れきしどころ真理庵

江戸時代の江戸を中心に、医学史・蘭学史を調べています。日々の暮らしを歴史からみた写真日記。

北村薫『いとま申してー『童話』の人びと』と私

2011-05-04 11:46:27 | 真理庵文庫・その他
晴れましたね♪
連休も後半にはいりましたが、皆様いかがお過ごしですか?
震災の無事をお伝えしてから1ヶ月以上アップせず済みません。


震災の前後、いろいろな事が身辺に起こって(これは東日本にお住まいの方は殆ど同じだったと思います)、非常事態の中で、日記は震災関連のことを中心に書いてきました。
ですが日々の営みは勿論そればかりではなく、敢えて文化的なものや、雑記的なものは外してきたところがあります。

震災から2ヶ月近くなり、「震災以前の日常」に戻りつつある中、【自分で自分を褒めたい】というか、今後の心の支えにしていこうという出来事がありましたので、書き記しておきます。

北村薫先生の『いとま申してー『童話』の人びと』が単行本になりましたが、後日談をお伝えしますね。


実は折しも3月11日朝、北村先生に宛てて、本を読ませて頂いたこと、自分の名前と論文名「坪井信道と安懐堂・日習堂の塾生達」が91ページ載っている事が嬉しくて10冊ほど本を購入したこと等、季節のカードに書き添えてお送りしました。
そのお返事の絵はがきを頂いたのは3月15日でした。
驚いたことに地震のことには一切触れていらっしゃらず、淡々と本のお礼のことが書かれていました。
北村先生の「肝の据わり方」を思い知った気がしました。

亡くなったお父様の遺された日記を資料に書かれた『いとま申して』は、先生としては3部作にする予定とのことです。
今回の第一部『いとま申してー『童話』の人びと』は、そのお父様の中学~慶応大学入学辺りまでの青春物語です。
お父様は(日記を解読しだして初めて知ったらしいのですが)金子みすずと同人誌をやっていたようでした。
生前それらしいことは一言も告げず、自分だけの記憶の中に閉じこめておかれたことが、亡くなった後息子によって明らかにされる。。。ミステリー作家にとってもこれ以上の「ミステリー」はなかったのでは!?(笑)


北村先生が私の論文を発見してくださったのは2年前のクリスマスでしたが、その時から先生のこの作品は私の心の支えの一つでした。


今手元の本を読み返してみると、冒頭間もない部分で、主人公は関東大震災にあっています。
(日記は震災翌年の1月から始まっていますが、裏表紙に震災の死者数等書かれていたようです)
私のカードが北村先生のところに届いたとき、既に震災は起こっていたのに、先生が動じなかったのはこの本があったからかも知れません。

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ところで、私にとってこの本は参考文献的に論文の著者として名前が載った最初の本ですが、この形が取れて良かったなと思っています。
論文発表があったのは平成10年。13年も前の話になります。
その間日の目を見ることもなかったわけですが、それでもこのれで良かったと思っています。

13年経って、今回の北村先生。
本当にさりげなく資料をご活用いただき、私としては一番願った形になりました。

で、私は「最初で最後」にはしたくないのです。
これから私の目線で時代を見、それを書きまとめていきたいと願っています。
だからこれは「最初の一歩」です!!!