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◆「コッペリア」
人形に恋をしてしまった男と、その人形にそっくりな女優、そしてその製作者と、バレエ「コッペリア」を連想させる登場人物たちが招くミステリー。
加納朋子、初の長編。
最初に、江戸川乱歩の「人形」からの引用がある。そして、ギリシャ神話「ピグマリオ」の話から物語は始まる。しかしタイトルは「コッペリア」なのだ。
読めば、納得のタイトルなのだが、乱歩にピグマリオに、とひっぱってコッペリアにもっていかなければならないあたり、日本のバレエに対する認識不足が出てる気がする。
と、いきなり余計な枝葉を書いたが、これはよくできたミステリーだ。
物語は章ごとに個々の視点で描かれる。時間軸も違う。それらからくる混乱が上手いぐあい、というか、バランスがいい。
そう。これはバランスのいい小説だといえるだろう。
多少、ん、と思わないところもないでもないが(引用でマンガまでひっぱってくるのはどうかと。あの部分だけへんに時間が明確になった感じで、それまでの浮遊感が褪せた)それも危ういバランスで切り抜けていっている。
最後が、よかった。
読後がさわやかww