読書日記と読書ノート 第三部(2013年6月~2015年6月) 吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

78、ネグリとハート「マルチチュード」(上)(下) (NHKブックス) -後半-

2016-12-02 05:30:38 | 読書記録
(2)ノートから
(上)第二部
①ケアは情動労働の一。感情と身体に働きかける。安心感や幸福度、満足、興奮、情熱といった情動を生み出したり操作したりする労働。
②情動労働が賃金を対価とするとき、疎外の意識が生まれる。
③情動労働は情報を生む労働とともに、非物質的労働である。
④ケア労働の目的は関係性の創出。
⑤非物資的な労働の主導権の下では、〈共〉的な社会的形態がかってないほど顕著な形で作り出される。
⑥非物質的な生産の基盤は〈共〉にある。
⑦情動労働は直接的に関係性を構築する。その価値を量的に測る尺度はない。
 ※生生産…生きることと作ることが一体となっている。
  生政治…生きることを指標とする政治。
  生権力…生き方を強いる力。拷問が典型。

(下)
①言語と〈共〉との関係
第一に話をするという人間の能力は〈共〉、すなわち私たちが共有する言語に基づいている。
第二に、人間の言語行為は〈共〉を創出する。
第三に、発話という行為自体が対話やコミュニケーションという形で、〈共〉の中で行われる。
②言語と〈共〉とのこの三重の関係は非物質的労働一般の特徴を示している。
③今日意味のある民主主義があるとすれば、それは平和に最高の価値をおくものでしかない。平和は民主主義に必要なだけでなく、知識の根本条件であり、より一般的にはこの世界における人間存在の根本条件なのだ。
④一者だけが主権者となることができ、主権者なしには政治はありえない。
⑤労働が生み出す生産物が物質的財だけでなく、社会的諸関係やコミュニケーション、ネットワーク、そしてさまざまな生の形態になれば、経済的生産が直ちにある種の政治的生産、あるいは社会それ自体の生産を意味することは自明である。

(了)