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敷金の代わりに修繕費分担金・・・

2008年10月24日 | 不動産賃貸
敷金の代わりに修繕費分担金・・・

敷金の代わりに修繕費分担金制の賃貸物件増えていますよね。
この修繕費分担金事態に違法性か否かの「京都地裁」の判断が出ました。
ご興味の方、ご覧あれ!!

京都地裁は9月26日、家賃約2か月分(12万円)の定額補修分担金等を消費者契約法に基づいて無効だと主張する借主の控訴を棄却。「消費者の利益のみが一方的に害されているとは言えない」と判断した。

同地裁は4月30日、家賃2.5か月分(16万円)の定額補修分担金を「通常損耗の補修費であり、賃料に含まれている」として、消費者契約法違反で無効と判決している。

今回は、定額補修分担金の特約条項も借主・貸主の主張も4月の事案とほぼ同じだが、「敷金と定額補修分担金は性質が異なる(定額補修分担金は通常損耗の補修費ではない)」として、借主の主張を退けた結果となった。

類似の事案で正反対の判決が出たことについて、関係者は次のようにコメントする。

「違う裁判官だから異なる判決が出た。つまり、消費者契約 法はそれだけ解釈の幅が広い。消費者に不利な特約が すべて無効になる、ということではない。ただし、同法の 解釈が判例で確立するにはまだ時間がかかるだろう。」

----<以下、9月26日の判決の概要>--------------

1.経緯
 借主は平成18年4月、賃料5万8千円、定額補修分担金 12万円、敷金ゼロで京都市の賃貸マン ションに入居(2年 契約)。20年2月25日に解約を申し入れ、3月17日に退去。 定額補修分担 金と退去翌日以降の日割賃料(計、約14万 6千円)の返還を求めて提訴した。

2.定額補修分担金特約(賃貸借契約書の記載の要約)(1)乙は、本契約締結時に、本件退去後の  賃貸借開始 時の新装状態への回復費用の一部負担金として、 定額補修分担金を甲に支払う  ものとする。

(2)乙は、定額補修分担金は敷金ではないということを理 解し、その返還を求めることができない。

(3)乙は、定額補修分担金を入居期間の長短に関わらず、 返還を求めることはできない。

(4)甲は乙に対して、定額補修分担金以外に本物件の修理・回復費用の負担を求めることはできな  い。ただし、乙の故意又は重過失による本物件の損傷・改造を除く。

(5)乙は、定額補修分担金をもって、賃料等の債務を相殺 することはできない。

3.定額補修分担金特約に関する借主側の主張 ・本件特約は、敷金を補修分担金と言い換えてい  るにすぎず、実質は敷金契約。

 ・借主の過失による回復費用が生じること自体、一般的に  多くはないにもかかわらず、敷金程度  の金額が設定されている。実質的には、通常損耗部分の回復費用をも借主  に負担させるもの  であり、消費者の義務を加重している。

 ・借主の故意・重過失による損耗の回復費用について  貸主による請求が留保されており、その 
  部分に二重  取りの可能性がある。消費者の義務を加重している。 ・貸主と借主の間にはコス  ト計算等の情報力、契約  締結時の交渉力において格差があるから、本件  特約は消費者の  利益を一方的に害する。

4.定額補修分担金特約に関する貸主側の主張 ・12万円は定額補修分担金であり、敷金ではな   い。

 ・本件特約の本質は、借主が退去時に負担する原状回復  義務について、費用を定額化して予   測可能性を確保した  うえ、貸主・借主双方が交換条件的にリスクと利益を分担  することで紛  争予防制度として機能するもの。借主の義務  を加重するものではない。

 ・借主の故意または重過失に基づく損耗であっても、受領した  定額補修分担金を超えない限り、  貸主は借主にその負担を  求めることができない。二重取りの可能性はない。

