一昨年の冬にNYに行った時に、ユニオンスクエアのお気に入りのカフェであたしの前の席に座ったおじさまが、ジャスミン茶にお砂糖を3袋入れていた。
え?ジャスミン茶に砂糖?
そう思ったときには、すでに声を掛けていた。
「ねえ、それ、ジャスミン茶だよね?お砂糖、入れるの?」
「うん、ついでだからもうひとつ・・・」
計4袋のお砂糖を入れて、おじさんは美味しそうに飲んだ。
見ているこちらの方が、ウプッとなりそうだ。
その後、おじさんと色々と話した時に聞いたのは、おじさんは画家で、メトロポリタン美術館に「僕の絵が掛かっているから見に行ってごらん」と言われた。
あと、日本の風景画を書いてみたいけれど、「日本に行く機会がない」とも言っていた。
おじさんのお友達が来て、2人はおフランス語で話し出したので、きっとパリで絵を勉強したんだろうなあ・・・なんて勝手に想像していた。
お友達が帰った後、また、お代わりしたジャスミン茶にお砂糖を入れて飲みだしたおじさんとNYの話をして「じゃ~ね~」と別れた。
そして今年。
もちろん、そのユニオンスクエアのカフェには一日置きに通った。
そこから見るエンパイアがとてもステキなのだ。
一日、ずっとそこにいても飽きない。そのぐらい、好きだ。
少し早めのカルフォルニアロ-ル&ラテ&スイカのランチを食べていたら、ど派手なショッキングピンクのシャツを着た、白髪交じりの男性があたしの前の席に座って、Hiと言った。
あ・・・この人・・・
あたしもHiと言って、様子を見たら、やっぱりあのおじさんだ。
ペットボトルのお水に、お砂糖を4袋も入れている。
しかも、ガス入りのお水に・・・だ。
「あたし、あなたにあったことがある。ここで」
「そう?いつごろ?」
「一昨年の冬。このひとつ向こうの列の、窓際の席で」
「覚えてないけど・・・」
「フランス語を話すでしょ?絵を描いてるでしょ?日本の風景画を描きたいと思ってるでしょ?」
記憶にある限りのおじさんの情報を言ったら、
「なるほど・・・確かにどこかであってるみたいだね」
聞けば、おじさんはユニオンスクエアでやっているグリ-ンマ-ケットにあわせて、自分の絵を売っているのだという。
「え?メトロポリタンに絵があるって言ってたじゃん。そんな人が、青空マ-ケットで絵を売るの?」
「いや、僕の絵は難しすぎてあんまり売れないから・・・こんな天気のいい日は気分転換に外に出てみようと思ってさ」
「ねえ、絵って儲かる?」
「ぜ~んぜん!」
「そうなんだ」
そこから「投資」の話になり、経済の話に繋がって、今の世界金融不安の背景の話などをしてしまった。
おじさんは、アパ-ト(日本で言うマンション)丸ごと3棟を持っていて、その賃料で暮らしているのだそう。売りたいものもあるんだけど「この値段じゃあ、売ってもあんまり儲からないから。だから、他のアパ-トの中の1室をバラであっちこっち買ってるよ」
「じゃあ、その中のひとつにあたしを住まわせて」
「君、面白いね。今日の夜、空いてる?飲みに行かない?」
一瞬、迷った。でも、あたしは基本的にお断りする事にしている。
なぜなら、「お酒を飲みながら話すようなことはないから」だ。
もし、何か話したいのなら、今、ここで話せばいい。
「今日はね、ホ-ボ-ケンに行くんだ。友達が自宅に招待してくれてるの」
「じゃあ、明日は?」
「Bleecker Streetへお買い物に行くんだ」
「明後日は?・・・あ、俺が忙しいんだ・・・」
「残念だね」
「ホ-ボ-ケンから何時ぐらいに帰ってくるの?」
「わかんない。友達の家に泊まるかもしれないし」
「断れない?」
「うん、だって友達のお誕生日パ-ティ-だから」
「そうか・・・」
