マメゾウムシはきょうも

虫目、キノコ目、貝殻目・・・。
小さいものを、じーっと見るのが好き。

早春の萩で

2009-03-18 21:03:23 | 

  山口県へ行ってきました。

山口県というのは、山陰地方の一番西の端っこで、隣は島根県の石見銀山で、南側は下関に近い・・・そんな位置関係も今度行くことになってからはじめて知った。もっと日本地図を勉強しなければ。  

 仕事が午後6時からだったので、その日は泊まり。次の日の朝、萩へ足を延ばして、夜の飛行機で東京へ帰る計画。羽田に早めに着いたので、ランチ用に空弁を物色。新しくPaulの空弁があったので買ってみた。でもこれは大ハズレ。バランスが悪くて弁当とはいえないんじゃないか。口直しにあたたかいバウムクーヘンでほっ、と。  

 7時半に仕事が終わり、代理店の人に地元の魚料理をごちそうに。これがすんごく美味しくてびっくり。だいたい山口には飲食店が少ない。みんな家でごはんを食べるんだろう。店が見つからなくて仕方なくタクシーの運転手さんにきいて行った店が大当たりだった。

ムツの塩焼き、

白身のお刺身盛り合わせ、

 それに初物のタケノコなどなど、大満足。日本海の魚は美味しい!  

  仕事で泊まった宇部山口というところから萩まで、乗り合いタクシーというので1時間20分。帰りはまた宇部山口の空港からになるので、往復することになり、萩にいられたの6時間くらいだったが、小さな町なので観光には十分だった。 

 乗り合いタクシーというのは7人乗りのヴァンで、3人しか乗客がいなかったので快適だった。行きたいところで降ろしてくれるというので、日本海に面した菊が浜というところで降りる。 バス停の後ろに、空港で試食して美味しかった「豆小郎」という和菓子を売っている店を見つけた。 

 「豆小郎」というのは一口サイズのウイロウのようなお菓子で、こういうものは各地にあるが、どてっとして、べとべとした感じなのは食欲を失う。これはとても華奢にできていて、練り込んである餡は豆の味もしっかりして、食感もふるる、としていていい。薄いフィルムに包んだだけの包装なので、すっと食べられる。細かいところまで配慮されているいいお菓子だと思った。 店内でお茶と試食のお菓子がでる。こんなに試食させてもらった。 

店員さんもいい感じ。初めての町に着いて、最初に美味しいお菓子と出会えるなんて、いい旅が始まりそうだ。  

 お菓子屋さんの前の道路をわたるとすぐ海。そのまま絵になる白砂青松の景色。

一面の白い砂に松葉。

 久しぶりに見る日本海。お天気がいいので、海の色もきれいな碧。誰もいないので浜辺を独り占め気分で打ち上げ線に沿って歩いて漂着物を拾う。海藻はホンダワラやアラメ。貝殻はキサゴ、ナミコガイ、カニモリガイ、ウミギクガイ、フジツボ、サトウガイ、ベニシリダカガイなど、二枚貝の幼貝がほとんど。葉山の海辺に似ているものが多かった。磯臭さはほとんどない海岸だ。しばらく歩き回ったが誰も来ない。小さくて静かな春の海。おだやかな海風の中で一服してから、城下町へ向かう。  

 菊屋住宅という江戸時代の豪商の家屋などが見学出来る城下町へは、堀沿いののんびりした道を15分ほど。堀端の傾斜面には、春の雑草類が勢ぞろいしていた。

 タンポポ、オドリコソウ、オオイヌノフグリ、それにツクシがつんつん、つんつん。

 

 散歩する人がぽつぽつ。明るい早春の光の中路のんびり歩いて、菊屋住宅のある通りに到着。

 まずいくつか並んでいう萩焼きの店をみることにした。萩焼きの、お茶がしっくりくるあの感じはけっこう好きで、母から受け継いだ湯呑み茶碗も気に入っている。ぼんやりと桜の霞がかかったような肌が、春を感じさせる焼き物だと思う。小さな筒型の冷酒用のを二つ買う。寝る前に飲む梅酒にちょうどいいかな。これなら持ち帰るのにも重くないし。ちょっとしたものでも、焼き物を買うとなんだか気持ちが豊かになるような気がするから不思議だ。もう一軒の店では、ぬかみそ漬けをやっている娘に、漬物が似合いそうな小鉢を買った。  

 菊家住宅というのはけっこう大きそうで見るのに時間がかかりそうなので、その前にちょっと休もう。道沿いのカフェのような店の看板をのぞくと、薄山吹色の「夏みかんソフト」というのがここの主力商品らしい。店の外のテラス席も誰もいなくて気持ちよさそう。 柑橘類のアイスクリームは酸味があまりクリームに合わないと思うので、おいしいものには出会ったことがないが、これは大当たりだった。

 酸っぱくなくて、独特の風味といい具合なほのかな苦みが舌に残るのが、とても新鮮。食べた後水を飲まなくてもいいくらいの甘さも合格。半分くらいにしておこうと思っていたのがたちまち全部食べてしまった。  


 さて、見学へ。まず久保田家というのが、季節柄「城下町の雛たち」という展示をしているようなので、入ってみた。昔のものとはいえ、他人のうちに入るのはおもしろい。ここは幕末から明治初期にかけて、酒造りをしていた家らしい。江戸時代の参勤交代の大名行列が通ったというなまこ壁のつづくメインストリートに面している。これは特注品の豪華な雛飾り。