 ・貸主と借主に情報力・交渉力の格差は存在しない。  仮に存在していたとしても決して大きいも   のではない。むしろ借り手市場である。

 ・借主は契約の申込時および締結時に仲介会社から  本件特約について十分な説明を受け、理   解したうえで、  これを了承した。本件特約のない物件を選択するため  の情報や機会は十分  あった。

5.定額補修分担金特約に関する裁判所の判断 ・敷金は、過不足が生じた場合には退去時に精算  が予定  されている。定額補修分担金と性質が異なることは明らか。  よって、本件特約の実   質は、敷金契約ではない。

 ・本件特約は、借主が故意または重過失により本件物件を汚損ないし毀損した回復費用のうち、貸  主が受領した定額  補修分担金を超過した部分を除き、貸主は費用の追加負担を求めないとの  合意。二重取りがないことは明らか。

 ・借主負担部分が定額補修分担金額を下回るときは、本件特約は借主の義務を加重する消費者契  約の条項にあたる。  一方、軽過失の金額が定額補修分担金額を上回るときは、貸主が経済的  負担をすることとなるから、この点では、借主の利益のみが一方的に害されるとはいえない。

 ・設定される定額補修分担金額が、発生の予想される軽過失と同程度かそれ以上であれば、貸主  の方がより多くのメリット  を享受する。しかし、これをもって借主の利益のみが一方的  に害さ  れるものとはいえないであろう。

 ・他にも、本件特約が一定程度の紛争予防機能を有していること等を総合考慮すると、本件特約    が、信義則上、消費者  たる借主の利益を一方的に害するとは認められない。

6.日割計算特約・早期退去特約(賃貸借契約書の記載の要約)(1)乙は、少なくとも1か月前に解  約の申入れを行うことに より、本件契約を終了することができる。

(2)退去日が月末以外の日であっても、日割計算はしない。

(3)明渡しが3月となる場合に限り、3月20日までに乙は明渡しを完了する。

7.日割計算特約等に関する借主側の主張
 ・日割計算をしないのは、3月20日の明渡しを強制する特約と相まって、貸主に一方的に有利であ  り、消費者契約法10条により無効。

 ・3月分の賃料として支払った5万8千円のうち、退去の翌日である18日以後、14日分の賃料相   当額約2万6千円を借主に返還すべき。

8.日割計算特約等に関する貸主側の主張
 ・賃料を月額で定めた場合、賃料と使用収益日数は厳密な対応関係にはない。日割計算をしなくと  も不当ではなく、これを行うべき義務はない。

 ・退去月は日割計算を行わないこと、退去月が3月のときは3月20日限り退去すべきことについ    て、いずれも貸主・借主間で契約内容として合意した。

9.日割計算特約等に関する裁判所の判断
 ・1か月前の解約申入れを合意しているから、本件契約は、2月25日の申し入れに基づき3月25   日に終了したと認められる。借主は3月17日が契約終了と主張するが、上記合意に照らすと採用  できない。

 ・賃貸借契約の賃料は、支払時期について後払いとの規定があるが(民法614条)、その計算方   法や支払い方法などはすべて当事者の合意に任せられている。

 ・日割計算が望ましいとはいえるが、当事者が賃貸期間や賃料算定に月を基準単位としている場   合、より細分化した週や日による厳密な処理をしなければならないとする根拠はない。

 ・本件契約には、3月は20日までに退去しなければならない早期退去特約が別途設けられている  から、日割計算をしない特約と相まって、その限度で消費者の義務を加重する条項に該当するこ  とも考えられる。

 ・しかし、このような事態が生じるのは3月に退去する借主に限られ、早期退去特約は契約書に特   約条項として明記されており、借主もこれに押印して認識したことを明らかにしたうえで契約締結   に至っていることを考えると、信義則に照らして両当事者間の権利義務関係に一方的な不均衡が  生じているとまでは評価されず、少なくとも「消費者の利益を一方的に害する」とは認められない。

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