そこでおじさんは、「あ!」と言ってペットボトルを持って走ってどこかへ行ってしまった。
なんだろ?変な人。
そう思っていたら、すぐに戻ってきて
「ほら、あそこがボクの絵を並べているところ。今、僕の絵を見ている人がいたから、行かなくちゃって思ったんだけど、たどり着く前にどこか行っちゃった」
「残念!」
「まあ、いいさ。なかなか売れないものだし」
「でも、持っていかれたりしないの?大丈夫?」
「ああ、周りの人とうまくやってるから・・・じゃあ、これ、名刺。連絡ちょうだい」
「ありがとう」
「君の連絡先は?どこに住んでるの?」
「47丁目」
「じゃあ、近いね。僕は34丁目」・・・近いって言えば近いけど(あたしはなんなく歩いちゃう距離だから)、近くないって言えば近くない、微妙な距離。
連絡先は、申し訳ないけれどいつも「携帯の数字を並び替えた番号」を教えている。だって・・・何があるかわからないから。「こんな事になるなんて、思ってませんでした」って言ったところで、その隙を見せた自分が悪いのだ。だから、本当に申し訳ないけれど、携帯は番号並び替え。メルアドは、@以下を「自分の名前.com」 にして渡している。
「へえ、会社を経営してるんだ?」って聞かれたら、「小さな会社よ」って(笑)。
そんなこんなで、一応、予防線は張りながらも、時間が経って、また、同じ場所で再会するなんてことが普通にあるから、NYは好きだ。
そして、その前にあったときのことを思い出せなかったとしても、ゼロから始まるのではなくて15ぐらいから始められる街だ。
そう、一度、街を離れても、あたしのことを忘れることがないのだ。
街のどこかに、あたしの存在は残っている。
だから、JFKに着いたら
ただいま~!!!
ってご挨拶するのだ。
JFKから飛び立つ時は、もちろん
「行ってきま~す!!」
でしょ。
帰りたい~♪ 戻りたい~♪ 待っててね~♪・・・ この言葉がピッタリです。
え?ジャスミン茶に砂糖?
そう思ったときには、すでに声を掛けていた。
「ねえ、それ、ジャスミン茶だよね?お砂糖、入れるの?」
「うん、ついでだからもうひとつ・・・」
計4袋のお砂糖を入れて、おじさんは美味しそうに飲んだ。
見ているこちらの方が、ウプッとなりそうだ。
その後、おじさんと色々と話した時に聞いたのは、おじさんは画家で、メトロポリタン美術館に「僕の絵が掛かっているから見に行ってごらん」と言われた。
あと、日本の風景画を書いてみたいけれど、「日本に行く機会がない」とも言っていた。
おじさんのお友達が来て、2人はおフランス語で話し出したので、きっとパリで絵を勉強したんだろうなあ・・・なんて勝手に想像していた。
お友達が帰った後、また、お代わりしたジャスミン茶にお砂糖を入れて飲みだしたおじさんとNYの話をして「じゃ~ね~」と別れた。
そして今年。
もちろん、そのユニオンスクエアのカフェには一日置きに通った。
そこから見るエンパイアがとてもステキなのだ。
一日、ずっとそこにいても飽きない。そのぐらい、好きだ。
少し早めのカルフォルニアロ-ル&ラテ&スイカのランチを食べていたら、ど派手なショッキングピンクのシャツを着た、白髪交じりの男性があたしの前の席に座って、Hiと言った。
あ・・・この人・・・
あたしもHiと言って、様子を見たら、やっぱりあのおじさんだ。
ペットボトルのお水に、お砂糖を4袋も入れている。
しかも、ガス入りのお水に・・・だ。
「あたし、あなたにあったことがある。ここで」
「そう?いつごろ?」
「一昨年の冬。このひとつ向こうの列の、窓際の席で」
「覚えてないけど・・・」
「フランス語を話すでしょ?絵を描いてるでしょ?日本の風景画を描きたいと思ってるでしょ?」