 お雛さまといっても、顔も衣装もこんなに違うのか、というほどさまざま。でもお雛さまってけっこう怖い。 

 奥の土間につづく暗い台所に陽が差し込んでいるのが、シンとしてきれいだった。

そういえば子供のころの祖父の家の台所はこんなだった。床は土なので、土のついた野菜を扱うのも違和感がなかった。  

 次はここのメイン観光スポットの菊家住宅へ。全国でも最古に属する町家として重要文化財になっている御用商人の屋敷。ここでいちばんおもしろかったのが、金蔵。火事に備えて穴のなかに埋めておいたという千両箱がある。

 リアル千両箱を見たのははじめてなので、時代劇、時代小説好きとしては、ほぉーっと感激。想像より小さい。お殿様に差し出すときにはもっときれいな箱に移し変えたという。 ところで千両って、今で言えばいくらぐらいなのか。1両が約8~10万円とよく本には出ているが、それから計算すると一億円ってことになるが、いつもこの換算率には違和感がある。ちょっと多すぎない?  

これは帳場。

 お屋敷を歩き回った後はお昼ご飯。家ごはんが多い山口県では食べるところがほんとに少ない。ガイドブックに出ていた庭がすてきだという畔亭というところへ。

 誰かのお屋敷にお邪魔して、みごとなお庭に面した縁側でお食事をいただく、という感じの店。小萩弁当というのにしてみた。卵焼きがすごく美味しい。またのんびり。

 予約した帰りの乗り合いタクシーに時間が余ってしまったので、萩博物館へ。ここは主に高杉晋作とか、幕末から明治にかけて活躍した人たちの展示があるようだが、幕末の薩長とかがどうも嫌い(乱暴で無粋だから)なので、展示は見ないでカフェで休むことに。窓の外には萩名物夏みかんの木がたわわに黄色い実をつけている。

早春なのに夏みかん。夏みかんの木って、こんなに低くても実をつけるんだ。ホット夏みかんジュースを飲みながら、のんびり読書。萩に来て夏みかんの印象が変わった。今まではすっぱくてにがーい、とうい印象だったが、すっぱさも苦さも、どちらもほのかで上品。色もきれい。 タクシーで町をまわろうと思っていたのだが、結局小さな町なので、ずっと歩いてしまった。

 乗り合いタクシーと飛行機を乗り継いで、10時半ごろ帰宅。そうそう定例土産の目玉おやじストラップが売り切れていたのにはすんごくがっかり。秋芳洞にちなんだコウモリバーションとか。娘に言ったら、それかなりレアじゃない?と。残念だなあ、と思いながら寝る前に空港で買ったかまぼことウニをちょっと味見。すごく美味しい!忙しいようで・・・のんびりした旅でもありました。

 来週は福岡。4月には三重、奈良と仕事&ちょっと観光の旅がつづきます。   


葉山で、花と野菜を買うミニ・ツアー

2009-01-26 18:18:34 | おいしいもの

 野菜&果物ジュニアマイスターの妹の案内で、葉山から三浦方面へいったところに点在している花と苗、野菜と卵、そして小さな牧場に行って来ました。 

 まずは花と苗の市場へ。だーっと、鉢や木や花が並んでいて、後ろの建物の中にも植木がいっぱい。満開の小さな白梅の木、オキザリス2種、オキナソウなどなどを購入。欲しいものはまだいっぱいあったが・・・。車の中に、たちまち春浅い頃を思わせる梅のいい香りが漂いだしました。

 この花屋さんは安い。梅がなんと1鉢700円。梅っていうのは、小さくてもちゃんと木の形になっている、盆栽向きの植物なんだなあ。 

 次は関口牧場。白黒のぶちの牛20頭、それにブタ、ヤギ、ウサギ、ニワトリなどを飼っている小さな牧場。残念なことにこの日は名物の生乳ジェラートはお休みだったが、動物たちをじっくり見るのが想像以上におもしろくて。 

 ヤギの瞳は横一文字!この眼では世界はどんな風に見えるんだろう?

 そしてオスの山羊の顔は、口角が上がっていて、ずっとこんな微笑み顔。  

 次に寄ったのは野菜と卵の市場。他ではちょっと見ないような、珍しくて新鮮で、そして早めの収穫なのか、サイズが小さめの可愛くて色の美しい野菜がたくさん。

無造作にかごにいれてあるロマネスコ。

ロマネスコって、去年あたりから日本でも見るようになった新顔の野菜。たくさんの突起のような形で出来上がっていて、その突起のひとつひとつもまた小さい突起の集まりになっていて・・・・という無限に螺旋を描いているような、幻想的な野菜だ。カリフラワーと同じく、ビタミンたっぷり。ただ、このロマネスコは、タネから収穫まで6ヶ月もかかり、しかも連作ができず、葉が広がるので場所もとる・・・ということで、割と値段が高いんだそう。といってもここでは1個200円弱。

 

 小粒で白く光っている美味しそうなカブ。

まるごと齧りたい細ーい京ニンジン。

 それぞれがどんなビタミンや栄養を含んでいるか、調理の仕方は?選び方のポイントは?などなど、妹からいろいろ教えてもらいながら、野菜を買うのがこんなに楽しいことだったとは、とびっくり。

