【掲載日:平成21年11月20日】
梅の花 手折り插頭して 遊べども
飽き足らぬ日は 今日にしありけり
【第参組の歌】
春なれば 宜も咲きたる 梅の花 君を思ふと 夜眠も寝なくに
《春が来て やっぱり咲いた 梅の花 寝られんほどに 楽しみしてた》
―壱岐守板氏安麿―〔巻五・八三一〕
「安麿殿 やっと女児が出たかと思うたが 相手は梅子か」〔旅人〕
梅の花 折りてかざせる 諸人は 今日の間は 楽しくあるべし
《皆みな 梅を髪挿し 遊んでる 今日一日を 楽しもやんか》
―神司荒氏稲布―〔巻五・八三二〕
毎年に 春の来らば かくしこそ 梅を插頭して 楽しく飲まめ
《年毎に 春が来たなら こないして 梅を頭挿して 飲んで楽しも》
―大令史野氏宿奈麿―〔巻五・八三三〕
「飲もう 飲もうと 満誓殿と 同じじゃ」〔旅人〕
梅の花 今盛りなり 百鳥の 声の恋しき 春来たるらし
《梅の花 今真っ盛り 鳥々の 声聞きとなる 春が来たんや》
―少令史田氏肥人―〔巻五・八三四〕
「鶯の他は 何かと待って居ったに 百鳥ときたか これは まいった」〔旅人〕
春さらば 逢はむと思ひし 梅の花 今日の遊びに あひ見つるか
《春来たら 逢いたい思てた 梅の花 今日の宴で 逢うことでけた》
―薬師高氏義通―〔巻五・八三五〕
「誰に逢うかと思えば また 梅子か 安麿殿と 取り会いじゃ ハハハ」〔旅人〕
梅の花 手折り插頭して 遊べども 飽き足らぬ日は 今日にしありけり
《梅の花 頭に挿して 一日を 呆け尽くして まだ飽きたらん》
―陰陽師礒氏法麿―〔巻五・八三六〕
春の野に 鳴くや鶯 懐けむと わが家の園に 梅が花咲く
《春の野で 鳴く鶯を 呼ぼとして うちの庭先 梅 花咲かす》
―笇師志氏大道―〔巻五・八三七〕
梅の花 散り乱ひたる 岡傍には 鶯鳴くも 春かた設けて
《梅の花 散ってる岡で 鶯も 鳴きに来てるで 春もうそこや》
―大隅目榎氏鉢麿―〔巻五・八三八〕
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます