あんなに学研的にエロ話をしていたのに、男か女かも
解らず、しかも素股か膣かも解んなかったなんて、口ほどにもない
アホだと軽蔑してしまった。

あるいは名人をも騙す、スーパーテクニシャンの外人おかまだった
のかもしれない。

私はせっかく立派なお◯◯こが着いているのに、素股でやる趣味も
経験もない。

ところが、粗チン、フニャチンなので、お◯◯こ挿入して一生懸命
励んでいるうちに、気付かずおチンチンが外れ、意ならずも素股で
やってしまっていたことは何度もある。女もべつに外れたとも注意
してくれないので、女も興奮していれば、躰さえ密着していれば、
素股でも結構満足するものなのかと勝手に想像している。

「意ならず素股」　男としては情けないことにはちがいない。