 そして薄水色の殻をした産みたての卵はウコッケイとアロウカナという2種の鶏を掛け合わせたものとか。殻がすごく固くて厚い。アロウカナというニワトリは南米産で、この卵を産むニワトリは羽もラベンダーがかった薄緑色だそうだ。黄味はもうほとんど球形といえるほど、しっかり盛り上がっている。今夜は生卵でごはんにしよう。  

 おなか、減ったー、ということで、最後は鎌倉のイタリアンレストラン、ア・リッチョーネでランチ。この店は18年前から地元に農園をもって、従業員の人たちが自分たちで育てた野菜を使った料理で人気がある。前菜に鎌倉野菜の盛り合わせ、ロマネスコのオーブン焼き、馬肉のカルパッチョ。野菜がどれも味が濃くて美味しい。

 野菜の味を引き立てる温めたオリーブオイルとニンニク、アンチョビなどのソースで。ロマネスコには生ハムとミルキーなモッツァレラチーズがよく合っていた。  

 メインはスズキのソテーだが、新鮮な地元の魚を使っていることはもちろん、添えてある濃厚な塩味のひよこ豆のソースが美味しくて、魚の新鮮さに頼りがちなソテーが、全く違う一皿になっていた。

  

 

 帰ってからさっそくあれこれ味見。シャドークイーンという紫色のジャガイモは、まるでインクのような色の濃さ!味も濃い。(ジャガイモの色もすごいが、この写真を撮ってみてすごいと思ったのは、ホワイトバランスの正確さ。紫色がなかなか見たとおりに出ないデジカメだが、リコーGX100のマニュアルホワイトバランスで、見たままの色に写った。ゆうしゅうぅ!)

友人に贈るために、妹にアレンジしてもらって野菜のギフトかごもつくり、寒かったが楽しい一日だった。

行くたびに違う野菜に会えるというこの三浦の市場。春になったらまた行ってみたい。


誕生日にもらったもの

2008-12-23 21:58:50 | お買いもの

 誕生日がきて、家族からこんなプレゼントをもらいました。浅草の歌舞伎役者などが愛用している巾着をつくっている80いくつかの年取った職人さんに半年前に注文してきのうやっとできあがった、という「黒い蜘蛛の巾着」。

 写真で見えるかどうか・・・黒地にうっすらと見える蜘蛛がエレガントです。内張りは鮮やかな黄緑色。これは夫から。 

 「珊瑚のブローチ」は、シルバーの薄い板を珊瑚の形に切り取ったもの。フランス製ならではのセンスと細かい細工が美しいです。これは、娘から。  こんな美しいものをもらえた誕生日。幸せ~でした。

 そして、これは少し前に買ったヤドリギ。

     

 小さなお月さま色の実と、羽のような葉っぱ。ふつうは高い木の上にあるので、どうなっているんだろう、と思っていたのが、目の前で見られるなんて。外苑前の『風雅』で見てから、どうしても忘れられなくて買うことにした。樫の木に寄生しているのを2メートルくらいに切り取ってあるものなので、家の中には置けず、庭に穴を掘って据えた。毎朝起きるとすぐ、これを見て、冬の一日がはじまります。

  種の皮をむくと、こんな風に糸を引くほど、べとべと。接着剤の中にタネがある感じ。 

 ヤドリギの実は鳥に食べられて、そのフンのなかで皮がむけ、木の枝にくっついて、発芽する。一年に一節ずつ伸びるそうで、これくらいの大きさになるのに6、7年かかっているようだ。宿主の樫の木は切断されているので、いつまでもつかな~?

 そして、きょうは家族で、一年お疲れ様ランチ。フェルミエで買ったとろーり食べごろのモンドールにパン・デピス。地球人倶楽部特製のローストビーフは、すりおろしたワサビで。デザートはマルコリーニの、これでもかぁ、というほどコッテリしたチョコレートケーキでした。

 夜はWiiで『街森』、PSPで『ディシディア・ファイナルファンタジー』、DSで『幻想水滸伝ティアクライシス』と、ゲーム三昧。25日に出る『Wiiピクミン』も楽しみ。ピクミン、やりたかったんだー。あの世界観の中に、ときどき帰りたい。

 


メキシコ旅日記4

2008-11-29 20:29:00 | 

 小花もようのシンクがかわいい!

 部屋は232号室。奥まったところにある、ちょっと階段があって家みたいな入り口。

このホテルはちょっとした飾りがとてもセンスがいいので、いるだけで楽しい。

         

部屋はそんなに広くないが、バスルームもいい感じで花のシンクがかわいい。 

 

 飛行機の中でイヤってほど寝たので、少し休んでさっそく町へ出てみることにした。とりあえず何か食べようと、目に付いたレストランへ。入り口で肉をぐるぐるローストしているので、イイ匂いがする。 まずはトルティーヤを注文。牛肉を細かく切ったものをのせたトルティーヤに、タマネギとライム、それに緑色のちょっと辛いソース。シンプルだけど美味しい!イメージしていたメキシコの味そのもの。

 ついに、アニマリートみっけ! 

