All my loving ♪

短歌と猫とポールマッカートニーを
こよなく愛しています

廣西昌也さん 10首選

2005年05月10日 18時34分25秒 | 10首選
001:声
Shadeにて皺を添えゆく中年の一子の声を誰も知らない

007:発見
営みは暗闇のなかお互いの発見という十月十日

014:主義
チクロ入り菓子を毎日食べていた共産主義に華ありし頃

018:教室
教室にひとつ机が足りないと言えないままに過ぎた六年

032:乾電池
乾電池抜いた空虚に指を入れ一子とつながらないか待ってる

035:禁
ゆうぐれの紫禁城から半月がぶらさげられているのが見える

046:泥
泥濘のなかに小さな虫がいて誰かを待っているような春

060:影
かの国の一子にとって影として僕は存在するのだろうか

092:届
一子からむらさき色の便せんに忘れなさいと手紙が届く

093:ナイフ
奥ふかいかなしみを持ち見るときに月は鋭いナイフみたいだ

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