2007ー06ー18
すでに閉館して20年以上経つ真鶴水族館は朽ち果て今現在、建物の残骸は
残っているのか、どうなっているのか興味があって真鶴をたずねた。
地元観光協会によれば、このあたりは落石とか荒磯で危険なので原則として
立ち入り禁止区域になっているとのことだった。近くに中川一政美術館があって
その脇の道を下ると<内袋観音参道入口>と彫られて石碑が立っている。
そこから山道を下るのだが<車両進入禁止>のストッパーと倒された巨木
が車での通行を阻止していた。道か整備され遊歩道になっていて歩きやすかった。
歩く事10分程度で広場へ出た。ただ草茫茫で、水族館の面影はない。わずか
海側に突き出た生簀の残骸がこのあたりが水族館であったことを思わせた。
兵どもが夢の後である。少し離れたところに洞窟のような空間が見えた。その
近くまで行くと<内袋参道入口>と刻字された石の鳥居が朽ちても立っていた。
ちかくに石段があってそこから洞窟へはすぐの距離。洞窟の前に立つ等身大より
かなり大きめの磨崖仏が鎮座していた。その風貌は力強くなにか威厳が感じられた。
<内袋観音>である。唇はほのかに紅をさしながらなにか訴えるものがあるようで
しばらく見とれていたものだった。この磨崖仏の後方にこの仏様を慈しむように、
守るようにエンジェルを思わせる童子が何体も彫られていて、これがすばらしかった。
この<内袋観音>は観光パンフレットにも載っていないし、歴史散歩コースからも
はずされ忘れられて存在となっているようだ。でも子供のおもちゃのような供物や
真新しい花が供えられていたところをみると地元住民の信仰の対象になっているの
だろう。
観光協会では落石などがあるので危険だから行かないようにとのことだったが、
水族館は残念だったけど観音様に巡りあえてよかった。機会があれば再びこの
<内袋観音>を尋ねたいと思っている。