 とりあえず、ソカロを目指して歩き始める。ソカロとは、どの街や村にもある中央広場みたいなもの。サンクリストバルなんて、超ローカルな場所なので、頼りになるのは「地球の歩き方」の地図だけ。でもこれがあるだけでもかなり助かった。 サンクリストバルの町は、碁盤の目のように区画整理されていて、建物の色がなんともいい。

 

 いろいろな色があるのだが、どれもしっとりしていて、チェコのプラハのように意識して塗られたパステルトーンの建築の色よりもずっと自然な感じ。ある意味どこにもない色ばかりで、どういう感性からこのような色が出てくるのか、不思議だ。

 歩いてまわるのに丁度いい広さの町だが、悩まされたのが石畳。道はすべて狭めで、車道と歩道の境にかなりの段差がある。碁盤の目の四つ角に来るたびに、この段差を降りたり登ったりしなければならず、背の低い私にはかなりの運動量。歩道の幅も狭く、反対方向から歩いてくる人とすれ違うのがやっと。 そんな道を10分ほど歩いて行くと、あっ、市場だ!あっ、アニマリートが並んでる!!!

 突然、目の前に色鮮やかな市場が現れた。いきなりこの旅行の目的に出会って、疲れも何も忘れて突進。 

 

 ここはサンクリストバルという寺院のまわりに広がる青空市場で、どこまでつづくのか、という感じで迷路のようにたくさんの店が、地面にミヤゲものを並べている。 刺繍のブラウス、敷物、織物でつくった袋類などなど、手仕事でつくられたみやげ物や農作物などを売る店がぎっしりと並んでいるが、なんといっても魅力があるのはアニマリート。

 アニマリートは硬い、重い

 実際に手にとってみると、アニマリートはずっしり重くて中身がぎっしり詰まっているのが感じられる。布の切れ端を何種類も使っているのでパッチワークのような組み合わせから生まれるおもしろさもある。 ガチョウ、カメ、カエル、サル、アリクイ、フクロウ、そして、作った人も「なんだかわからない・・・」という不思議な生き物も。 たいていアニマリートを売っているところでは、売り子さんが手に布と針を持って、店番をしながら作っている。  

  

                   おばちゃんは疲れて後ろで寝ていた。

 いくつか店を見て行くうちに、気に入ったものは集中してあることに気がついた。作り手がそのまま売っているので、作る人のセンスや技術、そして動物への思い入れなどが、そのまま売っているものに現れている。  

 そもそもアニマリートというものを知ったきっかけは、メキシコに留学して美術を勉強したというアーティスト荒木珠奈さんの作品だった。彼女は好きなアニマリートつくりの人に頼んで人形をつくってもらい、メキシコの民話をもとにしたアニメーションをつくった。

 その珠奈さんお気に入りのクリスティーナさんも店を出していて、さすがにおもしろいものがある。ガチョウやアリクイの表現が独特で、さっそく購入。店によって、大きさによって値段に多少差があるが、だいたい1個200円から700円くらいが現地での値段だ。ここの物価からすると、けっこう高めかもしれない。 夢中になっているうちに、日が暮れてきた。急に出てきた雲に覆われた空から、ぱらぱらと雨も落ちてきて、気温も薄手のダウンジャケットが欲しいくらい。旅行代理店の人が、「メキシコは一日のうちに四季があります」といっていたのを実感。

  きょうの収穫は、サル、トリ、ネズミ、フクロウ、カエル、ウサギなど8個。

    

         

 夕食はルームサービスにしよう

 5時ごろホテルにもどると、さすがに疲れて、7時ごろまでごろごろした。外に出るのがもう億劫なので、夕食はルームサービスを頼む。ハムとチーズのサンドイッチ、ハートサラダ(ヤシとアーティチョーク、アスパラの芯)それにアステカスープ、というのを頼んでみた。  サンドイッチは普通の味だったが、アステカスープは、初めて食べる味で、さっぱりしていておいしー。チキンのスープをベースに、アボカド、オアハカチーズ、豚の皮を揚げて刻んだもの、裂いたチキン、コリアンダー、黒いパプリカなど、野菜もいっぱい。お昼ごはんにも感じたが、メキシコの味は、なんだかやさしい。

  寝る前に娘に電話したが、出ないので、「アニマリート8個買ったよ!」と留守電を残し、早めに就寝。長い一日だったー。


メキシコ日記3

2008-11-11 23:28:33 | 

10月24日

バスが来たのはいいけれど  

 不安のなかで、メキシコにもパンノキがあるんだ、などと目の前の景色を見ていた。

 10分位した時、バスのお姉さんが何か言っている。どうやら私たちの乗るバスが来たみたい。意外に早かった。でも何しろ地面がデコボコなので、スーツケースを持ってそう早くは動けない、と思っていたら、さっきからその辺にいたおじさんが、なんとNと私の2つのスーツケース(かなり重いよー)を持ってどんどん道路沿いに歩き出した。道路には2台くらいのバス、というより7人乗りくらいのバンが止まっていて、その内の1台の運転手が窓から首を突き出して、私たちに「ヤポーン?!」と叫んでいる。これに乗るのか、と思ったら、スーツケースのおじさんが、「ノ、ノ」と言う。もう一台のほうらしい。でもどうして日本人ってわかったんだろう?この辺では日本人すごく少ないと思うのだが。スーツケースのおじさんに、チップ2ドルあげる。すんごく助かりましたぁ! 