記憶にある限りのおじさんの情報を言ったら、
「なるほど・・・確かにどこかであってるみたいだね」
聞けば、おじさんはユニオンスクエアでやっているグリ-ンマ-ケットにあわせて、自分の絵を売っているのだという。
「え?メトロポリタンに絵があるって言ってたじゃん。そんな人が、青空マ-ケットで絵を売るの?」
「いや、僕の絵は難しすぎてあんまり売れないから・・・こんな天気のいい日は気分転換に外に出てみようと思ってさ」
「ねえ、絵って儲かる?」
「ぜ~んぜん!」
「そうなんだ」
そこから「投資」の話になり、経済の話に繋がって、今の世界金融不安の背景の話などをしてしまった。
おじさんは、アパ-ト(日本で言うマンション)丸ごと3棟を持っていて、その賃料で暮らしているのだそう。売りたいものもあるんだけど「この値段じゃあ、売ってもあんまり儲からないから。だから、他のアパ-トの中の1室をバラであっちこっち買ってるよ」
「じゃあ、その中のひとつにあたしを住まわせて」
「君、面白いね。今日の夜、空いてる?飲みに行かない?」
一瞬、迷った。でも、あたしは基本的にお断りする事にしている。
なぜなら、「お酒を飲みながら話すようなことはないから」だ。
もし、何か話したいのなら、今、ここで話せばいい。
「今日はね、ホ-ボ-ケンに行くんだ。友達が自宅に招待してくれてるの」
「じゃあ、明日は?」
「Bleecker Streetへお買い物に行くんだ」
「明後日は?・・・あ、俺が忙しいんだ・・・」
「残念だね」
「ホ-ボ-ケンから何時ぐらいに帰ってくるの?」
「わかんない。友達の家に泊まるかもしれないし」
「断れない?」
「うん、だって友達のお誕生日パ-ティ-だから」
「そうか・・・」
そこでおじさんは、「あ!」と言ってペットボトルを持って走ってどこかへ行ってしまった。
なんだろ?変な人。
そう思っていたら、すぐに戻ってきて
「ほら、あそこがボクの絵を並べているところ。今、僕の絵を見ている人がいたから、行かなくちゃって思ったんだけど、たどり着く前にどこか行っちゃった」
「残念!」
「まあ、いいさ。なかなか売れないものだし」
「でも、持っていかれたりしないの?大丈夫?」
「ああ、周りの人とうまくやってるから・・・じゃあ、これ、名刺。連絡ちょうだい」
「ありがとう」
「君の連絡先は?どこに住んでるの?」
「47丁目」
「じゃあ、近いね。僕は34丁目」・・・近いって言えば近いけど(あたしはなんなく歩いちゃう距離だから)、近くないって言えば近くない、微妙な距離。
連絡先は、申し訳ないけれどいつも「携帯の数字を並び替えた番号」を教えている。だって・・・何があるかわからないから。「こんな事になるなんて、思ってませんでした」って言ったところで、その隙を見せた自分が悪いのだ。だから、本当に申し訳ないけれど、携帯は番号並び替え。メルアドは、@以下を「自分の名前.com」 にして渡している。
「へえ、会社を経営してるんだ?」って聞かれたら、「小さな会社よ」って(笑)。
そんなこんなで、一応、予防線は張りながらも、時間が経って、また、同じ場所で再会するなんてことが普通にあるから、NYは好きだ。
そして、その前にあったときのことを思い出せなかったとしても、ゼロから始まるのではなくて15ぐらいから始められる街だ。
そう、一度、街を離れても、あたしのことを忘れることがないのだ。
街のどこかに、あたしの存在は残っている。
だから、JFKに着いたら
ただいま~!!!
ってご挨拶するのだ。
JFKから飛び立つ時は、もちろん
「行ってきま~す!!」
でしょ。
帰りたい~♪ 戻りたい~♪ 待っててね~♪・・・ この言葉がピッタリです。