紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

【劇場版Zガンダム】ジェリド・メサの物語を追う[第三部]

2010-02-13 22:44:59 | ○○の物語を追う
前回「第二部」からの続き

 抜擢

度重なる敗走。
そのことが、逆にジェリド・メサ中尉のティターンズ内部の評判を高めたといえる。

なんと、ティターンズの総帥である「ジャミトフ・ハイマン」本人が、ジェリドを
第三勢力アクシズ代表「ハマーン・カーン」との会見においての自身の警護を任せたいと
希望してきたのである。



惨敗に次ぐ惨敗。しかし、その奇跡の生還っぷりが逆に評価された。
ジェリドはティターンズの総帥に認められ、代表者会見に同席という名誉を得る。


会見の相手は、宇宙要塞アクシズを束ねる「ハマーン・カーン」。
ザビ家の遺児「ミネバ・ザビ」を擁立し、ジオン再興を掲げるニュータイプの女性である。

ところが、この会見はハマーンの罠であった。
ティターンズの要塞「ゼダンの門」に、ハマーンは自らの本拠地である
宇宙要塞アクシズを衝突させるという奇策に出たのだった。


ハマーンの不穏な空気を察知し、仕込み銃で攻撃するジェリド。


しかし、ハマーンはあっさり回避。まんまと逃げられてしまう。


ジャミトフからハマーン追撃の許可を貰ったジェリドは、ティターンズの新型MS「バイアラン」で出撃する!


指揮官としてのジェリドの場面が初めて登場。指揮をとる姿も様になっている。


ところが、ここでまたしても「ヤツ」の邪魔が入る。
アクシズと一時的に同盟したエゥーゴのZガンダムとの交戦に入るジェリド!


強烈な一撃を食らい、あっさりと撤退するジェリド。
脅威の生存率を誇るだけあり、引き際が実に見事。

結局、ゼダンの門はアクシズの衝突により崩壊。
重要な軍事拠点のひとつを失ったことにより、ティターンズに暗雲たちこめる結果となった。


 ジェリド、覚醒・・・?

このゼダンの門での攻防戦において、ジェリドにニュータイプ覚醒のような兆しがあらわれる。


感覚が人一倍鋭いといわれるニュータイプ。
その兆候なのか、ジェリドは離れた場所にいるZガンダムの位置を感覚で察知する。

ところが、そのZガンダムは既に取り込み中。
元エゥーゴでティターンズに寝返った女性「レコア・ロンド」と交戦中にあった。




援護の申し出を断るジェリドだが、レコアは問答無用でZガンダムを追撃。
結局、女性相手では優位に立てない男・ジェリドの姿がそこにはあった。


この戦闘において、ジェリドはエゥーゴのベテランパイロットである「アポリー・ベイ」を撃墜する
勲功を立てる。ジェリド、やはり覚醒なのか・・・?


しかし、結局マジギレしたカミーユにキツイ一撃を食らい、またまた撤退を余儀なくされた。


 ジェリド、最期の戦い

ゼダンの門攻防戦からしばらく、ジェリドが何をしていたのか描写がないためわからない。
彼が再び戦場に姿を現すのは、エゥーゴとティターンズの戦争が最終局面に達した
グリプス2空域での戦闘であった。



サイコミュ搭載の可変MS「バウンドドッグ」を駆り、宿敵の前に姿を現すジェリド。
このMSをどこで調達したのかは不明。
もしかしたら、ジェリドにニュータイプ覚醒の兆しを見た結果、割り当てられたものかもしれない。


ところが、ここにきてジェリド大暴走。
ゼダンの門の戦闘後、なにがあったのかは知らないがすっかりカミーユに固執する戦闘狂に。
あんなにビビリでヘタレだったのに・・・。


恐れから来る引き際(+強運)で今日まで生きて来られたジェリド。
恐れをなくした彼は、もう生き延びる男ではなくなっていた。
ジェリド、人生の幕を閉じるトリガーが引かれる!




TV版のように、「カミーユ、貴様は俺の・・・(全てを奪った)」というセリフは無し。
たった一言、「うわぁ!」。
これだけで、彼の人生は終わった。

そんなジェリドの散りざまに、宿敵であるカミーユが漏らした感想がこれ↓





自身のエリート街道に突然立ちふさがった巨大な壁「カミーユ・ビダン」。
人生で初めて味わった挫折を、彼なりに工夫したり、人に助けてもらったりして克服してきたつもりでいた。
彼を助けてくれた人はみんな、死んでいった。
すべてを失った彼は軍人として成長を遂げ、さらにはニュータイプ能力の片鱗まで見せるようになった。
最期はそれゆえの暴走だったかもしれないが、彼がこだわり続けた宿敵が彼を評した言葉が

 「戦場ではしゃぐお調子者」

とは、あまりにも哀しい最期ではないか・・・。


 ジェリド・メサ中尉 総評

劇場版では、キリマンジャロ基地攻略戦~ダカールの演説までがないため、
ジェリドがカミーユの想い人「フォウ・ムラサメ」を殺す場面がない。

TV版では、フォウはマウアーと同じようにカミーユをかばって散るので、
女呼ばわり(ジェリド)→ガンダム強奪(カミーユ)→カミーユ母殺害(ジェリド)→
ライラ・カクリコン殺害(カミーユ)→マウアー殺害(カミーユ)→フォウ殺害(ジェリド)
という二人の憎しみ合いがより強調されていた。

ところが、劇場版ではフォウ殺しの場面がないため、なんだかジェリドからカミーユへの一方通行の
ように見えてしまう。
最後のカミーユの「お調子者」発言も、それをより際立たせている。

結局、彼はニュータイプに羨望を抱きながらもそれを超えられないオールドタイプの男として
この物語にあらわれてきた。
しかし、彼の人間くささは愛すべきものであり、彼の物語はZガンダムという物語の中でそれなりに
大きなウェイトを占めているのではないだろうか。

ジェリド・メサ中尉。彼は、愛すべきお調子者なのである。

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3 コメント

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Unknown (ろくはな)
2011-09-12 11:33:06
 私はTV版も劇場版も見た女性です。
 カミーユと並んで喜怒哀楽がはっきり描かれた、アツいキャラだったのではないでしょうか。
 ジェリドだけは、そばにいて何か協力したいと思わせるキャラでした。頑張ってる子に手を差し伸べたくなるというアレでしょうか。
 カミーユにそんなことしたら、異常に甘えられるか、余計なことするなとキレられそうです(笑)
 
返信する
Unknown ()
2011-09-20 00:56:26
>ジェリドだけは、そばにいて何か協力したいと思わせるキャラ

それ、完全にマウアー視点ですね。
すっごいわかりますが。

ジェリドが姉御肌の女性にモテモテなのはそういうとこなんでしょうね。

カミーユに関しては本当その通りでしょうねー
返信する
徐々に強化 (Unknown)
2017-01-16 15:33:46
強化1 搭乗機ガブスレイ   MK2中破
強化2 搭乗機バイアラン   RD大破
強化3 搭乗機バウンドドッグ 死亡

ジェリドはたしか強化されていたはずです。




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