 とにかく無事、目的のサンクリストバルへ行くらしい、バスならぬバンに乗ることができた・・・のだが、これでもか、というほどのギュウギュウ詰め。一番後ろの席に押し込まれた感じで、出発。85キロもあるのに、この状態で2時間?

 ここにいたってわかったのは、どうやら私たちは一番安い乗り合いバス(1等バスとかもあるのに)に乗ってしまったようだということ。でもこれもメキシコ、と思いがまん(するしかないし)。

 バスはどんどん山を登って行った。耳が少し詰まったような感じ。道沿いには見たこともない美しい黄色やピンクの花々、旺盛に生い茂るツタや樹木。いいなあ。ちょっと降りてここで1時間くらい、虫探ししたいよぅ、キノコもあるかも、と外の景色を見ているとギュウ詰めの苦痛も忘れる。 

 次第に視界が白い霧のようなものに囲まれて、車もライトをつけている。ずいぶん高く登っているに違いない。

 

 やっとサンクリストバルに着いたが

 そして、1時間45分くらいのうちに、他の人はどんどん降りてしまって、私たちだけになった。あれ、と思っていたら、ここが終点だよー(たぶん)と運転手に言われ、降りる。 

 でもさ、ここって道路の真ん中よ!!!前の車道には車がビュンビュンだし、後ろはさびれて閉店した自動車屋みたいでシーンとしてるし、まわりは石ころだらけで、動きようがない・・・。目をシロクロさせている私たちをおいて、バンは走り去った。

 出かける前、旅行代理店の人やメキシコに住んでいた人たちから、くれぐれも道路を渡る時には気をつけるように言われていた。メキシコの道路は歩行者を考えに入れていないので、全く減速してくれないからすごーく危ないと。それに流しのタクシーも絶対ダメ、と「地球の歩き方」にも書いてあった。 

 滞在予定の「ホリデーイン」まで、もう近いはずだけど、でもこの荷物もってよたよたと道路を渡るなんて、轢かれに行くようなもの。すると道路の向こうから、ぱらぱらと4人ほどの若い男子が走りよってきて、口々に「サンド?」とか言っている。ダメダメ、こういうのを相手にしてはいけない。 

 4人に2ドルのお礼で窮地脱出 

 私たちが相手にしないので、男子たちはまた道路の向こうにもどって行った。しばらく思案した結果、にっちもさっちも行かないことがわかった私たちは、さっきの男子たちに手を上げて呼び戻すことに。4人の男子は切れ目のない車の間を素早くすり抜けて戻ってきて、また口々に「サンド?サンド?」。

 「タクシー、ホリデーインホテル」というと、通じたみたいで、あっと言う間に一台のタクシーを止めてくれ、運転手にホリデーインまで行くように言い、トランクにすべての荷物をさっと積み込んでくれた。お礼に2ドル上げる。キャッホー、みたいな声が聞こえた。2ドルといえば200円以下だから、この窮地を脱するのには安いけれど、ほんとは彼らはお金というより、単に困っている私たちをみて助けてくれるつもりだったのかも。こういうところの判断はすごーく難しい。

 ホテルは期待どおり  

 すぐにホリデーインに到着。ふう。なんだかんだあったけれど、だいたい予定通りの2時半に着くことができたし、メキシコではこうやって、いろんなことが何とか進んでいくんだろうなあ、とNと話す。

 ところで旅の宿泊に求めるものはひとそれぞれだと思うが、私はホテルを寝られればいい場所、とは考えていないので、ホテル選びにはかな迷う。治安の良さ、その土地ならではの美しさのある建物であること、部屋で写真を撮るとき絵になること、清潔であること、人のサービスがちゃんとしていること、などなど。

 うれしいことに、サンクリストバルのホリデーインは、期待とおりのホテルだった。ここは18世紀に建てられたお屋敷を利用した植民地時代風建築。緑したたるパティオ(中庭)に茶系の建物が美しい。

かわいいメキシコタイルのベンチもある。

ここに2泊する予定。

(つづきます)


メキシコ旅日記2

2008-11-09 16:02:32 | 

 10月24日

 メキシコでは日本の電気製品がそのまま使えた

 5時過ぎに眼が覚めてしまった。まだ外はまっくら。夜明けが遅いみたい・・・とずっと思っていたが、これはサマータイムに時計を合わせていなかったため、と後でわかった。

 朝食はおこげスープ、クロワッサンの残り、カステラ、エアインチョコ、ティーメーカーでお湯を沸かして紅茶。お湯を沸かすのに変圧器は役にたたず、日本のコンセントそのままで使えたのはびっくりだった。千年灸やらシップやら、いろいろ朝の健康管理をする。もぐさの香りを嗅ぐと、「よし、きょうも大丈夫!」という気になる・・・のって変?

