令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

旅人編(14)誰か浮べし

2009年10月28日 | 旅人編
【掲載日:平成21年11月24日】

はるやなぎ かづらに折りし 梅の花 
             たれうかべし 酒坏さかづき


【第四組の歌】 
春の野に り立ち渡り 降る雪と 人の見るまで 梅の花散る
《春の野で  霧立つみたいに 雪降ると 思うほどまで 梅散っとおる》
                      ―筑前目田氏真上でんしのまかみ―〔巻五・八三九〕
「おっ また わしの『雪』が出た 気を使うでないぞ 真上まかみ殿」〔旅人〕

はるやなぎ かづらに折りし 梅の花 たれうかべし 酒坏さかづき
《柳の葉 折って頭に 飾ってる 誰か酒坏さかづき 花浮かべてる》
                      ―壱岐目村氏彼方そんしのをちかた―〔巻五・八四〇〕
鶯の おと聞くなへに 梅の花 吾家わぎへの園に 咲きて散る見ゆ
《鶯の  声に合わせて うちの庭 梅が花咲き 散るんが見える》
                      ―対馬つしまの高氏老かうしのおゆ―〔巻五・八四一〕
わが宿の 梅の下枝しつえに 遊びつつ 鶯鳴くも 散らまく惜しみ
《下枝で  鳴いてる鶯 上枝で 咲いてる梅を 散らしとないんや》
                      ―薩摩さつまの目高氏海人あまひと―〔巻五・八四二〕
「今度の鶯は 自分目立ちでなく 花気遣きづかいか なるほど」〔旅人〕

梅の花 折り插頭かざしつつ 諸人もろひとの 遊ぶを見れば 都しぞ
《梅の花  頭に挿して 遊んでる そんなん見たら 都が恋し》
                      ―土師はにし氏御道しのみみち―〔巻五・八四三〕
いもに 雪かも降ると 見るまで ここだもまがふ 梅の花かも
《お前ん 乱れ散るんは 雪やろか そう見えたけど 梅の花やで》
                      ―小野氏くにかた―〔巻五・八四四〕
「国堅殿 言うておろうが 褒美ほうびは出んぞ」〔旅人〕

鶯の  待ちかてにせし 梅が花 散らずありこそ 思ふ子がため
《鶯が 咲くの待ってた 梅の花 散らんといてや みな見たいんや》
                      ―筑前じやう門氏石足もんしのいはたり―〔巻五・八四五〕
霞立つ 長き春日はるひを 插頭かざせれど いやなつかしき 梅の花かも
《花して 春日はるひ一日いちにち 遊んでも 梅のみやびは 堪能たんのうできん》
                      ―小野氏淡理たもり―〔巻四・八四六〕

「それぞれに  皆 見事であった
 さすが 都で丹精した 風流みやび揃い
 今日は  堪能した
 いや  しかし
 飽き足らない  ご仁も おられるようじゃで
 はいを いま一まわしするか
 それこそ  梅と柳を 頭に挿して」
酒に  梅に 酔いしれる 旅人と面々



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