読書日記と読書ノート 第三部(2013年6月~2015年6月) 吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

114、西川潤「新・世界経済入門」

2017-02-17 06:44:08 | 読書日記

日記から

2014429()

西川「新・世界経済入門」を160ページ。グローバリゼーションを軸に、国家財政の危機と貿易収支の赤字国・黒字国のアンバランスを世界経済の「陰り」として指摘する。米欧日の経済的優位性が、中国をはじめとする新興国のキャッチアップにより新たな世界経済の様相を呈しつつある現状を報告する。グローバル化の主導力は多国籍企業と金融資本の国境を越えた展開だから、それと国家主権との相克に絞って世界経済の動向を叙述した方がわかりやすいだろう。

430()

「新・世界経済入門」を読了。経済成長を追求することはやめて、定常型の社会に移行すべく意識変革をすべきだと説く。成長路線は国内の格差を拡げ、権益をめぐる対立を深め、自然環境を破壊するだけ。著者は経済のグローバル化は必然であり、人々の意識の面でも、たとえば外国人労働者の受け入れ問題のように、国境を超える意識を持つことが必要だという。入江昭の論と同じだ。そして、国家を越えてつながる市民社会の役割に期待する。これも同じ。市民社会というよりも、NPOやNGOの活動を期待する。国家意識を越えた市民社会の展開はEUのような地域共同体の形成に向かうし、そこから実質化していくように思う。東アジア経済圏の構想からこの地域の国家の相対化を展望する。

(了)