  7時半ごろカミノレアルをチェックアウト。エアポートのショップ街で、朝もはよからまたちょっと買いもの。売店で、きのうの「おこし」を店にあるだけ買う。1個60ペソ。90円くらい。さすがココア発祥の地のカカオの実力。味見して美味しかったのでオミヤゲに。 

 棚のお菓子はどれも色が突き抜けたように派手で鮮やかで、口にするのがちょっと怖い。「死者の日の祭り」が近いせいか、ガイコツモノももう出回っている。  

  荷物検査をして、ロビーで待機。10:05の飛行機。きょうやっと目的地に到達するのだ。早くアニマリート見たいな。 

 

目的地サンクリストバルまでの苦難の道

 1時間のフライトで中継地のトゥクストラに到着。ここからチアパス州の中心地サンクリストバルという町まで、さらにタクシー→長距離バス→タクシーと乗り継ぐ。アニマリートが多くつくられている先住民の村チャムーラは、滞在するサンクリストバルの町からバスで1時間かかるので、これはサンクリストバル滞在中に日帰りで行くことにしている。

  さて、トゥクストラに到着した・・・のはいいけれど、ここからが難儀が待ち受けていようとは。

 まず長距離バスのターミナルへ行くためにタクシーに乗る必要があるのだが、タクシー乗り場へ行くと、先にバスのチケットを買ってこいといわれ、エアポートの中に戻って購入。2人で20ペソ。安い(これが後で問題に)。

 タクシーはなんと40分くらいかかった。遠い(料金2500円くらい)。そしてここがバスのターミナルだよ、と降ろされたのだが、・・・・えっ、どこぉ?どれがターミナル?何にもそれらしくないけど、というような、取り付く島もない、ここはただの道端では?という場所だった。道がデコボコなので、スーツケースを引いて移動することもままならない。途方に暮れる・・・・。

 

ほんとに、ここでいいのかな?ふあ~ん・・・

  どうしようもないので、その辺にいる人に近づく(スペイン語が挨拶程度しかできないので、バスターミナルがどこか訊くこともできず)と、身振りで小屋のほうに行くように言っている。小屋にはお姉さんが一人いて、バスのチケットを見せると、スペイン語で何時にどこ、と言っているらしいが、これもわからず。ワン、ツーすら、英語が通じない。その辺で待て、といっているようだったので、他に仕方がないし、すぐ前にあるプラスチックの椅子に座ってあたりの植物観察。かなり南国っぽい植物がたくさん生えていていい感じ。道端の屋台からいい匂いが漂ってきたが、いつバスが来るかわからないので、空腹をがまん。

 それにしても、バスはいつ来るんだろう?5分後か1時間後か???

(つづきます)


メキシコ旅日記

2008-11-07 23:44:22 | 

 メキシコへ行ってきました。

 けっこう旅行が多い私ですが、今回の旅はかなりハードでした。飛行機17時間だし、時差ぼけ(時差15時間)したことがほとんどなかったのに、今度はボケつづけているし、標高(メキシコシティは標高2000メートル。富士山の五合目と同じくらい)のせいか、体の中でいろいろなことがバランスを失って、病気ではないものの全体に体調がいまいち。思いがけない展開があったり(バスターミナルがただの道端だったり、7人乗りに11人も乗るバスだったり)で精神的にも消耗の激しい毎日でしたが、しかしそういったことを忘れさせる楽しい旅でもありました。

人と人のコミュニケーションが熱い!

 農作物が豊かなメキシコの食事も好みに合っていました。そしてひとことで言うなら、メキシコは人と人のコミュニケーションが濃い!小さな難問が次々現れるのだけれど、その都度人が関わってきてなんとかなってしまう。ふだん東京ではできるだけ他人との関わりはサラッと、と暮らしている私ですが、ほんとうはこんなコミュニケーションにどっぷりつかってみたかったのだ、と気づきました。

 

目的は「アニマリート」探し

  そもそもこのメキシコの旅は、夫(以下N)が計画したことで、私は当初行くつもりがなく、情報集めの手伝いなどをしていました。でもその過程で出会ったのが、メキシコはチアパス州(グアテマラの国境に近い街)チャムーラという先住民族の村でつくられているアニマリートという動物をかたどった人形でした。

 チアパスは伝統的な織物で有名な地方。その織物を断ち落とした端切れで動物の人形をつくり、おみやげ物として売っているのだそうです。いわゆる「頬ずりしたくなるヌイグルミ」というものに興味のない私ですが、このアニマリートの奇妙な魅力には、ひと目でつかまってしまいました。

  (これがアニマリート。このフクロウは15センチくらいの大きさ。かなり硬くて重い詰め物がしてある)

 で、2週間のNの旅行計画のうち、前半の1週間をいっしょにチアパスへ行くことにしました。アニマリートとその作られている環境を観たい!(Nはその後、メキシコシティ観光と「死者の日の祭り」を観に、パツクアロという町へ)

 昔からチアパス地方には、人間が生まれるときに、山で同時に生まれる動物がおり、この動物はつかず離れず一生を自分に同伴する、という言い伝えがあるそうです。いわゆる守護動物というのとも違うし、映画『ライラの冒険』のような精神面を宿す存在という考え方とも違い、この「同伴する」という距離感が、私にはいたくグッときたのです。

 この動物は、「トナ」と呼ばれ、生まれたときに呪術師から自分のトナが何であるかを告げられるそうですが、人には言ってはいけなくて、もし自分のトナを人に知られてしまうと、トナが妖怪のようにとり憑いたり悪さをして災いを招く、というトリックスター的存在でもあるようです。そんなトナを形にしたのが、そもそものアニマリートのはじまりで、荒々しい存在感のある、自分と自然とのつながりの象徴みたいなこの動物人形を、現地の人や環境とともに見てみたい!とチアパスに出かけたのでした。

 では出発。

 1日目~2日目(10月23日)

  夕方に成田を出て、9時間後にバンクーバー着。ここで荷物を持ってカナダの空港内の部屋で1時間給油待ち。また飛行機に戻り、5時間かけてメキシコシティに到着。それにしても機内食(いつものことながら)まっずーーーーい。見たくもなーい!用意していった「桝本の弁当」とカステラでなんとかしのぐ。

 

メキシコにも「おこし」があった!

 同日夕方5時ごろメキシコ・シティに到着。空港は広く、ショップやレストランもたくさんある。お菓子やスナックの売店で、チュロスと美味しいガス入りの水を購入。

 ピンクのビンに入ったこの発泡水はペリエより炭酸が強く、癖がない味なのでとても気に入った。現地ならではの発泡水を見つけるのは、私の旅の楽しみのひとつ。さっそくお気に入りが見つかってうれしい。チュロスはながーくて砂糖まみれでかなり甘かったが、カリッと揚がっていて、それなりに美味しい(全部はとても食べられなかったが)。発泡水とよく合う。

 日本の「おこし」にそっくりなお菓子発見。細かいパフをチョコレートで固めてある。食べてみるとチョコレートの味もとてもいい。左下のは見るからに甘そうなメダル型のお菓子。食べないと思うけど、パッケージが可愛いのでいっしょに買った。

安普請の一流ホテル?

 空港の中を延々と歩いて、エアポートホテルの「カミノレアル」へ。荷物を引いて長い連絡橋を渡るのが大変だったー。 

 疲れているので夕食は手持ちのもので。ポタージュスープ、空港のパン屋で買ったばかりの焼き立ての大きなクロワッサン(おいしい!一個1ドル)、デザートはカップしるこ。持参した愛用のTfalのポットでお湯を沸かして温めたり、お茶を入れたり。 

 この部屋にはバスタブがついているが、栓がゆるくて湯がたまらない。ビニールをつかってなんとか栓を膨らまして入った。さらに洗面台のコックがうそみたいにほとんど壁にくっついているため、回すのがすごくたいへん。カミノレアルといえばメキシコシティでは高級ホテルにはいるが、水周りはすごい安普請。

 明日は目的地のチアパスへ。出発が早いので、お灸してもう寝よう。

(つづきます)


ヒラタケその後(ヒラタケの胞子射出)

2008-10-22 12:18:37 | きのこ

 樹氷のようなものを出したヒラタケは、あの翌日も2回、盛大に樹氷状のものをつけ、ケムリのような胞子を噴出した。はじめは2個だけだったのが、他の子実体(きのこの部分)にも樹氷状のものがつきはじめて、すごくアクティブな様子だった。 

翌日の午後1時ごろの様子。ケムリのような胞子が「ウワーン」と押し寄せてくる。

こんな状態が昨晩と同じく1時間半くらいつづいた。その後は白い部分がきのこの縁にくっついたように縮んだ。

 この2枚の写真を、キノコの胞子を研究している吹春さんに見ていただいたが、「不思議な写真」と言われた。そこで吹春さんに樹氷様のものを採取して送り、顕微鏡で見てもらうことに。 吹春さんの推測では、なにか繊維状のものが見つかるのでは、と思っていらしたようだが、結局顕微鏡で見ても胞子以外のものは見えなかったそうだ。

樹氷のような部分の拡大(吹春さん撮影)

さらに顕微鏡で見ると(吹春さん撮影)

 これらの胞子がなんらかの理由で、帯電し、胞子が次々と連なって樹氷のような形になり、ちょうど磁石で砂鉄を集めた時のような格好になったのでは、ということだった。

 気になるのは「なんらかの理由」というところ。これは吹春さんが他の研究者の方々にも訊いてくださるとのこと。どんな時にこういった現象が起きるのか、ぜひ知りたいものだ。  

 吹春さんが送ってくださった「きのこの胞子射出のしくみ」という文章によると、きのこ(担子菌類)が胞子を振りまく時の勢いは、スペースシャトルにも匹敵するらしい。胞子とその周辺の粘質の「玉」の、重力移動によってこのすごいエネルギーが生み出されるのだそうだ。  

 2日間、さかんに胞子を射出(放出じゃなくて、専門用語では射出というらしい)した我が家のヒラタケは、3日目の朝みると・・・・いきなり干からびて干しシイタケ状態になっていて、またびっくり。 結局、このどこか動物を思わせた元気いっぱいのヒラタケは、食べずに観察しただけだった。その後菌床からは、なあんにも出てこない・・・命を使い果たしたかのように干からびてしまった。

 

 ところで、あしたからメキシコのチアパスというところに行く。織物工芸が盛んなこの地方でつくられる、織物の布端を使って女性たちがつくるアニマリートという、動物の人形にひどく魅かれてしまって、それらが作られている土地に是非行きたくなった。チアパス旅行については、また。  


ど、どうしよう・・・

2008-10-10 22:37:58 | きのこ

  今、たいへんなことに気づいてしまった!

例の、富士山五合目の山小屋で売っていたヒラタケの菌床。一時は、これシメジじゃないか、と思っていたのだが、その後ぐんぐん育って、今ではどうやらやっぱりこれはヒラタケだ、と思える形と大きさになった。一番大きいのはカサの直径が8センチくらいある。

 それはいいんだけれど、今見たら・・・・・・・・・・

 

カサの縁に雪の結晶のようなものが生えて、しかもかすかに動いている・・・・

鼻息がかからないように、しっかり息を止めてまた見てみたが、やっぱり動いている。枝分かれしている真ん中の枝に当たる部分だけが、上に向って持ち上がるように動いているのだから、風や鼻息のせいではないと思う。

そしてそして、さらに、そのあたりには、うすくたなびくけむりのようなものがぁ~!

