ホテルに戻って、荷物を受け取り、安房港へ。
ついに屋久島とのお別れである。
安房川の向こうに見える山を何度も振り返り振り返り、船に乗り込んだ。
とっぴーを利用するのは今回が初めてだったけれど、高速船なだけあって揺れないし、危惧していた船酔いも起きなさそうな感じ。
船の窓からは屋久島がずいぶん長いこと見えていた。
また鹿児島の近くまで来るにつれて名前は判らないけれど、他の島も見えたりして、かなり楽しめた。
時間はかかるけれど安いし、これからは船もいいかもしれない。
2時間をちょっと押して、鹿児島に到着。
さあ、ここから鹿児島空港へ行かなければならない訳だけれど・・・。
港に到着したのは15時ちょっと過ぎ。
ところで、私が乗る飛行機は16時25分の便だった。
ちょっとギリギリかなぁ、と思い、バスターミナルまで急ぐ。
リムジンバスが出てる筈なんだけれど、ちょうど行ってしまったのか、バスの気配は無い。
いつ出たのかは定かではないが、すぐに次が来るだろう・・・と思っていたのだけれど。
何と、リムジンバスは20分に1本しか来ないと言う。
そんなに少ないの!?
バスでここから鹿児島空港までは1時間弱はかかる。
じりじりとしばらくバスを待ってみたが、一向に来る気配が無い。
時間は15時15分になろうとしてる。
16時25分の飛行機に乗るためには少なくとも10分前には着いて搭乗手続きを済ませなければならない。
15時20分にバスが来たとしても空港に到着するのは16時20分頃。
いや、交通状態が悪かったらもしかしたらもっと遅れるかもしれない。
バスを待ちきれなくなったのか、旅行客らしいグループがタクシーに乗り込むのが見えた。
飛行機に乗り過ごしたら、間違いなく定額でチケットを購入しなおさなければならない。
万が一乗り過ごした時にかかる航空代金ウン万円と、タクシー代金はいくらか判らないけれどバスで1時間なんだから、まぁ5,000円くらいとして、両者を天秤にかけた一瞬後。
私は荷物を掴むと、タクシーに走り寄った。
「あのっ、鹿児島空港までお願いします!」
「はいはい」
「あ、あのぅ・・・飛行機の時間がギリギリなんで・・・ちょっと急いでもらえないでしょうか・・・」
「えっ、何分の飛行機?」
「25分なんですけど・・・」
「25分・・・・ギリギリかなぁ・・・。まぁ大丈夫でしょう」
いや、そんな呑気に言われても困るのだ。
こっちはウン万円がかかってる。
「あ、あの・・・お願いします!すみません!」
「うん、大丈夫ですよ。飛ばしますから」
とは言いつつ、丸っこい顔をした運転手さんは呑気な表情で車を走らせる。
はぁ・・・大丈夫かな。
「お客さん、どこから来たの」
などとお決まりのおしゃべりが始まった。
「あ、東京です」
「そうなんだ。おじさんも昔、東京にいたんだよ。引退してこっちに戻ってきたの」
「そうなんですかぁ」
そうこうしてる間に道が詰まってきた。
おじさんの指が苛立たしそうにハンドルを叩いてる。
な、何か心配になって来た・・・。
「あ、あの、大丈夫でしょうか・・・」
「ウン。今ちょっとね。ここを抜ければ大丈夫。あ、そうそう、高速使いますからね」
・・・・うっ。
言われてしまった。
もう背に腹は変えられない。
お願いします、と頭を下げた。
で、乗った時から実はずーっとメーターをチェックしていたのです。
トッピーは身障割引で4,000円。
タクシーを使っても5,000円位までなら、エアコミューターを利用したのと大して変わらないので、「まぁエアコミューターを使ったと思えばいいか」と自分の中で諦めがつく。
つまり、自分的にタクシー料金が5,000円より上に上がらないようにチェックしていたのである。
別にこっちがチェックしてたって、走行距離次第では料金はいくらだって上がるんですけれどね・・・。
何て言うか、「上がってくれるな」と念じていた訳です。
高速に入るまでは結構道が詰まっていてじりじりさせられたけれど、高速に入れば早かった。
結局、16時5分過ぎには空港に到着。
が、しかし。
メーターは最終的に、8,800円まで上がってしまった・・・・・( ̄□ ̄;)!!
高速代金も加えればほぼいちまんえん。
・・・・・・エアコミューターを使うより高くついてしまった・・・・。
畜生、こんなことならケチらないで帰りもエアコミューターに乗っとくんだった。
も、もう二度と船なんか使うもんかいっ。
でも、とりあえず間に合った。
寂しくなったお財布を握り締めて、空港へ飛び込む。
自動チェックイン機で搭乗手続きを済ませる。
ああやれやれ。
さて、搭乗口はどこかな。
16時45分発だから、16時半には搭乗口にいればいい訳ねよしよし、え?何?16時45分!!!???
