MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

頭の体操 (16) 漢字クイズ 問題/解答

2009-07-24 00:10:44 | 頭の体操 漢字クイズ

07/24   頭の体操 (16) 漢字クイズ 問題/解答




        『これまでのカタカナ語句には、

        カタカナ部分のみ各回ごとに載っており、

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 05/05 ~ 05/19 に登場した外国語の人名、地名、用語が、
カタカナ表記で (1) ~ (25) に、登場した順に並んでいます。


 また、(A) ~ (Y) に並んでいるのは、それを漢字で表記
しようとしたものですが、どう読めばいいでしょうか?



(1) ブーフシュターベ    (2) デスク・ワーク    (3) ニス

(4) フェルディナント・ダヴィット           (5) ライプチヒ

(6) ゲヴァントハウス      (7) デビュー      (8) ゴータ

(9) ドレッテ・シャイトラー    (10) マリアンネ・プファイファー

(11) シンフォニック          (12) フランツ・ブリュッヘン

(13) オイゲン・ヨッフム            (14) ラインスドルフ

(15) ザルツブルク   (16) ミラノ   (17) ラメンタツィオーネ

(18) パッシオーネ   (19) ダ カーポ   (20) ポリフォニック

(21) シュトゥルム・ウント・ドラング (22) ディヴェルティメント

(23) ポント  (24) ミトリダーテ  (25) アルバのアスカーニョ



(A) 翻頭    (B) 似子    (C) 出鼻憂    (D) 吾尾多

(E) 味裸飲  (F) 味鳥誰当  (G) 掘譜音育  (H) 惰夏阿呆

(I) 初鮨大値  (J) 猿痛古苦  (K) 新本異句  (L) 雷父地火

(M) 弟好話飽    (N) 夏晩兎這子    (O) 弗得謝意寅

(P) 古餡粒々変   (Q) 尾猪幻酔踏   (R) 雷音数弗負

(S) 日減酊面倒   (T) 麺条太遂大音   (U) 葡麩酒多得屁

(V) 増次男十蛇尾人          (W) 出頭部屋運賭酔

(X) 或馬之明日蟹夜       (Y) 馬履闇値富父愛負嗚呼 




[解 き 方]


  ・ 漢字を読み、主にその音を用いて、原語での発音を表わそうと試みた
   ものです。

  ・ 音読み訓読みが混ざっています。 必要な場合は、濁点()、
   半濁点()、送り仮名を補ってください。

  ・  従来のカタカナ表記による読み方とは、必ずしも一致しない場合が
   あります。

  ・  音ではなく、単語の意味を外国語に置き換え、その発音を用いる
   こともあります。 「星 → スター」、「太陽 → サン」のようにです。
    今回は英語などがか所あります。

  ・ 口語的俗語的にくだけた読み方をすることもあります。
   (例) 「汚 → きたねぇ」、「社長 → ボス」。

  ・ 漢文もどきに、順番を入れ替えて読む場合もあります。
   (例) 「不読 → よまず、よまん、よまない」。

  ・ 左の漢字の中には、“”、”” ともに含まれている場合もあります。 
   人名 (右) に加えて "first name" をご自分で補ってください。
    (今回はその必要はありません。)
   (例) 「ヨーゼフ・シュトラウス」。

  ・ 音や意味とは無関係で、漢字から連想しないと解けないものも!
    (今回はありません。)

  ・  厳密に見るといい加減なものもありますが、そこは冗談の世界。
   お見逃しくださいませ。


   解答

    ↓





(A) 翻頭  (23) ポント

 黒海南岸の地域ポントス (ギリシャ語)、現トルコ領です。

 『ポントの王 ミトリダーテ』 (後出) は、Mozart が 15歳を
迎える頃に作った最初の歌劇で、第一回イタリア旅行中
にミラノで完成、初演されました。




(B) 似子  (3) ニス

 英語では "varnish"。 "ワニス" とも呼ばれます。 成分や
用途は極めて多彩ですが、弦楽器にとっては音質、音量に
まで重要な影響を及ぼすと言われます。

 えっ!! "児吸"? それは危ない! 手の届かない
場所に保管しましょうね。




(C) 出鼻憂  (7) デビュー

 元々は「手始め、発端」を意味します (début)。

 「クレオパトラの鼻があと一センチ低かったら…」などと、
よく言われます。 ご当人はどう思っていたのでしょうか。




(D) 吾尾多  (8) ゴータ

 ウチの "まる" に訊いてみましたが、尻尾がたくさんある
ワン君は知り合いにはいないそうです。 ひょっとして、
貴方はご存知ないですか?

