※『ルート225』公式サイト
※原作本のレビューは→コチラ
この映画、とても切ない結末です。
切ないのだけど、でも哀しいだけじゃなくて、不条理な現実をまるごと受け入れる潔さとか、どこにいてもお互いを信じられる気持ちとかが、観終わって清々しい気分にさせてくれた映画でした。。
物語は、街並も家も学校もほとんど同じなのに両親だけがいないパラレルワールドに迷い込んでしまった、14歳のクールな姉エリ子と1つ年下の弟のダイゴの姉弟が、こうなった原因を探りつつ、2人で知恵を絞ってなんとか元の世界に戻ろうとするというもの。
ある日帰りの遅い弟を迎えに行った帰り道で、いつもと同じように犬のいる家の角を曲がると、そこには国道の代わりに海が広がっていた…
そんなはずはないとかぶりを振りながらも、ぐるぐると道に迷っている途中死んだはずの弟の友人に出逢ったり、なんとか家に辿り着いてホッとしたのもつかの間、そこにはパパもママもいなくて、だんだんと「元とは別の世界」であることを心の底では認めざるを得なくなっていく。。
「友だちにも言っちゃダメだよ。なんかおかしいと思うこと、世の中にはいっぱいあるんだから」
そう弟に言い聞かせ、自分自身にも言い聞かせながら一晩眠れば元通りになると信じていたのに、やっぱり次の朝も事態は一向に変わっていなかった。。
こんな不可思議な設定なのに、2人の姉弟の日常ややりとりが可笑しくて切なくてとってもリアルで、ちょっとしたエピソードにうーーーんと大人のわたしなのに胸がキュンとなってしまうのでした。(^^;;;;;
たとえばいつも通りに学校に行ったら、疎遠になっていた友だちにまるで何事もなかったように話しかけられますます「違う世界」だと実感して、先に帰宅した家で1人ぼっちでいるときに弟が帰ってきただけでホッとするような気持ち。。
本当は母親の待っている世界に戻りたくて、でもどうしても辿り着けない不安を抱えているくせに、いっぱいいっぱいまでやせ我慢してツッパッて、いつも通りヘナチョコな弟をツッコミつつクールにひょうひょうとしているエリ子の長女っぷりに、なんだか非常に共感してしまったというかツボに来ました。
そしてそんな姉にいじられつつも、お姉ちゃんが大好きという感じの少し太っちょのダイゴ。
理解不能の世界に突然放り込まれて、それでも明るく受け入れて行く姉弟を、多部未華子ちゃんと岩田力くんが本当の姉弟みたいに確かな演技力と存在感で魅せてくれるのです。
まだまだこの現実を信じられなくて、そのうちお母さんも帰ってくるだろうと、姉は夕食の準備を、弟はTVで野球中継を見ている時に、巨人の高橋由伸選手のファンのダイゴが漏らす一言。
「お姉ちゃん、なんだか変だよ、高橋選手がいつもより太っているみたい」
…(爆)
つまりこっちの世界は、元の世界よりも「高橋由伸がちょっとだけ太っている世界」とも言えるわけで、いつもオフシーズンになると太めになる由伸を思い出しながらニヤリとしてしまいました。(笑)
高橋由伸選手は他のシーンにも登場するのですが、それがこっちの世界と元の世界を唯一繋ぐテレフォンカードの写真。
他のテレカでは家に電話をしても留守電になっているだけなのに、由伸テレカだとお母さんが出て「早く帰って来なさい」と心配してくれる。
でも度数が残り少ない…
大事に使って、最後にお母さんに電話をかけるシーンは、本当に切なくなります…(涙)
なんとか元の世界に戻ろうと諦めずにいろいろ試して、最後の賭けに出る前に、元の世界で気掛かりだった友人との出来事にけじめをつけるためにこっちの世界できちんと友人と向き合うシーン、この不思議な状況を話した男友だちとの「信じてくれるの?」「オレが信じると思ったから話したんだろ?」というセリフ等々、かなりジーンとしました。
不可思議な世界に迷い込んでしまった不条理と家族の喪失、思春期の入口で感じる不安と孤独…
それでも明るくたくましく丸ごと受け入れる2人の潔さが、人が人を思う気持ちが、じわじわと心に迫る佳作です。
芥川賞作家の藤野千夜さんの、書き下ろし長編の初の映画化。
・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★★★★(90点/100点満点)
※とても素敵な拾い物をしたような気分になりました♪
それにしても先日終了したドラマ「神はサイコロを振らない」でも、最後風のように皆が消えてしまった後、「もしかしたら別のパラレルワールドで生きているのかもしれない」という言葉に、ほんの少しの希望を感じました。
突然大切な誰かがいなくなったとしても、もしかしたらパラレルワールドで生きているかもしれない…
そんな風に考えられればそんなに辛くはないのかも?
