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粋な判決 裁判官、26.5メートルを寸心(心の物差し)で測りなおす

2016-10-18 | Weblog

執拗(しつよう)な客引き行為をしたとして埼玉県迷惑行為防止条例違反に問われた男子大学生(22)=さいたま市在住=に対し、さいたま簡裁は17日、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。瀬尾豊治裁判官は判決で「つきまとった距離や執拗性に犯罪の証明がない」と述べた。

男子大学生は、2月にさいたま市で居酒屋のアルバイト中、客になりすました男女の警察官に執拗に客引きをしたとして現行犯逮捕された。起訴段階では26.5メートルにわたって客引き行為をしたとされたが、大学生はこの距離などを否認していた。

判決で瀬尾裁判官は「客引きをした距離は、起訴状の半分以下程度までしか認められない」とした。また、警察官が「(店に行くか)どうしようかな」「おいしそう」などの会話を大学生としていたことについて「むしろ警察官の方から積極的な応対をしていた」と批判した。

瀬尾裁判官は判決言い渡し後、大学生に「裁判で嫌な思いをしただろう。就職も決まっているようなので、これからの人生に幸多からんことを祈ります」と語った。

さいたま地検の葛西敬一・次席検事は「判決内容を精査した上で適切に対処したい」とコメントした。

(10/18 毎日新聞「無罪判決 客引きの大学生 さいたま簡裁、捜査手法を批判」


参考:

迷惑防止条例は、客引き行為、スカウト行為、痴漢行為、つきまとい行為、押売行為、暴力行為、盗撮行為、客引き行為、スカウト行為、悪臭行為、放屁行為なども禁じる。これらの違反に対しての罰則は、自治体ごとに定めているため、自治体によって大幅に異なるほか、複数の条例を定めている自治体もある。迷惑防止条例は親告罪でないため、被害者の告訴がなくても公訴を提起することができる。

条例違反は犯罪になるのでしょうか ?

犯罪歴、いわゆる前科とは、「過去に確定した有罪の判決を受けたことがあること」を意味します。法令上の用語としては「犯歴」となります。

「有罪の判決」ですので、死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料のいずれであっても前科となります。注意点としては、「執行猶予」となった場合も、あくまで「刑」の執行が猶予されているに過ぎないだけであって、刑を受けている以上は有罪の判決ですから、前科、すなわち犯歴があることになります。

補足になりますが、いわゆる「前歴」とは前科よりも広い範囲をカバーする用語となります。「捜査機関から被疑者として捜査を受けたことがあること」を意味します。微罪処分不起訴処分となった場合がこれにあたります。

ここまでの概説をふまえて、「条例違反」が犯罪および犯罪歴(ここでは犯歴)にあたるか?というご質問についてご回答いたします。

犯罪とは、一般には法によって禁じられ「刑罰が課せられる」根拠となる事実をいいます。そして、犯罪について責任があると判断され「刑罰の対象となった者」が犯罪者となります。

つまり、刑罰、より具体的には罰則規定があるかどうか、が犯罪となるかの分かれ目となります。条例の場合、地方自治法14条で罰則規定を設けられる旨が定められています。したがって、条例違反の行為について罰則規定がある場合は「犯罪」となります。他方で、条例違反の行為について罰則規定がない場合は、単なる条例違反であって「犯罪」とはなりません。

そこから発展して、罰則規定のある条例に違反して、有罪判決を受けてなにがしかの刑を科せられた経験があるのならば、「犯罪歴がある」となります。例えば、痴漢などを処罰する、いわゆる「迷惑防止条例」は、一般的に罰則規定が設けられています。したがって、迷惑防止条例違反は「犯罪」となり、有罪判決を受けて罰則を科せられていれば「犯歴あり」となります。

このように単純に「条例違反」という内容だけでは、犯罪かどうかが明確に定まる訳ではなく、むしろ、「条例違反の行為について罰則規定があり、実際に罰則を受けた(執行猶予も含む)」のであれば犯罪歴があるという判断をするのだとお考えください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理人の一言:

有罪か無罪か、歩んびき客引きをしたとして将来ある若者を罰して、その後の人生に影響していたと思われる。過ちは過ちだが、赦すことも

 

 


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