 「もしかして、イヌに限定しなければ」…と思い、検索して
みました。 その結果、あるにはありましたが…。

  [ルーリン彗星の複数の尾

  [リニア彗星

  [ニート彗星

 こういうのって、がっかりしますね…。

 ちなみに私は以前、ヒゲを生やしていた時期があります。
それで、「ヒゲの手入れ法」をネット検索していたときのこと
です。 中で一つだけ、奇妙なのが…。

 「口をしっかり押さえ、眼や鼻から遠く離して構えます…。」

 「どうも変だな…?」と思い、よく読んでみたら…、…、
内容は「イヌのヒゲの手入れ法」でした。

 そこに書かれていた内容自体は忘れてしまいましたが、
新たに検索すると、こんなのがありました。 ↓

 「頭を固定しておこないましょう…。 刃先が大きく開いて
いると危険です。 開きは小さく、一本一本丁寧に切るのが
正しい切り方です。」

 これ、[ビーグルの手入れ]っていうサイトでした。




(E) 味裸飲  (16) ミラノ

 現地人の発音にも色々ありますが、明らかに「ラーノ」と
聞こえる場合があります。 "ミ" が強く、"ラ" は弱いが若干
長い。

 同時に思い出すのが "スクヴァー (モスクワ)" です。

 この二つ、我々日本人が聞けば、アクセントは "ミ" と "マ" に
ありますが、正解は "ラー" と "ヴァー" なのだそうです。

 これは、私たち音楽に携わる者にとっては、大変重大な意味が
あります。

 「アクセントとは何か?」

 また、"アクセント" の位置以外の、「"アウフタクト" や "拍の裏"
は弱く!」と教えられることがありますが、果たして正しいのか?

 私たちは、譜面上に "アクセント" (>) 記号を見ると、普通は
「ただ強く鋭く」演奏しがちなのですが…。




(F) 味鳥誰当  (24) ミトリダーテ

 意味不明ですが、どうやら焼鳥屋さんの話のようですね…。

 ミトリダテスは実在した王の名で、名高いのは "ポントスの王
ミトリダーテⅥ世" です。 "叛徒の王" でも "奔徒の王" でもなく、
正真正銘の王です。

 これをオペラ化したのが『ポントの王ミトリダーテ』です。

 さしづめ私なら、小唄『先斗女王 "美鳥誰当"』となって
しまいそう…。




(G) 掘譜音育  (20) ポリフォニック

 漢字表記には向かないようです。

 "彫負怨逝" なんて書くと、『世にも奇妙な…』になっちゃいます。




(H) 惰夏阿呆  (19) ダ カーポ

 "Capo" は "頭"。 日本語でも「頭から」と、よく言います。

 昨年亡くなった名指揮者のジャン・フルネさん。 プロの演奏者
たちの甘心を買おうなどと、一部の "指揮者" たちが陥る風潮とは
一切縁がありませんでした。

 つまり、「リハーサルを早く切り上げる "人気取り"」のことです。
オケの団員はみな、早く解放されたいから…。

 フルネさん、あるリハーサルで、曲を何度か繰り返したあと、
曲のおしまいまで辿り着きました。  我々は、期待と不安の
入り混じった思いで、マエストロの次の行動を見守ります。

 するとフルネさん、自分の頭を指さし、にっこり、ただ一言、
「Da capo...。」 要するに、「もう一度頭から。」

 我々はフルネさんに、"M. Da capo" (ムッシュ ダ・カーポ)
なる敬称を差し上げたのでした。 




(I) 初鮨大値  (18) パッシオーネ

  "La passione"。 ここではハイドンの交響曲第49番ヘ短調
『受難』のことでしたが、『マタイ』、『ヨハネ』などの "受難曲" も、
"St. Matthew's Passion" などと呼ばれます。




(J) 猿痛古苦  (15) ザルツブルク

 古傷、痛むの? 往年のボス猿くん。 温泉でゆっくり療養
してください。

 "猿通振狗"。 はて、まるチャン、きみ、振られたの?
お猿さんのお嬢さんに…。

 公式には "" ですが、オーストリアや南ドイツなどでは、よく
ルツブルク」、「ライプツィ」、「ツヴォー (ツヴァィ) = 2」など
のように発音されます。




(K) 新本異句  (11) シンフォニック

 異本、新本、版の違い…。 文学に限らず音楽でも、その差異
が極めて大きいことがあります。 音符、フレーズ、小節数…。

 「一体、どれが本当なの? 初稿、改定版、最終稿…。」

 そんなとき、作曲家自身も、複雑な状況に置かれた一人の
人間であることを感じます。 解答の決定版はありません。
貴方に委ねられています。 解釈者も一人の人間です。




(L) 雷父地火  (5) ライプチヒ

 より正確には "ライプツィヒ"、あるいは "ライプツィク" ですね。

 ところで、"地雷火父" と書くと何でしょう?

 「地震、雷、火事、親父」です。




(M) 弟好話飽  (2) デスク・ワーク

 話す当人にとっては面白い話でも、聞く方は退屈なことが
あります。

 それって、話が詰らないから? それとも語り口に問題が?

 まずい、藪蛇だ…。




(N) 夏晩兎這子  (6) ゲヴァントハウス

 ゲヴァントハウス管弦楽団の名で古くから親しまれています。
"ゲヴァントハウス" は本拠地の名前で、"織物" という語句を
含んでいます。

 ところで、砥石 (といし) は若い方々はご存じでしょうか。 私も
包丁を研いだことがありますが、なかなか難しいものですね。

 刃の当る角度、その安定度、運動の方向…。 水をかけると
流れる、灰色の砥ぎ汁…。 今ではもっと使い易い商品が、
通販、¥100ショップなどで売られています。

 …、どうでもいいですね…。 はい、"外盤砥刃薄"…。




(O) 弗得謝意寅  (9) ドレッテ・シャイトラー

 ハープ奏者で、シュポアの奥さんでした。

 ドロテア、ドレッテ、ドロシー…。 それがどういうわけか、"弗得"
になってしまいましたが、なぜ "寅さん" まで登場するのでしょう?
外貨預金? ドル建て債券? それとも今問題のFX

 いずれにせよ、"儲かった" ようですね、寅さん。 やれやれ…。




(P) 古餡粒々変  (12) フランツ・ブリュッヘン

 リコーダー奏者、指揮者 (1934-) として著名ですが、正確には
"フラン" と読むらしいですね。

 でもそうなると、漢字にしにくい…。 "古餡酢古油変" ?




(Q) 尾猪幻酔踏  (13) オイゲン・ヨッフム

 この表記、あまり面白くないですね…。

 それでは、"雄威厳養父武"!

 だめですか…? じゃ、"覆現妖婦夢"…。




(R) 雷音数弗負  (14) ラインスドルフ

 色々な意味で "律義" な指揮者だったようです。

 数弗たりとも賭け事に費やすなんて、あり得ない。
その上、負けるなんて…。




(S) 日減酊面倒  (22) ディヴェルティメント

 何が面倒なのでしょうか。 あまり深刻に意味を考えないで
ください。 減酒、いや節酒に努めている輩 (やから) の話に
過ぎません。




(T) 麺条太遂大音  (17) ラメンタツィオーネ

 "嘆き"、"遺憾" を表わす語で、ハイドンの交響曲第26番は
『哀悼』と呼ばれています。

 チ(ャ)ィコーフスキィの交響曲第6番は、その第Ⅳ楽章に
"Adagio lamentoso" と記されています。

 ところで "ラーメン" の漢字表記には、"拉麺"、"老麺" など、
これよりももっとポピュラーなものがありますね。 でも強いて
言えば、この "麺条" がもっとも忠実なようです。

 さて、ラーメンをいただく場合ですが、難しいのは、食べる
ときに音を立てるべきか否か。

 江戸っ子が "ざるそば" をかっこむ、威勢のいい音も、
中国の方々の耳には下品としか聞こえないようです。
難しいですね…。




(U) 葡麩酒多得屁  (1) ブーフシュターベ

 "文字"、"活字" を意味する言葉です。

 「えーと、葡萄と麩のお酒は…?」…、なんて、真面目に考え
ないでくださいね。 こちらは全然意味がありませんから…。




(V) 増次男十蛇尾人  (4) フェルディナント・ダヴィット

 『竜頭蛇尾』なんて、そんな失礼なこと言っちゃ、いけません。
「次男が増える」なんて、それもちょっと…。

 でも、子供が "増減する" ことはありますよ。 ほら、
「一男去ってまた一男」…って言うでしょう…?

 違った。 「一難去ってまた一難」でした…。




(W) 出頭部屋運賭酔  (21) シュトゥルム・ウント・ドラング

 昔は、「…、…、ドラン」と習いましたが、確かに "グ" ですね。

 ところで先日、車を運転していたら青切符を切られ、次いで
"出頭"、"赤切符"、"出頭" と続きました。 

 と言っても、単なる "罰金逃れ" ではありません。 "違反"
などとは到底言えないような事実を "違反" とされたので、
裁判に持ち込もうとしているだけです。

 もちろん "酔っ払い運転"ではありません。

 いずれこの場でも書かせてもらおうと思いますが、みなさん
も、とんでもない目に遭うことのないよう、願っています。




(X) 或馬之明日蟹夜  (25) アルバのアスカーニョ

 まもなく16歳になろうとする Mozart の、二作目の歌劇です。
1771年、やはりミラノで完成、初演されました。




(Y) 馬履闇値富父愛負嗚呼  (10) マリアンネ・プファイファー

 ピアノ奏者で、ドレッテを失ったシュポアの妻となりました。

 "Pfeifer" は、(口)笛を吹く人、楽師の意味です。

 ただし、有名な『ハーメルンの笛吹き男』は、原語では
ハーメルンの鼠捕り』なので、この単語は見られません。

 しかし、英語、仏語、伊語、西語などでは、どれを見ても
"笛吹き" で、独語、蘭語だけが "鼠捕り" となっています。

 どこで違っちゃったんだろう。 警察の取り締まり (笑)




 お疲れさまでした!