なんてことを考えてしまった映画でもありました。。
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当ブログの【映画レビューINDEX】
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この映画、とても切ない結末です。
切ないのだけど、でも哀しいだけじゃなくて、不条理な現実をまるごと受け入れる潔さとか、どこにいてもお互いを信じられる気持ちとかが、観終わって清々しい気分にさせてくれた映画でした。。
物語は、街並も家も学校もほとんど同じなのに両親だけがいないパラレルワールドに迷い込んでしまった、14歳のクールな姉エリ子と1つ年下の弟のダイゴの姉弟が、こうなった原因を探りつつ、2人で知恵を絞ってなんとか元の世界に戻ろうとするというもの。
ある日帰りの遅い弟を迎えに行った帰り道で、いつもと同じように犬のいる家の角を曲がると、そこには国道の代わりに海が広がっていた…
そんなはずはないとかぶりを振りながらも、ぐるぐると道に迷っている途中死んだはずの弟の友人に出逢ったり、なんとか家に辿り着いてホッとしたのもつかの間、そこにはパパもママもいなくて、だんだんと「元とは別の世界」であることを心の底では認めざるを得なくなっていく。。
「友だちにも言っちゃダメだよ。なんかおかしいと思うこと、世の中にはいっぱいあるんだから」
そう弟に言い聞かせ、自分自身にも言い聞かせながら一晩眠れば元通りになると信じていたのに、やっぱり次の朝も事態は一向に変わっていなかった。。
こんな不可思議な設定なのに、2人の姉弟の日常ややりとりが可笑しくて切なくてとってもリアルで、ちょっとしたエピソードにうーーーんと大人のわたしなのに胸がキュンとなってしまうのでした。(^^;;;;;
たとえばいつも通りに学校に行ったら、疎遠になっていた友だちにまるで何事もなかったように話しかけられますます「違う世界」だと実感して、先に帰宅した家で1人ぼっちでいるときに弟が帰ってきただけでホッとするような気持ち。。
本当は母親の待っている世界に戻りたくて、でもどうしても辿り着けない不安を抱えているくせに、いっぱいいっぱいまでやせ我慢してツッパッて、いつも通りヘナチョコな弟をツッコミつつクールにひょうひょうとしているエリ子の長女っぷりに、なんだか非常に共感してしまったというかツボに来ました。
そしてそんな姉にいじられつつも、お姉ちゃんが大好きという感じの少し太っちょのダイゴ。
理解不能の世界に突然放り込まれて、それでも明るく受け入れて行く姉弟を、多部未華子ちゃんと岩田力くんが本当の姉弟みたいに確かな演技力と存在感で魅せてくれるのです。
まだまだこの現実を信じられなくて、そのうちお母さんも帰ってくるだろうと、姉は夕食の準備を、弟はTVで野球中継を見ている時に、巨人の高橋由伸選手のファンのダイゴが漏らす一言。
「お姉ちゃん、なんだか変だよ、高橋選手がいつもより太っているみたい」
…(爆)
つまりこっちの世界は、元の世界よりも「高橋由伸がちょっとだけ太っている世界」とも言えるわけで、いつもオフシーズンになると太めになる由伸を思い出しながらニヤリとしてしまいました。(笑)
高橋由伸選手は他のシーンにも登場するのですが、それがこっちの世界と元の世界を唯一繋ぐテレフォンカードの写真。
他のテレカでは家に電話をしても留守電になっているだけなのに、由伸テレカだとお母さんが出て「早く帰って来なさい」と心配してくれる。
でも度数が残り少ない…
大事に使って、最後にお母さんに電話をかけるシーンは、本当に切なくなります…(涙)
なんとか元の世界に戻ろうと諦めずにいろいろ試して、最後の賭けに出る前に、元の世界で気掛かりだった友人との出来事にけじめをつけるためにこっちの世界できちんと友人と向き合うシーン、この不思議な状況を話した男友だちとの「信じてくれるの?」「オレが信じると思ったから話したんだろ?」というセリフ等々、かなりジーンとしました。
不可思議な世界に迷い込んでしまった不条理と家族の喪失、思春期の入口で感じる不安と孤独…
それでも明るくたくましく丸ごと受け入れる2人の潔さが、人が人を思う気持ちが、じわじわと心に迫る佳作です。
芥川賞作家の藤野千夜さんの、書き下ろし長編の初の映画化。
・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★★★★(90点/100点満点)
※とても素敵な拾い物をしたような気分になりました♪
それにしても先日終了したドラマ「神はサイコロを振らない」でも、最後風のように皆が消えてしまった後、「もしかしたら別のパラレルワールドで生きているのかもしれない」という言葉に、ほんの少しの希望を感じました。
突然大切な誰かがいなくなったとしても、もしかしたらパラレルワールドで生きているかもしれない…
そんな風に考えられればそんなに辛くはないのかも?
