松本健史の「生活リハビリの達人」になろう!

超高齢社会の切り札「生活リハビリの達人」になる!講師・原稿依頼は matumomo@helen.ocn.ne.jp まで

雑誌連載(第七回)『宇宙兄弟に学べ!』 全文掲載

2013年10月13日 | Weblog

ブリコラージュ10月号に原稿書きました。重力は地球にある貴重な天然資源じゃ。これを使わぬ手はないぞ!ヒントを得たのが宇宙兄弟の12巻、宇宙から帰ってきたお父さんに飛びつきたいのに、引きはなされてる子供のシーンがあって。あ、重力って僕らには初期設定やけど、いったんリセットされるとすごいもんなんやなー、あれ、寝たきりのお年寄りさんもリセットされてない?って思ったんです。20巻まで一挙に貸してくれた同僚のY君に感謝!おもろすぎて21巻から自分で買ってます。

 

 

 

参考文献: 宇宙兄弟 小山宙哉 講談社

 

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Mission7 宇宙兄弟ニ学べ

朝のあわただしい業務が一段落して、タバコを吸っていると煙の中から、メデシン仙人が現れました。

 

NASAの写真

仙人は辺りを見渡し、テーブルに座っているお年寄りの姿をみて残念そうな顔で言いました。「みなさん座ってるけど、本当には座ってない。もう一工夫欲しいの~」

「えっ仙人、目がおかしいんですか?どうみても座ってると思うんですけど・・・。座るのにも工夫があるんですか?」と僕が訊くと

「この写真をみろ」一枚の写真を渡されました。

みるとけったいな格好のオッサンの記念写真でした。

 仙人に渡された写真  宇宙飛行士の膝にリンゴが・・・なぜ?

「なんですかこれ?」

「これはな、宇宙飛行士が無事に地球に帰還した時の記念写真じゃ。」

「これが今の話と関係があるんですか?」

「まぁ、話は最後まで聞け。この写真、なにか気にならんか?宇宙飛行士のマタのところになんか置いてあるじゃろう」

宇宙飛行士の膝にリンゴが乗せられていました。

「リ、リンゴに見えますけど。まさか、この場面でリンゴ、なんで?」

「これ、おふざけじゃ。無重力空間で何ヶ月も過ごしてきた宇宙飛行士に『重力の世界にお帰り』というNASAのアメリカンジョークじゃな」

「え・・・、このリンゴ、ジョークですか?」「そうじゃ。ニュートンのリンゴ。宇宙飛行士に『体が重いやろ。なーんでだ?正解は地球に重力があるからでーす!』ってリンゴが渡されておるのじゃ」

僕は話が把握できないので、だんだんイライラしてきました。「そんなふざけてないで、この宇宙飛行士を早急に手当てしてあげてほしいですね。なんかリンゴ渡されて迷惑そうな顔してませんか?」「そうじゃ、お前の言う通りじゃ、ジョークを言ってる場合ではないのぉ。しっかりせい、NASA!ナサけないのぉ」(仙人のダジャレでさらにイラッときました・・・)

 

重力に対抗、その名も『抗重力筋』

仙人は続けました。「地球に帰ってきた宇宙飛行士が最初にびっくりするのが、この重力のはんぱない強さじゃ。体が床に引っ張られて、動けなくなるほど強い重力を感じるんじゃぞ。NASAは帰還した宇宙飛行士に日常生活に戻るためのリハビリプログラムを用意しているのじゃ」

「へぇ~、びっくりです。そんなに地球の重力ってすごいんですね。僕はなんにも感じませんけど」僕はその場で飛び跳ねてみました。

「そうなんじゃ、わしらはオギャーと生まれてからずっと、この重力に引っ張られておる。重力がもともとアリの条件で生活してるから、全く意識せずに暮らしておるのじゃ。こうやってちゃんと立ったり、歩いたりするための筋肉、その名も『抗重力筋』が備わっておる。だが、ひとたび無重力に慣れてしまうと、これらの筋肉は弱ってしまうんじゃ。だから、地球の重力下での生活に再び適応しようと思えば、鍛え抜かれた宇宙飛行士といえども大変なんじゃ。この絵をよく見ておけ!」

仙人に渡されたメモ 抗重力筋のイラスト

 

地球上にもあった無重力空間!『寝たきりのベッド』

仙人は僕の肩に手を置いて言いました。「おい、他人事と思うなよ。この抗重力筋を使ってない人が身近にいるということに気づかぬか?」

「誰ですか?」「お前、いつも介護しておるじゃろ」「・・・あ、ねたきりのお年寄りですか?」

「やっと気づいたか」仙人はため息をつきました。「よいか、重力に負けぬように筋肉を使って生活する。これ、地球上にいるすべての人の基本じゃ」

「そうか、寝たきりの人も抗重力筋を使えるように、立ったり歩いたりした方がいいんだ!」

「まぁ待て。お前、ちと早合点がすぎるのぉ。よいか長期間寝たきりだった人が、急に立つだの歩くだのできると思うか?宇宙飛行士でも無理なことをお前はご老人にさせるのか?」

「たしかに、ちょっと無茶でした。でも、どうしたらいいんですか?」

「そうじゃな。まずは重力を『感じる』ことぐらいから始めてみることじゃな。寝たきりの人はフラフラしないように支えながら起きて座ってみる。もたれて座ってる人は背もたれから背中を離してみる。そんな工夫で筋肉が目覚めるぞ。それぐらいはできる人がたくさんおるはずじゃ」

「単に座るといっても工夫があるんですね。だから仙人は、さっき『ここにいる人は本当の意味で座っていない』と言ったんですね。もし座り方の秘訣があれば、教えてください」

「よし、次回は『座る』を極める介護のレッスンじゃ。これこそTHE(座)・介護じゃ!」

ダジャレが決まった!とドヤ顔の仙人です。ダジャレのせいで僕の体がズシンと重くなりました。これも仙人の言う「重力を感じよ」ということなんでしょうか?そう考えると仙人の言葉もなかなか奥が深いのかもしれません・・・。

 

ブリコラージュ10月号、ぜひお手に取ってみてください。

http://www.nanasha.net/home.html

 

 

 

 

 


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