・
・
・
・
・・・・・・・(-◇ー;)!!
じ、じ、時間を勘違いしてた・・・・・。
25分発だと思い込んでましたが、ホントは45分発でした・・・・・。
・・・・・・・・。
多分、15時20分にバスが来てたとして、それに乗ってても間に合ったんだろう、な。・・・・。
消えた一万円。
いちまんえ~~~~~~~ん!!!!
いや前向きに考えよう。
あの一万円がきっとあのタクシーの心やさしい運ちゃんの今夜のちょっとリッチな夕食につながったかもしれない訳じゃないか。
最近不況だし、タクシー運転手ってリストラされた人の転職先ナンバーワンだって言うし、ひょっとしたらあのおじさんは借金で首が回らなくなっていたのかもしれない、家に帰ればパートで働いてる奥さんがいて奥さんはパート先の若い男性と浮気中、子供2人は反抗期真っ只中で家の中には居場所なし、自分は糖尿病で薬代を稼ぎ出すだけでも精一杯な日々なのに肉体的にも精神的にも決してラクではないタクシーの運転手なんてやってて、「いいことねぇなぁ・・・もう自殺でもしちゃってもいいかもしれないなぁ・・・」なんて今朝までは考えていたのかもしれない、そこにやって来たカモ、つまり私。
きっと今頃、「頑張ってるとこういうこともあるもんだなぁ・・・よしっ、今晩は久々にあのフィリピンの女の子がいるバーに行ってみるか!何だか希望が沸いて来たなぁ」なんて思ってるかもしれない。
そうっ!前向きに考えれば、私のどぶに捨てたみたいな一万円がそうやって回り回って誰かの心に命の灯りをともす役目を果たしたのかもしれないじゃないか。
そう考えれば一万円くらい、たいしたことないわね、あははははは。
あ~~~~~~~~畜生!!!!
もう二度と船なんか使うもんかーーーー!!
屋久島のことは変わらず好きです。
正直に言えば、貴方様のもとに嫁ぎたいとさえ本気で思っています。
ああでも何故、貴方に会いに行く時は、決まって交通事情でオチが発生するのでしょうか・・・。
ついに屋久島とのお別れである。
安房川の向こうに見える山を何度も振り返り振り返り、船に乗り込んだ。
とっぴーを利用するのは今回が初めてだったけれど、高速船なだけあって揺れないし、危惧していた船酔いも起きなさそうな感じ。
船の窓からは屋久島がずいぶん長いこと見えていた。
また鹿児島の近くまで来るにつれて名前は判らないけれど、他の島も見えたりして、かなり楽しめた。
時間はかかるけれど安いし、これからは船もいいかもしれない。
2時間をちょっと押して、鹿児島に到着。
さあ、ここから鹿児島空港へ行かなければならない訳だけれど・・・。
港に到着したのは15時ちょっと過ぎ。
ところで、私が乗る飛行機は16時25分の便だった。
ちょっとギリギリかなぁ、と思い、バスターミナルまで急ぐ。
リムジンバスが出てる筈なんだけれど、ちょうど行ってしまったのか、バスの気配は無い。
いつ出たのかは定かではないが、すぐに次が来るだろう・・・と思っていたのだけれど。
何と、リムジンバスは20分に1本しか来ないと言う。
そんなに少ないの!?
