本朝徒然噺

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年の瀬の午後、向島でお座敷を楽しむ

2004年12月25日 | 伝統文化あれこれ
向島の料亭へ行った。

と言っても、個人で行ったわけではなく、「はとバス」主催のツアーに参加したのである。
向島の老舗料亭「桜茶ヤ」で昼食をいただき、向島芸者衆の踊りを見て、お座敷遊びを楽しむというツアー。

個人で行く場合、一見さんでも入ることはできるが、料理代、飲み物代、芸者さんの花代、芸者さんやお店への祝儀など諸々の料金がかかる。
しかし、団体でのバスツアーなら、個人で行くよりもずっと安い料金で楽しめる。
もちろん、個人で行くほうがじっくりと楽しめるのだろうが、入門編としてはこういった団体ツアーがちょうどよいだろう。

よく考えてきたら、はとバスに乗るのは、東京に出てきて以来初めての経験。
「はとバス」と言うと、ひと昔前までは「地方から旅行に来た人が東京観光のために使うもの」というイメージが強かったが、今は、東京在住の人や東京近郊在住の人が利用することも多いらしい。
今回のツアーも、東京近郊から参加している人がほとんどだったようだ。
「はとバス」であらためて東京の街を走ってみると、何だか新鮮な感じがした。

お昼過ぎに東京駅前を出発し、一路、向島へ。
向島で最も大きな料亭「桜茶ヤ」へ到着。
到着すると、玄関先で芸者さんが出迎えてくれていた。

舞台のある大広間へ上がり、飲み物を注文し、食事をいただいていると、芸者さんや半玉さん(芸者の見習いさんで、京都で言う「舞妓さん」にあたる。「玉代(ぎょくだい)」が芸者さんの半分であることからこのように呼ぶ)がお酌をしに回って来てくれた。
芸者さんが3人、半玉さんが1人、地方(じかた)さん(唄と三味線を担当する人)が1人という構成。

食事が進んだころ、舞台で芸者さんたちが鳴り物(太鼓、鼓)や踊りを披露。
それが終わると、「お座敷遊び体験」ということで、「トラトラ」という遊びを伝授してくれた。
これは、お座敷遊びのなかでも最も有名な遊びの一つで、簡単に言うと、「踊りとジェスチャーで楽しむジャンケン」のようなものである。

まず、真ん中に屏風を立てる。
その屏風を隔てて、2人が立つ。
2人はそれぞれ、唄と三味線にあわせて踊る。
「千里走るような薮の中をみなさんのぞいてごろうじませ 金のはちまきたすきで 和藤内がえんやらやっと とらえしけだものは とらと~らと~らとら~」
最後の「とらと~らと~らとら~」のところで、次の3つのうちどれかのジェスチャーをし、屏風の前へ出る。
・虎
・槍を持つ和藤内(向島では「加藤清正」にしている)
・杖をつくおばあさん

和藤内は虎に勝つが、おばあさん(和藤内のお母さん)には頭が上がらないので負けてしまう。おばあさんは、和藤内には勝つが、虎には食べられてしまうので負けてしまう。虎は、おばあさんには勝つが、和藤内には退治されてしまうので負けてしまう。
つまり、ジャンケンと同じである。
ただし普通のジャンケンと違って、唄と踊りが入るし、当事者同士は間に屏風を隔てているのでお互いの「手」がわからないが周囲の人にはそれがわかるため、みんなで楽しめる。

ひとしきり「トラトラ」を楽しんだ後、三本締めでおひらき。
全部で一時間半くらいだったが、楽しいひとときだった。

桜茶ヤを出た後、バスは隅田川を渡って浅草へ。
一行は雷門・浅草寺付近を自由散策して東京駅へ戻る、というスケジュールだったのだが、私と友人は、そのまま浅草で下車させてもらい、「勝手知ったる」浅草でそのまま買い物をしたりお茶を飲んだりした。

何かと慌ただしい年の瀬に、いろいろなことを忘れてほっと一息つける一日だった。

明日は大そうじをがんばろう……。

ちなみに今日は、縞の小紋を着て出かけた。
ただし、縞の着物は芸者さんも着ておられる可能性があるので、帯をシロウトっぽい柄のものに……。

うさぎの柄がアップリケ風に入った、ちりめんのなごや帯 前の部分にもアップリケ風のうさぎ



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