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「SOKKI!-人生には役に立たない特技-」を読む

2006年05月23日 20時50分13秒 | Weblog
舞台の演出やら、ドラマの脚本家である、秦建日子さん(CHEMISTRY「キミがいる」の作詞者でもある)の小説で、「推理小説」(アンフェアの原作)、公開中の映画「チェケラッチョ!!」に続く最新刊。

1980年代の早稲田大学、邦文速記研究会を舞台にした、「ぼく」本多丈晴と初恋の女性・田畑希美、そして元・野球部エースの黒田一行の、面白く甘酸っぱいお話です。

そもそも「SOKKI!」って何?って思って手に取ったら、「速記」って超マイナーな特技のこと。
本には五十音の速記文字(?)が紹介されてるけど、何がなんだかわからない、ぐにゃぐにゃ文字。
ある程度の法則は理解できるものの、省略文字や単語となると、もうダメ。
でも、読めなくても、書けなくても、いやさ、全く知らなくても、ちっとも困らない。
副題通り、「人生には役に立たない特技」だけど、全国大会まであることに驚いた。


当然、「ぼく」は役に立たないのにどうして「SOKKI」?という疑問が起こる。
そこで、この本の帯にも書かれている第一章の一文にグッとくる。

引用開始(p33-34)

「本多くんはさ――そんなに役に立つことが好き?」
「えっ?」
「そんなに、『役に立つこと』、好き?」
くっきり、はっきり。
そして、悪戯っ子ぽい笑顔を浮かべて、更にこう言った。
「そういうのって、『豚に喰われろ』――って感じかな」

引用終了

これ、秦建日子さんのブログ(4月5日の記事)を読んだら、
つかこうへいさんの「熱海殺人事件」で、木村伝兵衛部長刑事と水野朋子婦警が、声を揃えて「○○なんて豚に食われろ」というシーンがあるそうで、大学を出て、社会人となって、つかさんと知り合い、このシーンに「うわ。速記研究会の××と同じセリフ……」と衝撃を受け、運命を感じたそうです。



人生に役に立たないことでも精一杯頑張る。
それって、なんかカッコいいなー、って素直に思えたし、
「ぼく」の初恋には、胸がキュンとして泣けてしまいました。


「チェケラッチョ!!」で高校生の恋愛、
「SOKKI!」で大学生の恋愛、ときたら、
次は社会人という、恋愛三部作になるかもです。

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