【掲載日:平成21年11月24日】
春柳 蘰に折りし 梅の花
誰か浮べし 酒坏の上に
【第四組の歌】
春の野に 霧り立ち渡り 降る雪と 人の見るまで 梅の花散る
《春の野で 霧立つみたいに 雪降ると 思うほどまで 梅散っとおる》
―筑前目田氏真上―〔巻五・八三九〕
「おっ また わしの『雪』が出た 気を使うでないぞ 真上殿」〔旅人〕
春柳 蘰に折りし 梅の花 誰か浮べし 酒坏の上に
《柳の葉 折って頭に 飾ってる 誰か酒坏 花浮かべてる》
―壱岐目村氏彼方―〔巻五・八四〇〕
鶯の 声聞くなへに 梅の花 吾家の園に 咲きて散る見ゆ
《鶯の 声に合わせて うちの庭 梅が花咲き 散るんが見える》
―対馬目高氏老―〔巻五・八四一〕
わが宿の 梅の下枝に 遊びつつ 鶯鳴くも 散らまく惜しみ
《下枝で 鳴いてる鶯 上枝で 咲いてる梅を 散らしとないんや》
―薩摩目高氏海人―〔巻五・八四二〕
「今度の鶯は 自分目立ちでなく 花気遣いか なるほど」〔旅人〕
梅の花 折り插頭しつつ 諸人の 遊ぶを見れば 都しぞ思ふ
《梅の花 頭に挿して 遊んでる そんなん見たら 都が恋し》
―土師氏御道―〔巻五・八四三〕
妹が家に 雪かも降ると 見るまで ここだも乱ふ 梅の花かも
《お前ん家 乱れ散るんは 雪やろか そう見えたけど 梅の花やで》
―小野氏国堅―〔巻五・八四四〕
「国堅殿 言うておろうが 褒美は出んぞ」〔旅人〕
鶯の 待ちかてにせし 梅が花 散らずありこそ 思ふ子がため
《鶯が 咲くの待ってた 梅の花 散らんといてや 皆見たいんや》
―筑前掾門氏石足―〔巻五・八四五〕
霞立つ 長き春日を 插頭せれど いや懐しき 梅の花かも
《花挿して 春日一日 遊んでも 梅の雅は 堪能できん》
―小野氏淡理―〔巻四・八四六〕
「それぞれに 皆 見事であった
さすが 都で丹精した 風流揃い
今日は 堪能した
いや しかし
飽き足らない ご仁も おられるようじゃで
杯を いま一回しするか
それこそ 梅と柳を 頭に挿して」
酒に 梅に 酔いしれる 旅人と面々
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます