RICOH GR-D
家の近くをチンチン電車が走っています。
一両編成の路面電車です。もうだいぶ前からワンマン運転になっていますが、以前はちゃんと車掌さんが乗っていて電車のなかで切符を売ったり案内をしたりしていました。
車掌さんは乗客の乗り降りが済むと頭上の紐を引き、その先に繋がっている運転席の鐘をチンチンと鳴らして運転手さんに発車OKの合図をします。
発車のたびにチンチン!チンチン!
それで、チンチン電車と呼ばれるようになったというわけなのですが、まあそんなことは誰でも知っていることですね。
ワンマン運転になってしまってからは「チンチン」は必要ないと思うのですが、今でも降車扉が閉まって発車する寸前にチンチンって自動的に鳴らしています。やはり「チンチン」の音は残したかったのでしょう。
このチンチン電車は都電荒川線といって東京で唯一生き残った路面電車です。荒川区の三ノ輪橋から新宿区の早稲田を結ぶ全長12キロほどの路線です。一部を除きほとんどが専用軌道敷を走っていて自動車交通の妨げになりにくかったのが生き延びた理由なのでしょう。
現在の車両は鉄道友の会からローレル賞を受けるようなスマートなものです。昔の車両はずっと大柄で垢抜けない感じのもので、内装も床や壁、サッシの枠など木製でよく言えば温か味を感じるものでした。乗り心地はあまり良いとは言えず、直線部分でも少し速度が上がるとぐりんぐりんとローリングするように大きく揺れたものです。そのたびに長いつり革がぐるぐる揺れてそろってダンスを踊っているようでした。
四十数年前、私が小学生の頃は運賃が15円で少年マガジンが35円、ラーメンは50円くらいだったと記憶しています。
当時住んでいた家からチンチン電車で7駅ほど行ったところに「あらかわ遊園地」があり、入園料も中の乗り物代もえらく安くて乗り物以外にも池やら築山(防空壕もあった)やら遊べるものがたくさんあったので休日にはよく友達と遊びにいったものです。
「あらかわ遊園地」で散々遊んだ後は、帰りに近くのたこ焼き屋さんでたこ焼きを食べるのが密かで贅沢な楽しみでした。このたこ焼きを食べるために帰りの電車賃に残していた小遣いを使いきってしまうのが常でした。ごく普通のシンプルなたこ焼きだったけど熱々のできたてをハフハフしながらほおばるとしみじみと旨くて実に幸せな気分になったものです。
そんなわけで帰りはチンチン電車の軌道敷を歩いて帰るのですが、子供の足に7駅分の距離はかなり応えたものです。3、4駅分も行くと歩き疲れてたこ焼きを食べた満足感はすっかりなくなり、あとは日が暮れ始めて夕陽に赤く輝くレールを眺めながらとぼとぼと下を向いてひたすら歩くことになるわけです。
時折追い抜いていくチンチン電を眺めながらあのぐりんぐりん揺れる独特のローリングに身を任せられたらなあと恨めしく思ったものです。
あらかわ遊園地に展示されている旧車両
RICOH GR-D
中はこんな感じ。床、窓枠が木製で椅子も天井の照明もレトロな雰囲気です。
RICOH GR-D
運転席
といっても椅子は無く運転手さんは立ったままの運転です。
扉もワイパーも電動ではなく手動式。
RICOH GR-D
こちらは今の車両の運転席。ワンマン運転なのでいろいろな装置があって
運転手さんは大変でしょうねぇ
RICOH GR-D
これが「チンチン」の鐘
紐がついていて車掌さんがその紐を引くと運転手さんの頭上についているこの鐘がチンチンと鳴るわけです。
RICOH GR-D
例のたこ焼き屋さん
多少の変化はあるとはいえ、今でも健在です。午前中なのでまだ開店前?
RICOH GR-D
今この時期の沿線には山茶花があちらこちらに咲いてます。
RICOH GR-D
沿線にはバラがたくさん植えられていて、開花時期には多くのバラが花を咲かせてなかなか見事です。
この写真だけはペンタックスで撮りました。(バラの時期にはまだGR-Dが発売になってなかったもので・・・)
PENTAX *istDs FA50㎜ F2.8 MACRO
☆ところで、リコーから CaplioR4 が発売になるようです。
チンチン電車を撮っていて望遠レンズが欲しくなる場面が何度もあったんですよねー。そんな時、手ブレ防止つきで200㎜望遠が使える現行CaplioR3があればなーと思ったものです。R4発売でR3が激安になるなら買ってしまうかも(;^。^A
私が通ったときもたまたま列車が通過しました。結構な本数が運行されているのですねえ。
三ノ輪橋の辺りもずいぶんと変わってしまいました。もうかなり前のことですが三ノ輪橋と荒川区役所前の間にいつのまにか駅ができていたのに気づいたときは本当にびっくりしました。三ノ輪橋の近くに車庫の跡があったようですが今はもう銀行の駐車場になってしまっているようです。