令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

坂上郎女編(12)しましはあり待て

2010年04月13日 | 坂上郎女編
【掲載日:平成22年4月27日】

恋ひ恋ひて 逢ひたるものを 月しあれば
           こもるらむ しましはあり待て



坂上郎女いらつめ 稲公いなきみ 駿河麻呂
郎女の従弟いとこ 安倍虫麻呂
居並び  平伏 
一同をめ付ける なき安麻呂正妻 石川内命婦いしかわのうちみょうぶ
佐保大納言家を取り仕切る大刀自おおとじ

「そなたら 先頃さきごろの 神祭り 何というざまじゃ
 神祭りといえば  
 天孫降臨をお導きした 家の祖 天忍日命あめのおしひのみことまつる神事
 事もあろうに その席で 拝礼装束しょうぞくでの 相聞詠み 如何なる所存じゃ 郎女 
 その他の者も  同罪じゃ」
「今より 外部男女相聞は法度はっと
 歌修練は  一族身内相聞のみとする」

~大伴稲公の田村大嬢への相聞〈郎女代作〉~ 
あひ見ずは 恋ひずあらましを 妹を見て もとなかくのみ 恋ひばいかにせむ
《せえへんで 逢わんかったら こんな恋 うたこの胸 どう仕様しょうもない》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・五八六〉 

~大伴駿河麻呂と坂上郎女との相聞~ 
大夫ますらをの 思ひびつつ たびまねく なげく嘆きを はぬものかも
わびしゅうに 男嘆くか 何べんも 女のあんた どうなんやろか》
                         ―大伴駿河麻呂―〈巻四・六四六〉 
心には 忘るる日なく おもへども 人のことこそ しげき君にあれ
《いついつも 心にかかる あんたはん 他人ひとうるそうて 逢われへんがな》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六四七〉 
あひ見ずて 長くなりぬ この頃は いかにさきくや いふかし吾妹わぎも
《この頃は なごう逢わんと るけども あんたどしてる ちょっと気になる》
                         ―大伴駿河麻呂―〈巻四・六四八〉 
くずの 絶えぬ使の よどめれば 事しもあるごと 思ひつるかも
《絶えず来た 使いこのごろ 来えへんな あんたに何か あったんちゃうか》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六四九〉 

~安倍虫麻呂と坂上郎女との相聞~ 
向ひて 見れどもかぬ 吾妹子わぎもこに 立ち別れ行かむ たづき知らずも
《一緒て 見飽きん お前別れるて そんな方法 思い着かんで》
                         ―安倍虫麿―〈巻四・六六五〉 
あひ見ぬは 幾ひささにも あらなくに ここだく我れは 恋ひつつもあるか
《このあいだ うたとこやに なんでまた 逢いたなるんや 恋しなるんや》
恋ひ恋ひて 逢ひたるものを 月しあれば こもるらむ しましはあり待て
《久し振り うたんやから ゆっくりし 夜明けまだやし 道暗いから》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六六六~七〉 
一族内の身内相聞 
恋心の たかぶりは無いが ほのぼのと 心は通う





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