バスでここから鹿児島空港までは1時間弱はかかる。
じりじりとしばらくバスを待ってみたが、一向に来る気配が無い。
時間は15時15分になろうとしてる。
16時25分の飛行機に乗るためには少なくとも10分前には着いて搭乗手続きを済ませなければならない。
15時20分にバスが来たとしても空港に到着するのは16時20分頃。
いや、交通状態が悪かったらもしかしたらもっと遅れるかもしれない。
バスを待ちきれなくなったのか、旅行客らしいグループがタクシーに乗り込むのが見えた。
飛行機に乗り過ごしたら、間違いなく定額でチケットを購入しなおさなければならない。
万が一乗り過ごした時にかかる航空代金ウン万円と、タクシー代金はいくらか判らないけれどバスで1時間なんだから、まぁ5,000円くらいとして、両者を天秤にかけた一瞬後。
私は荷物を掴むと、タクシーに走り寄った。
「あのっ、鹿児島空港までお願いします!」
「はいはい」
「あ、あのぅ・・・飛行機の時間がギリギリなんで・・・ちょっと急いでもらえないでしょうか・・・」
「えっ、何分の飛行機?」
「25分なんですけど・・・」
「25分・・・・ギリギリかなぁ・・・。まぁ大丈夫でしょう」
いや、そんな呑気に言われても困るのだ。
こっちはウン万円がかかってる。
「あ、あの・・・お願いします!すみません!」
「うん、大丈夫ですよ。飛ばしますから」
とは言いつつ、丸っこい顔をした運転手さんは呑気な表情で車を走らせる。
はぁ・・・大丈夫かな。
「お客さん、どこから来たの」
などとお決まりのおしゃべりが始まった。
「あ、東京です」
「そうなんだ。おじさんも昔、東京にいたんだよ。引退してこっちに戻ってきたの」
「そうなんですかぁ」
そうこうしてる間に道が詰まってきた。
おじさんの指が苛立たしそうにハンドルを叩いてる。
な、何か心配になって来た・・・。
「あ、あの、大丈夫でしょうか・・・」
「ウン。今ちょっとね。ここを抜ければ大丈夫。あ、そうそう、高速使いますからね」
・・・・うっ。
言われてしまった。
もう背に腹は変えられない。
お願いします、と頭を下げた。
で、乗った時から実はずーっとメーターをチェックしていたのです。
トッピーは身障割引で4,000円。
タクシーを使っても5,000円位までなら、エアコミューターを利用したのと大して変わらないので、「まぁエアコミューターを使ったと思えばいいか」と自分の中で諦めがつく。
つまり、自分的にタクシー料金が5,000円より上に上がらないようにチェックしていたのである。
別にこっちがチェックしてたって、走行距離次第では料金はいくらだって上がるんですけれどね・・・。
何て言うか、「上がってくれるな」と念じていた訳です。
高速に入るまでは結構道が詰まっていてじりじりさせられたけれど、高速に入れば早かった。
結局、16時5分過ぎには空港に到着。
が、しかし。
メーターは最終的に、8,800円まで上がってしまった・・・・・( ̄□ ̄;)!!
高速代金も加えればほぼいちまんえん。
・・・・・・エアコミューターを使うより高くついてしまった・・・・。
畜生、こんなことならケチらないで帰りもエアコミューターに乗っとくんだった。
も、もう二度と船なんか使うもんかいっ。
でも、とりあえず間に合った。
寂しくなったお財布を握り締めて、空港へ飛び込む。
自動チェックイン機で搭乗手続きを済ませる。
ああやれやれ。
さて、搭乗口はどこかな。
16時45分発だから、16時半には搭乗口にいればいい訳ねよしよし、え?何?16時45分!!!???
・
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・・・・・・・(-◇ー;)!!
じ、じ、時間を勘違いしてた・・・・・。
25分発だと思い込んでましたが、ホントは45分発でした・・・・・。
・・・・・・・・。
多分、15時20分にバスが来てたとして、それに乗ってても間に合ったんだろう、な。・・・・。
消えた一万円。
いちまんえ~~~~~~~ん!!!!
いや前向きに考えよう。
あの一万円がきっとあのタクシーの心やさしい運ちゃんの今夜のちょっとリッチな夕食につながったかもしれない訳じゃないか。
最近不況だし、タクシー運転手ってリストラされた人の転職先ナンバーワンだって言うし、ひょっとしたらあのおじさんは借金で首が回らなくなっていたのかもしれない、家に帰ればパートで働いてる奥さんがいて奥さんはパート先の若い男性と浮気中、子供2人は反抗期真っ只中で家の中には居場所なし、自分は糖尿病で薬代を稼ぎ出すだけでも精一杯な日々なのに肉体的にも精神的にも決してラクではないタクシーの運転手なんてやってて、「いいことねぇなぁ・・・もう自殺でもしちゃってもいいかもしれないなぁ・・・」なんて今朝までは考えていたのかもしれない、そこにやって来たカモ、つまり私。
きっと今頃、「頑張ってるとこういうこともあるもんだなぁ・・・よしっ、今晩は久々にあのフィリピンの女の子がいるバーに行ってみるか!何だか希望が沸いて来たなぁ」なんて思ってるかもしれない。
そうっ!前向きに考えれば、私のどぶに捨てたみたいな一万円がそうやって回り回って誰かの心に命の灯りをともす役目を果たしたのかもしれないじゃないか。
そう考えれば一万円くらい、たいしたことないわね、あははははは。
あ~~~~~~~~畜生!!!!
もう二度と船なんか使うもんかーーーー!!
屋久島のことは変わらず好きです。
正直に言えば、貴方様のもとに嫁ぎたいとさえ本気で思っています。
ああでも何故、貴方に会いに行く時は、決まって交通事情でオチが発生するのでしょうか・・・。