胞子を放出している!!!

気がついた瞬間、おもいっきり吸い込んでしまったー。

きっと、肺の中に胞子が・・・

このままでは、朝までに、うちの居間にはヒラタケの胞子が充満してしまうのでは・・・・

どうしよう????????

チーズダニを野菜室で育てることも、カメムシの卵を孵すことも、300匹のジョロウグモの仔を居間で放し飼いすることも平気な私だが、これは・・・

マジ、こわいよ~。

 


キノコとアンコ

2008-10-10 17:35:38 | きのこ

 またぁ?といわれそうだが、また行ってきました。だってきのこのシーズンって、そんなに長くないから。この1年、冬も春も夏も、四季それぞれにきのこは見ることができたが、なんと言ってもたくさん種類が見られるのは秋。それに金木犀が香る10月のはじめは、外を歩くだけで幸せな季節。家族でたくさん旅をしたのも、娘が生まれたのもこの季節でした。

 きょうは御殿場から30分くらい車で行ったところにある、十里木という別荘地の友人宅周辺がきのこ観察のフィールド。 きょうの(というか、いつもだが)裏テーマは「和菓子」。なので途中「とらや工房」へ寄った。入り口はこんなふう。

 雑木林や竹林の奥にあるこの和カフェと和菓子工房は、和菓子の原点に還る、というのがコンセプトだそう。和菓子をつくる工程が見える工房に、できたてを食べられるカフェが併設されている。http://profile.allabout.co.jp/ask/column_detail.php/32543

 芋羊羹とかお饅頭とか、どれも地味だけれど、和菓子の美味しさをしみじみ味わうラインナップ。あんみつを注文してみた。白玉の味、絶品。散らしてある塩味の小豆がよく合う。私にはちょっとアンが甘すぎたが、色具合も美しいし、周囲の「緑に映えるあんみつ」だった。

 

 そして、まわりの林にはきのこ。

   

まさに、キノコとアンコというきょうのテーマの両方をいっぺんに満たしてくれる場所だった。

  十里木は富士山のふもとの別荘地。軽井沢ほど古くないが、以前来たときよりも周囲の自然環境が成熟していい感じ。ハウススタジオになっている友人のご近所の家にお邪魔し、持ち寄りの惣菜でランチ後、5人で観察スタート。

 みんなここに住んで長いし、あそこにドクツルタケあるわよ、あたしはキヌガサタケ1回だけ見たことあるー、など身の回りを良く見ている人たちだった。隣のペンションの庭先に、へんなのが生えてる、というので行ってみると、おお!ノボリリュウタケ。

 ちょっと歩くたびに、きのこが見つかる密度の濃さ。まっしろなマシュマロのようなホコリタケは、中身まで細かい泡を固めたようなマシュマロ状。これは食べられるそう。

     これが幼菌 

 少しへたりかけていたが、ドクツルタケも。高さ20センチ。きのこの形態が数ある中で、この手のきのこはダントツの存在感。

 そしてこれも一度見てみたかった珊瑚のようなキホウキタケ。

 赤いドクツルタケは名前のごとく毒。

子供と    大人

 ひっくり返すとヒダが鮮やかなオレンジ色のアカモミタケは美味しいとか。傷つけると赤い汁がでる。

 

 なめこのような粘液におおわれたのも

 

素敵な場所に生えたオシャレさんもいた。

 1時間ちょっとの間に、30種類くらいのきのこが見つかった。もう少し時間があったら、いったいどれほどあったことか、というくらい種類が多い。初心者だから、どれもが初めて見るものばかりで、くらくらした。

  日帰りなので、4時には出発。夕焼けの高速道路にまで金木犀の香りが漂っている。成城学園前で車を降ろしてもらったが、まだきょうのお楽しみは、うふふ・・・終わっていない。駅前にできたばかりの、和菓子屋「あんや」に行くのだ!この間もらった手土産でその美味しさは実感済み。

http://www.b-shoku.jp/tokushu/pickup/18/anya.html

 「とらや工房」もそうだったが、ここも姿の派手さや美しさよりも、デイリーな和菓子の美味しさ、楽しみを提案する店とか。成城までめったに来られないから、とお月見まんじゅう、あんやもち、蜜豆腐、豆板、お汁粉、それにお赤飯まで、あれもこれも。買いたかったアンを混ぜたわらび餅は売り切れていて残念。こうなると・・・一刻も早く家に帰りたい。 

 採集してきたきのこを、お箸でそっと取り出して並べ写真を撮って図鑑で名前を調べてから、和菓子を少しづつ味見。うーん、ここのアンコ、やっぱりすばらしい!特にこしあんの絹のような繊細な舌触りとちょうどいい甘さ。風味は落ちるけれど、一度にこんなに食べられないので、小分けして冷凍したり冷蔵したりで、やっとひと段落。

 初めて出会った数々のきのこのと、美味しいアンコで興奮気味だったのか、疲れているのになかなか寝付かれない、秋の夜でした。