なんてことを考えてしまった映画でもありました。。
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トラックバックありがとうございましたっ。
ボクはもう…この映画大好きです。観にいった直後はそうでもなかったけど、時間が経てば経つほど…なんかこう、じわじわとこみ上げてくるものが…キュゥーンて。
ここ最近の"原作あり"映画では最高の出来なんじゃないか、と思います。
わたしも今でもじわじわジーンと来ています。
「キュゥーン」ていうの、ホントよくわかります。
恋愛モノじゃなくてこんなにキュンとなったのも、ひさしぶりかも。
ヒデチさんは、「電磁波怖ぇーよ」がツボでしたか?
わたしは「お前はガッカリ博士だ」とか「高橋由伸選手に会いに行けば…」とかにクスクスしてしまいました。
>ここ最近の"原作あり"映画では最高の出来なんじゃないか、と
作家の角田光代さんもそうコメントしてますね。
ここのところわたし的にも、映画はそれなりにまぁまぁ、なんだけどやっぱり原作の方が全然イイという映画ばかりだったので、ぜひぜひ原作も早速読んでみたいと思います。
ということで今後ともよろしくです~
私は逆に、仕方がないので原作を読みました。
確かに!「博士の愛した数式」の江夏の役目を高橋由伸がやってる(野球カード→テレカ)??
意味がわかりました。
太った高橋由伸(確かに太りやすそう)がキーワードとはユーモラスで、元の世界に戻るために本人に会いに行くのではないかと思ったのですが、さすがにそれは実現しなかった。残念。
原作もテンポがよくてとても面白いです。
しかし、由伸選手はこの事実を知っているのだろうか・・。
神戸では、そうですか上映なしですか。。
って、しばらく経ってから上映されるかもしれませんよ。
なにしろ観客動員という意味ではそうでもないかもしれないけれど、映画の評判そのものはわりといいみたいですから。
もし上映されることになったら、ぜひ観てくださいね。
主役の2人の姉弟が、とにかく魅せてくれるんですよ。
原作はわたしも読まねば!
今読んでいるのが終わったら、早速本屋に直行します。
由伸はどうですかね。
たぶん試合の映像が流れるので、映画化にあたって登場していることは知らされたと思いますけどね。
コメントありがとうございました~!
この作品良かったですよね~。
姉弟の会話がリアルでした。いるいるこういう姉弟と思いましたね~
ちょっとした事で違う世界に行ってしまったというありえない話ですが、何となくそういう世界もあっても良いのかな?と不思議な感覚に浸りました。
ラストは切ないのかもしれないけど、この姉弟はきっと再会しますよ♪
こちらこそTBありがとうございました。
この作品、ホントわたしは好きです。
今日原作本も買って来てしまいました。
パラレルワールドって、もしかしたら本当にあるかもしれないって思っちゃいますね。
>ラストは切ないのかもしれないけど、この姉弟はきっと再会しますよ♪
うんうんそうですね。
また頭を掻くポーズで、お互いだけの暗号を使って、もう少し大きくなったらまた一緒に暮らしそうな気がしますね。