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元売り寡占で販売店は青息吐息?

2017年04月19日 | ニュースから一言二言

ガソリン高騰の真実 元売り寡占で販売店は青息吐息 
2017/4/18 6:30日本経済新聞 電子版

「ガソリン高といわれるが、本音はもっと値上げしないと利益が出ない。でも、隣のスタンドとの競争もあるから、利幅を削って耐えている」(関西地方のガソリンスタンド経営者)

大型連休を前に、ガソリンの仕入れ価格が上昇し、値上げの金額やタイミングにスタンド経営者は苦慮している。
中国地方のガソリンスタンド経営者は、さらなる価格上昇圧力を口にした。

「とにかく、玉(ガソリン)がない。店を閉めるわけにもいかないから、高い値段でも仕入れるしかない」

大型連休を控えた2017年4月上旬、全国の販売店でガソリンが不足し、価格上昇が続いている。資源エネルギー庁が発表した4月3日時点のレギュラーガソリン価格は全国平均で1リットル当たり133円90銭。これは1年前と比較すると約20円も高い水準になる。今年に入りその勢いは増し、3カ月で約8円も上がった。

通常、ガソリン高の主因は原油価格の上昇とされる。確かに16年11月、石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりの減産を決めた。
だが、今回はその通説が当てはまらない動きになっている。

「原油価格とガソリンの店頭価格は、時間差はあっても連動してきた。だが、今回は上がり幅が広がる一方で、収束する気配がない」(石油情報センター幹部)。
上のグラフから、異変ぶりが見て取れる。
16年末からガソリン価格が原油価格から大きく乖離(かいり)して跳ね上がっている。その時、何が起きていたのか。



経営統合と業転潰し

16年12月、石油業界の歴史に大きな転換点が訪れていた。

12月19日、公正取引委員会はJXホールディングス(HD)と東燃ゼネラル石油の経営統合を承認、シェア5割超の巨大会社が誕生することが決まった。
公取は出光興産による昭和シェル石油の株式取得も認め、こちらもシェア合計が約3割となる。

「2社でシェアが8割に達する。これを許して、公取と独占禁止法の存在意義はあるのか」。石油業界に詳しい学識者はそううなった。

「寡占」の巨大石油会社が供給を絞れば、流通段階でガソリンの奪い合いが起きて価格は高騰する。
公取が目を光らせるべき典型的ケースに、石油業界は陥ろうとしている。

業界が注視しているのは安売り店に供給されるガソリン、いわゆる「業転玉(ぎょうてんぎょく)」の動向だ。
元売り各社は工場の稼働率を高めるために、自社系列スタンドへの供給量を超える過剰生産に陥りがちで、余った製品を格安で流通業者に流してきた。それが系列の看板を掲げない「無印スタンド」で安値販売される。(※実際にはマークを掲げている店でも販売されています)

だが、2大グループへの再編は、こうした無印スタンドの仕入れに大きな影響を及ぼし始めている。

「JXが東燃に対して、業転玉を出すなと要請していると聞いている」。
JX系列店の経営者はそう打ち明ける。
一方出光の幹部は、「昭シェルが業転玉を流すぐらいなら、うちが買い取って輸出する」と息巻く(JX、出光ともに、そうした事実はないと否定)。

昭シェルも業転を絞っているとされ、「2月と3月に一時、枠(取扱量)を半減した」(無印スタンド経営者)。
2強は業転玉を出さないどころか、スポット市場で買い占める「業転潰し」に乗り出していると指摘される。
無印スタンドはガソリン不足が深刻で、他県から遠距離輸送するケースも出ている。

2強がいくら否定しても、その動きを数字が物語っている。
業転価格の指標ともいわれる業者間のガソリン転売価格(日本経済新聞調査)は、16年12月から10円も値上がりした。
ガソリン需給の逼迫を如実に示している。


「一方的」かつ「差別的」

無印スタンドだけではない。大手系列の店舗も、2強の誕生でパワーバランスが大きくゆがめられている。

関西の大手系列スタンド経営者は、「2大グループの価格支配力が強すぎる」と漏らす。
別の系列スタンドの経営者も、「かつては業転玉の仕入れや、別系列へのくら替えをちらつかせて交渉できたが、2強になってしまうと、そうした戦術もとれなくなる」と嘆く。

JXホールディングスと東燃ゼネラル石油が2017年4月1日に経営統合し、シェア5割のJXTGホールディングスが誕生した(写真:時事)

石油販売大手のキグナス石油が、2大グループから離れたのも「寡占化」の影響と囁(ささや)かれている。
17年2月、かつて東燃系列だった歴史を持つキグナスが、コスモエネルギーホールディングスと資本提携に踏み切った。
長年続いた東燃からのガソリン供給を自ら断ち切り、再編から漏れたコスモの傘下に飛び込んだ形となった。
「東燃の巨大化で、従来の供給量や価格が維持できないと判断したのだろう」(業界関係者)

本来、石油再編は、国内に大手元売りが5社もひしめく過当競争から脱するために進められてきた。
だが、現実には「強すぎる2大グループ」のリスクが顕在化している。
そして、再編の旗振り役だった経済産業省は、その副作用に恐れを抱き始めた。

3月24日、経産省は「ガソリン適正取引慣行ガイドライン」を発表した。
そこには、経営統合による建値(卸値)の上昇を抑える意図が込められている。
問題事例として、「(元売りが)価格を一方的に決定する」ことや、大手販売店ばかりに赤字補填する「差別的取扱い」といったケースが明記された。

問題回避のため、経産省は元売りに対して、価格を市況の実態に合わせることを求めている。
また、値引きの基準も明確にするよう言及した。
違反した場合には強い態度で臨む。

「独占禁止法に違反する疑いのある事実に接した場合には、(公取に)厳正な対処を求めていく」

産業の強化を見据えた再編劇は、その副作用を早くも露呈し始めた。
そして、放置すれば消費者をも巻き込む事態に展開しかねない。

(日経ビジネス 松浦龍夫)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15252340T10C17A4000000/?n_cid=DSTPCS001




※記事は“業転潰し”を伝えるもののようですが、その業転についてst31掲示板の管理人さんはこのように↓書いておられます。





でも、もし仮に、万が一(※ないとは思いますが、)業転玉の流通が止まったとしても、文句は言えないのです。

エネ庁のヒアリングでも元売が答えていますが、品確法における軽減措置認定で、
系列玉は標準揮発油1号、標準揮発油2号、標準軽油、標準灯油を継続的に供給することを証明する
高値と知りながら系列玉を仕入れる理由。
とされているのに対し、
業転玉は継続的に供給することを証明されていないからです。

この業界で、系列店や元系列店であった者なら、このことは“承知しているはず”のことだからです。


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